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召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第六部 冒険者 魔獣 チート能力

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99/106

♯97 女神の使徒、炎龍王アサヒ ~思ったより怖くない~

偶然覗かれた方も、継続して読んでくださってる中でまだの方も、折角なのでこの機会に評価とかブクマの練習をここで是非!(悲壮感)


もとい、いつもご閲覧有難う御座います!

 アサヒさんの攻撃で、一番厄介なのは[結界無効化]が発動する[双龍岩]だ。

僕だけなら[時空間魔導]で効果をある程度は遮断できるけれど、まだ[魔導術]全ての[広域化]実験は済んでいない以上バレインさんや顕界した式神達に被害が出かねない。


 いくら元が非実体とは言え、顕界する際に疑似的な肉体を得ている以上、ダメージは蓄積する。

回復分を上回るダメージを受ければ、恐らくだけど消滅の可能性も有るハズだ。


 時空間魔導の熟練度も低いし、隔離空間は現在アウリョイナさんの占有している物の維持で手一杯だし、バレインさんを放り込むわけにもいかない。

現状、守りながら戦わざるを得ない状況なのだ。


 まぁ、今のところ戦闘での問題は無いんだけどね。







――――――――――






 「ほんま、どうなってんねん自分‥‥」


 炎のオーラを全身から両腕に移したアサヒさんと攻防を繰り広げつつ、周りに意識を向ける。


 「どうもこう、おっと、命がけ!ですからね」


 現在、アサヒさんの召喚したドラゴンは、式神達が相手取って大立ち回りを演じている。

ずんぐりむっくりした、陸棲爬虫類じみた体型をしているグラニカの相手は、狼の式神、凛尾と烏の式神、刀鴉。


 見た目としては、アメリカドクトカゲだったかな?厳つい感じがかなり似ている。

鈍重ぞうに見えて素早さが突出していて、次いで攻撃力が高いんだけど‥‥、刀鴉の結界に阻まれて攻撃は届かず、素早さも封殺されていて凛尾にしこたま叩かれているのが現状だ。


 

 お次は、バフ・ル・メルフィル。

ヌラヌラと体表がテカっている赤黒いサンショウウオの様な見た目だ。

防御と攻撃に特化している個体らしいけれど、珠と狛の素早い動きに翻弄されていて此方も防戦一方。


 珠は白黒斑模様、狛は真黒の毛並みが美しい、どちらも猫の式神だ。



 大きな翼を二対生やした細長い体のアグニルは魔法が得意な個体の様で、溶岩や火球、火の竜巻を操りながら戦っている。


 相手は太郎丸と白華なんだけど‥‥。

何ていうか可哀そうになってくるレベルの完封具合だ。

僕の式神は元上司でもある坂鉢さんの影響を諸に受けていて、五行それぞれ得意分野を持っている。

 

 太郎丸は五行の水。

得意な攻撃もこちらの世界で言う所の水属性になるようで、白華が魔法を砕いている間に水の糸をアグニルの体に巻き付けて締め上げていた。


 苦しそうに呻くアグニルは、最終的に輪切りになっている。ウォーターカッターを自由自在に操れるみたいな感じなのかな?


 レセ・ク・ゴルフィカ。

ステータス的には一番強いく、コモドオオトカゲとワニを足して、顔を凶悪にした感じの見た目をしている。

 鼠の式神、鉄鼠。雀の式神、雀禍。鳩の式神、鳥之石楠船(トリノイワクスフネ)(通称トリフネ)で対応してもらっているんだけど、こっちもこっちで切なくなってくるな。


 トリフネは、神話に出てくる本物では無い。事故死した鳩の魂を元に、坂鉢さんの下で僕が式神にしたモノだ。

 雀禍の事象改竄とトリフネの結界圧縮コンボ、鉄鼠の地之大鑓(つちのおおやり)(地面から金属の円錐を出す技)でゴルフィカの体がドンドン削られて行っていて痛々しい。


 と、意識を前方のアサヒさんに戻す。

苦々しい顔で僕に拳を向け続けるアサヒさん。

一発一発がさすがの威力というか、本当に厄介な強さだ。

 月刀ペアそのままではどうも上手く立ち回れそうになかったので途中から籠手の様に変形してもらって戦っているんだけど、ステータスが流石に高すぎる。

 下手に受ければ確実に何処かしらが砕かれてしまう。


 『まるで綱渡りじゃな』

 『そう思うなら助けてよ』


 と、六呂は残念ながら戦線離脱してバレインさんを守っている。

神格が断トツだし、一番安全なのが六呂だから仕方ない。


 さっきから文字通り飛び火した戦禍を、あくび交じりで消滅させている。


 「いや、いやいやいや、おかしいやろ‥‥、ちょっと、一旦休憩せぇへん?」

戦況を鑑みてなのか、アサヒさんが慌てた様子でそう言ってきた。


 こちらとしては消耗も無いし戦えるけれど、穏便に話が片付くのならそれに越したことは無い。


 「重蔵!チャンスじゃ!そのまま縊り殺せ!!」

 「すみません、ウチの子が。‥‥休憩しましょっか」


 平常運転の六呂は放置して、アサヒさんの提案を受け入れる事にした。







―――――――――








 戦果は上々だ。

アグニルとゴルフィカが命を落として、アサヒさん陣営は残り3。

こちらは相性の良い式神に、各2体以上で対応してもらったお陰で損耗無し。


 一応式神の能力をこれ以上バラしたくなかったので、僕が六呂ブーストで[分解]と[物質創造]を使い、アサヒさん陣営が生み出した溶岩の海を湖に変えた。


 さり気なく相手に不利な状況に持っていく算段だったんだけどアサヒさんはその光景に面食らったのか

「まじか‥‥」

と一言呟いて肩を落としていた。



 「粗茶ですが」

 「やや!これはどうも、ご丁寧に」

 「あの、ミシロ様‥‥?」


 先ほどまでの地獄が嘘のように鳴りを潜めた広い地下空間。

今では小さな湖を湛える、静謐な空洞へと変わっている戦場跡で、僕たちはお茶を啜っている。


 「ちょっと休憩です、バレインさんもどーぞー」

 「はっ、あ、ありがとう御座います‥‥、では無く!!」

いきなり立ち上がったせいでバレインさんが取り落とした湯呑をキャッチ。

これはレーネさんが作ってくれたお手製の湯呑なので、そう簡単に壊されるわけにはいかないのだ。


 「まぁ、落ち着いて下さい。先ずは話し合いです」

 「‥‥済みません‥‥」

まぁ、そりゃ納得いかないよね。

六呂なんて無言でこっちを睨んだままだし‥‥。

マジ怖い。


 「ふぃー、ごっそさんです。ほんでミシロくんやったね、悪いんやけどちょおっと色々聞かして貰えるかな?」

 「『あ”?』」

 「「ひぃっ!」」

 「六呂、落ち着いて、ってなんでアサヒさんもビビッてるんですか‥‥」


 六呂、いまだにステータスらしいステータスは見えないけどいつの間に[威圧・極]とか変なスキル取得してたんだよ‥‥。僕もちょっとビビったわ。


 「話が進まないのは僕も困るので、何でも聞いて下さい‥‥」

ため息一つ、そのまま質疑応答に移った。






――――――――――






 アサヒさんは、何十年か前に地球からこの世界に転生したらしい。

それも、僕が生きていた時代よりも少し未来から。


 アーサーは僕よりも前にこっちに転生している。

時系列的には、アサヒさん地球で死亡(僕が地球で死んでからかなり後)→こっちに転生→何やかんやあって女神の使徒へ→アーサー(レイク)地球で死亡→こっちに転生→成長→僕、地球で死亡→転生→成長したアーサーと会う。

となる。


 レイクが死んだのは僕が死んだ日から2年前だと言っていたし、アサヒさんの話も踏まえると地球からこの世界に転移・転生する時って、時間軸とか関係ないのか?


 他にはこの世界の神話についてや、魔法について、国の成り立ちだとか女神の使徒になる条件等も聞かせて貰った。

 替わりに、僕はメシ夫とアウリョイナさんとの戦いについてを話した。

アウリョイナさんについては、パルヴァレイト退散後に戦ったけど、決着の前に目の前から忽然と消えた。たぶん犯人はヤス!じゃない、パルヴァレイトじゃないか。という事にしておいた。


 「と、言う訳なんですけど、結局パルヴァレイトって何者なんです?」

お茶で一服しながら、アサヒさんに聞いてみた。


 アサヒさんは腕を組んでうーんと唸っている。

あ、これは期待出来なさそうだ。


 「昔、イルミレア様とこの世界を作ったとか、そんな感じやったはずなんやけど‥‥、何で喧嘩してんのかとか知らんのよなぁ‥‥」


 「喧嘩って‥‥、伊邪那岐と伊邪那美みたいな感じ‥‥なのかなぁ」

 「日本神話やっけ?俺はその辺詳しないけど」

アサヒさんが僕の独り言に反応した。

 「古事記とか日本書紀ですね、神道です。って、やっぱり日本人なんですね」

 「元、な」

少しだけ哀愁を宿した瞳をすっと、すぐに瞑ってしまったので、アサヒさんの心中は察せなかった。


 皆の湯呑の中は、もうほとんど空になっている。







――――――――――






 「さて、休憩は終わりですね」

おっとりとした印象を受ける喋り方。

実際、のんびりした性格なんやろな、戦ってる最中とはえらい違いや。


 「せやな‥‥」


 ゆっくりと立ち上がる俺らを上目で伺うお嬢ちゃん‥‥バレインちゃんやったかな?は、少し落ち着きが無い感じで俺とミシロくんを交互に見てる。

そら、また戦い始めたらここら一帯大変な事になるし、慌てるのも分かる。


 で、一番おっかない黒い狐‥‥六呂やったか。は明後日の方向へ欠伸をしながら寝そべったまま。

バレインちゃんも動ける状態やし、完全にやる気が削がれてるみたいやね。

ここでは俺も本気は出せんし、かと言って外に出たらたぶんバレるから手札切れと同し。

ミシロくん側で戦意ありは彼だけやし、火竜も炎龍も召喚出来んいう事は、実質手詰まりやな‥‥。


 「どうします?戦う理由は有っても、敵対しなければならない決まりではないですよね?」

魅力的なお話やね、そうもいかんけど。


 「はぁーーーーーー、そう(・・)したいのは山々なんやけどなー、別にツレやった訳でもないけど、ケルツォーバ殺したんやったらこっちも黙って見送る訳にもなぁ‥‥」

 「‥‥それはまた、なんとも」

 「せやろ?」

中間管理職もキツいねん。


 「あぁ、そうだ。それなら僕を殺して下さい」

 「お姉さま!?」

 「‥‥フン」

 「なんでやねん!」


 どういう思考回路してんねんコイツ‥‥。

重蔵君は若干空気が読めない。+自分が転生ではなく召喚されて世界をまたいでいる事を知らないので、若干分かりづらくなっています。が、タイトル通りなので良い感じに脳内保管していただければ幸いです(;´・ω・)

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