一発勝負
「一発勝負!?」
「あぁ俺とお前で一発勝負をしよう。お互いに1回ずつ最後の切り札を繰り出す。それで勝敗を決めよう。」
長期戦はよくないと判断し、レグルスはジャックに一発勝負を申し込んだ。
先程、ジャックに致命傷を与えるのは不可能だという考えに至った。が、レグルスの頭の中には一つの勝ち筋が浮かんでいる。
しかし、一発勝負の先攻をジャックに譲ってしまったため、まずは攻撃を受けないといけない。
「これがオレの最後の切り札や!!」
ジャックは左手を前に出し、詠唱を唱える。
「水属性魔法『大航海・荒波』!!」
ジャックの手からは大量の水が放出される。その水はレグルスたちを、商店街を、町を飲み込むほど大きな波となる。その波は全てを消し去ろうとする。今日ここで起こった騒動も、レグルスという存在も、橋中悠貴が死んだという事実も、彼女たちの夢も全て、全てを無かったことにしようとする。
はずだった。
ジャックの手から放たれた瞬間、その大量の水をレグルスは薙払った。
レグルスの手には7色に輝く剣が、女神ペルセウスによって授けられた代物、伝説剣があった。
レグルスの策。それはこの剣を使うこと。この剣を使えば、力に自信がなく、魔法も使えないレグルスでさえもジャックに致命傷を与えられる。そう考えたのだ。
ただし、この剣はその時にならなければ使えないという厄介なものではあるが、今がその時らしい。
「んじゃ~いっちょぶった斬らせてもらうぜぇ。」
「クソッ、こんなやつらに負けるとは。オレも落ちたものだ。」
「おい。訂正しろ。誰がこんなやつらだ。俺たちはいつか大魔王サタンを倒す勇者だぞ!!」
そう言うとレグルスはその剣を大きく振りかぶり、ぶった斬る。
7色に包まれて、海の覇者、聖龍軍の裏切り者、魔王軍の英雄、ジャック・シャークは跡形もなく消し飛んだ。
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「────痛っ!!」
「まだ動いちゃダメ!レグルスはあと2日は安静にしておくこと。いいね!」
「わかったよ!」
「わかったって、じゃあ何で休んだらこんな傷を負うのよ!」
「お前、俺の活躍が無かったら勝てなかっただろうが!」
事件から2日が経った。
場所は凛の家。人間界の様子見のためにこの世界にやって来た凛だが、なんと一人暮らしなのに一軒家を持っているのだ。
商店街で橋中悠貴の遺体が発見されて、悠貴は死んだ存在となった。そのため前に悠貴が住んでいた所には住めなくなったのでレグルスたちは凛の家に居候している。
「でも確かに悠貴の活躍がなかったら私たち死んでたかも。」
同じく重症を負った凛はベッドで横たわりそう言った。
カンナも重症を負ったため今はベッドで寝ている。
「悠貴の活躍って言ってもおいしい所持ってっただけでしょ。」
「なっ!?失礼な!!謝れ!」
「家に重傷者が3名、世話する人の気にもなってよね!」
「あぁそうだな、ありがとう。」
「やっ、やけに素直ね。」
「傷が治ったらしたいことがある。だから、面倒みるのよろしくなミラ。」
「悠貴に頼まれたんなら仕方ないわね。わかったわ。任せなさい!」
レグルスはそんな会話ができることに幸せを感じていた。
そしてそれは彼女たちの夢を守るというとこを改めて決意するきっかけにもなった。
死んで、転生して、力を得て、ぶっ倒れて、彼女たちに励まされて、彼女たちが傷ついて………。
「全く、何をやってるんだ俺は。」
今度こそは、俺が彼女たちを守ってやる。持ちつ持たれつの関係を築いていく。
そしていつかサタンを倒して、
「お前たちの夢、叶えさせてやるからな。」
誰にも聞こえないような声でレグルスはそう呟いた。




