↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第四部 獣人 亜人 変人

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/106

♯48 元冒険者、再起す。  ギルド長の受難

今回は重蔵君は出ません!投稿50話目という事で、節目という程では有りませんが、閑話を挟みます。

興味のない方は次回まで、申し訳ないですが、お待ちくださいましー。

 地球なら、近所に有る小さな公園程のサイズの土地に、丸太を組み合わせ、

ボロボロになったプレートメイルを装着した、人形が据えられた練武場で、

二人の男が剣を交えている。


「まだまだぁ!!」


「遅いっ!!!」


手にした両刃の剣を切り上げる青年と、細い刺突剣を操り剣筋を誘導する壮年。


体制は簡単に崩され、すれ違い様に足首を蹴られた衝撃で、青年は剣を手放し、豪快に転倒した。



二人分の熱量が満たす空間は、轟く喚声と張り詰めた緊迫感が支配していて、

まるで戦場の様な雰囲気を漂わせている。


「どうしたバル!!お前の信念とは、その程度で朽ちる物だったのか!?

お前の魂は、その程度で折れてしまう程度の物だったのか!!!」


弾き落とされた剣を再び手にする為、相手の振るう横薙ぎの剣閃を飛びこむように回避し、間合いを重ねるバルと呼ばれた青年は、己が背を掠める硬質な一撃に、背筋を凍らせる。


「いいえ‥‥、いいえ!まだ私の心は折れていません!」


自身の愛剣を手にした青年は、走る痛みを押し潰し、震える体を叩き伏せ、

師匠の問いに、大声で応えた。



▼ロ・ルゴナ大陸 セルバ王国領 剣聖の館



 朝早くから始まった、真剣を使った修練を中断し、昼食を摂る二人の男性。


嘗て、大国間で起きた戦乱の際、敵軍の指揮官を幾人も打倒しこの地に平和を齎した、剣聖テヘラフェルト・アーズナー。


嘗てセルバ王国で国王の近衛、騎士団長を務めていた彼は、現在その職を引退し、現役の時分と比べて、かなり平穏な日々を送っていた。


そして、或る日、彼の下を訪れた。アーズナー最後の弟子であり、英雄(オウラ)級の称号を得るのも時間の問題と言われた、バル・エネス・ソルザードだ。



バルは、冒険者としての職務中に、【戦う為の力】を失って、アーズナーの下を訪れた。


 「‥‥あれから、もう二月か‥‥」


顔中に深い皺を刻み、長い白髪を前髪から全て後ろに流し付けた壮年の男性が、鷹の如く鋭い眼を伏せて、静かに呟いた。


既に歳が50台後半に差し掛かったアーズナーは、それでも尚、人種としては最高峰の技術と知識、戦う為の方法をその身に滾らせている。


バルがアーズナーの下を訪ねたのは、一時行方不明だった彼が冒険者ギルドの捜索隊に発見されて、自身の館に帰り付いてから三日後の事だった。


『申し訳有りません、師匠。どうか私に、今一度戦う力を取り戻させて下さい‥‥!!』


一度は巣立った弟子が、戦う力のほぼ全てを失った事は、アーズナーにとっても、とても辛い経験となった。


嘗ての戦乱の最中、戦友達が志半ばで命を落とした瞬間が何度も有ったが、その辛さは同じ位だと言っても過言では無い。


しかし、再び教えを請う元弟子の、力強い双眸は、一度その光を失いながらも、もう一度炎を灯して、姿を現したのだ。


「覚えているか?バル。初めて俺に会いに来た時の事だ」


「覚えています、あの頃は私も、まだ今より若かったですね‥‥」


「剣聖、テヘラフェルト・アーズナー殿!「私は世界を平和に導く為に、戦う力を得なければなりません!!」」


バルが数年間の修行の間、何度もからかわれた、初対面での一言だ。



「そして、お前の語る夢を聞いて俺が「大それた夢を抱いた貴族のボンボンが、自惚れるな!」」


「‥‥フフ」

「‥‥ハッ」


「「ハハハハハハ!」」


再び冒険者として活動を始めようと、戦う力を欲したバル(青年)の瞳は、何年かの修行の折、アーズナーが感じた【青さ】は薄れたけれど、新たに【戦士】としての力強さを宿していた。


彼に新たな力が目覚め、真の勇者と呼ばれる存在になるのは、まだ少しだけ、先の話だ。




▼ロ・ルゴナ大陸 セルバ王国 王都スメイ ギルド本部



 ギルド長であり兎人族と呼ばれる獣人の、パーロ・フェイン・ネレスは、眉間に皺を刻み、書類と格闘していた。


「でさー、ボクは言ってやった訳よ!『詰らない事言ってないで、サッサと修行しろー!』ってさ」



王国領のみならず、近隣諸国と、周辺の各町、村や集落での、依頼発行の最終確認は、彼女にとってはいつもの事であり、自分でも誇りと遣り甲斐を持って行っている仕事だ。

「そしたらさ、ボクの事を差し置いて、あんなおっさんの所に行くんだぜ?有り得ないよね!」



人々の平和を守り、命を守り、未来を創る仕事である。

近々、各大陸の本部長と

「ねー!聞いてるぅ!?ねーってばー!!」



‥‥本部長と、有る一件への対応について、会談を行う事も決まっていて、書類仕事だけでなく、各大陸内での、ギルドの取り決めも考えなければならない為、特に今は多忙なネレス

「なんだよーーー!無視すん「うるっさいわ!!!!!!」」


が、ついに奔放な友人を、あらん限りの怒気を込めて一喝した。



「なんだよー‥‥、怒鳴る事ないじゃん‥‥」


しょんぼりとその両耳を萎れさせ、代わりに口をとがらせる、エルフの子供

、ロルド・アルゼノ。


「確かに、普段はハンコを押しながらでも君の話を聞いてはいるけれどね、アルゼノ。今は生憎と過去に類を見ない程に、私は忙しいんだよ」


諭す様に奏でれた彼女の声音は、とても優しい物だった。


君の気持も分かるけど。と続けた彼女に、アルゼノは力なく頷く。


歳の割に子供っぽい部分も多いが、素直さも持ち合わせたアルゼノは、困った事が有ると頼ってくる【目が離せない近所の子供】的な印象を、ネレスは感じていた。


彼女のもとに届く大陸内の依頼は多岐に亘り、難易度が高い物は、目の前のアルゼノに解決を願う事も有るので【頼れるパートナー】とも、思っているが。


『ホント、手のかかる子だ‥‥』


「まぁ、どうしても気になるのなら、一度押しかけて見ても良いんじゃないかね?」


「んー、まーねー‥‥。そうだよねー‥‥、って、聞いてんじゃん!」


聞いてないとは言ってないよ。などと返しつつ、おどけるネレスは、からかう様な愛らしい笑みを浮かべて、アルゼノの愚痴に対して、解決策を提案する。

咲き誇る華の笑顔は、とても魅力的だった。


そんなネレスの提案に、アルゼノは大きく頷く。


「‥‥ん!そうだよね!アイツは、ボクが見ててあげないと、どうせまた無茶するに決まってるしな!」


言うが早いか、アルゼノは旅立つ事に決めたらしく、応接用の長椅子から飛び降りて、体を捻った。


「じゃあ、ボクは行くよ!ネレスも、勇者の件、ちゃんと確り片づけてくるんだよ!」


「あぁ‥‥、って、お前!知ってて邪魔してたのか!!ふざけ‥‥もう居ないし!!!!!!!!!!!!!!」


アルゼノと同じ調子で返そうとしたネレスは、食らいつく様に獰猛に牙を剥きだして、大声を上げる。

大地を揺らす大声は、とても破壊的だった。

バルさん久しぶりの登場+彼の身近な人物数名が本編登場です。

書き分けって、結構難しいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。