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転生クエスト - ヤンキーが異世界に転生したら -  作者: 早手祐也
【第二章】 モンスターアイランド
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プロローグ

 モンスターアイランド――


 モンスターの楽園という名が付いているこの島には、実に多種多様なモンスターが生息している。


 広大な山、大森林、大きな湖に川と大自然溢れる島であるが、そんな中に異様な外観をした城がそびえたっていた。


 和風の城であるが和風というにはあまりに異様。

 天守に二本の長い角が天を突き刺すかのように伸び、天守閣からは龍の顔が突き出している。

 屋根瓦には牙のような無数の突起が生えていた。


 この城の名は咆哮・龍牙城――モンスターアイランドの頂点に君臨する者たちが住まう城である。


 城の一室に十体のモンスターが円卓を囲んでいた。


 モンスターといっても人の姿をしており、全員が暴走族の着るような特攻服をまとっている。


 背中に西洋風の龍が刺繍された黒い特攻服を着ているのは、彼らの所属するチームである¨モンスターカーニバル¨の副総長¨黒龍王・セト¨だ。

 高伸長で黒い短髪のイケメンであるセトの姿は邪神から世界を救った英雄レジェンを模している。


 赤い特攻服に身を包んだ赤髪ツインテールの美幼女は遊撃隊長¨赤龍王・セクメト¨。

 背中には赤龍が刺繍されており、幼女が特攻服を着た姿は何とも微妙である。


 背中にコウモリをイメージしたプリントがされている銀色の特攻服をまとった美しい女は参謀長¨夜魔王・デイウォーカー・ヘカーテ¨。

 銀色のロングヘアーにインナー代わりの黒いチェーンメイルから零れそうな胸が彼女の色っぽさを益々引き立てている。


 背中にリオプレウロドンの刺繍がされた青い特攻服に身を包んでいるアイドル級のショートカット美女は特攻隊長¨雲海王・ラーン¨。

 ラーンの容姿は地球のアイドルグループSPL48のメンバーでショートカットが可愛いと評判であったカオルを模倣している。

 髪の色がブルーということ以外はカオルと瓜二つである。


 同じくSPL48のメンバーの姿を模倣しているのは、空撃隊長¨霊鳥王・スパルナ¨。

 背中にフェニックスが刺繍された金色の特攻服をまとい、SPL48のメンバーでポニーテールがよく似合うと評判であったジュリナの姿そっくりである。

 髪型はポニーテールだが、ジュリナと違いブロンドヘアーである。


 茶色の髪にツーブロックの男は防衛隊長¨巨雷王・インドラ¨。

 インドラの容姿は地球のヤンキー映画グロイズZEROに出演している中栗旬を模倣しており、背中に帝釈天が刺繍されたダークブラウンの特攻服が様になっている。


 虎柄のバンダナを頭に巻いたドレッドヘアーの男は親衛隊長¨刹鬼王・オグマ¨。

 バンダナだけではなく特攻服も虎柄と一風変わった格好であるが、ワイルドなドレッドヘアーと褐色の肌が合わさりよく似合っている。

 特攻服の背中にはヤンキーの定番である風神と雷神が刺繍されていた。

 インドラの容姿は地球の映画パイレーツ・オブ・カリブーに登場するジャック船長そっくりであるが、その顔に髭はない。


 黄緑色の長い髪をした美青年は工作隊長¨堕天王・ルチーフェロ¨。

 工作隊長というだけあり緑色をベースにした迷彩柄の特攻服を着ている。

 背中には六対十二枚の翼を広げたアートがプリントされており、軍服に見えなくもない特攻服と相まって軍隊のシンボルマークのようであった。


 背中に愛染明王が刺繍されたベージュ色の特攻服をまとう黒髪セミロングの美女は諜報隊長¨愛染王・ネヴァン¨。

 顔こそ青白いが何処に出しても恥ずかしくないスレンダー美人である。

 特攻服の背中には愛染明王が刺繍されている。


 白いロングヘアーに可愛らしい顔をした女は切り込み隊長¨妖獣女・ネメア¨である。

 背中に白い招き猫が刺繍されているピンク色の特攻服をまとっている。


 全員が人の姿をしているが、彼らこそ王の名を冠するに相応しい最凶のモンスターである。


「お前ら! 当初の予定とは狂ったが、モンスターアイランドに棲息する全てのモンスターを制圧し、傘下に加えるぞ! 世界征服の前哨戦だ!」


 背中に金龍が刺繍された純白の特攻服まとい、紫色のロン毛を手でかき上げながら最凶の十体に命令をする男。

 この男の名はサクヤ・カンバヤシ。

 モンスターアイランドにいるたった一人の人間である。


 地球でヤンキーだった彼は事故で命を落とし、ひょんなことから異世界のアスナルドに転生をさせられてしまい、神から世界構築スキルというチートな力を授けられた。


 転生をさせられた理由は、この世界¨アスナルド¨に平和をもたらすこと……。

 しかし、彼がやろうとしていることは、アスナルド統一という名の世界征服であった。


 サクヤは最凶のモンスター十体をまとめ上げ、モンスターカーニバルという暴走族を結成し総長の座に君臨した。


 モンスターアイランドに生息する全てのモンスターを傘下に収める計画を立て、世界征服の前哨戦とするようである。


「ワイズ、モンスターアイランドに生み出されたモンスターの分布状況はどうなっている?」


 ワイズと呼ばれた執事服に身を包んだダンディな老人は、サクヤが世界構築スキルで作り出した魔導人形である。

 正式名称は、ワイズ・オールド・マンといい、老賢者を意味する名前だ。

 アスナルドの全てを知る魔導人形であり、サクヤのブレイン的な存在である。


「モンスターは島中に散らばっておりますが……」


 ワイズの詳細な説明が続く。


 元々この島にモンスターは生息していなかった。


 名前を付けることで対象に力を与えるスキル¨ネームオーダー¨により、サクヤがこの島をモンスターアイランドと名付けたことにより、島のあらゆる場所にモンスターが生み出されてしまったのだ。


 ワイズの話によると、城の北にある山には龍族、最北端にある大森林には恐竜族と鬼族が生息しており、島の中心にある巨大な湖には海用族、その隣にそびえ立つ山脈から東の森にかけては鳥族、獣族、魔族が――

 そして、昆虫族と植物族は場所を問わずあらゆるところに生息しているとのことだった。


「さらに、死霊族はヘカーテ様のお住まいだった城に……」


 ヘカーテがサクヤと出会う前に住んでいた城が死霊族の根城になってしまっていたということであった。


「主の許可なく勝手に城を占拠するとは面白くありませんわね。ダーリン、死霊族の制圧は私に任せていただけないかしら?」


 銀色のロングヘアー指で払い、不機嫌そうな様子で自分が制圧に行くというヘカーテ。

 特攻服から覗くチューブトップタイプの黒いチェーンメイルからは、ヘカーテが動く度に大きな胸がプルンプルンと揺れていた。


「いいだろう。死霊族の制圧はヘカーテ、お前に任せる。しかし、その死霊たちには使い道がある。城に滞在する許可を出し、お前の配下に収めろ」

「分かりましたわ」


 ヘカーテに死霊族の制圧を任せたサクヤであるが、死霊には使い道があるらしく配下にしたあと城に滞在させる許可を出すようだ。

 死霊の巣食う城の使い道とは、お化け屋敷としてでも利用するつもりなのであろうか。


「龍族の制圧はセト、恐竜族はセクメト、鬼族はオグマ、海用族はラーン、鳥族はスパルナ、獣族はネメア、魔族はインドラ、昆虫族と植物族はルチーフェロとネヴァンの二人に任せることにする。異論はないな?」


 一斉に返事をするモンスターカーニバルのメンバーたち。


「お前たちの腕輪に新しい機能を追加しておく。即死無効の効果と、瀕死にしたモンスターを自動転移させる機能だ」


 メンバーはサクヤから特別な腕輪を授けられている。

 この腕輪を装備した者は決して命を奪うことができない。

 首をはねるような即死級の攻撃を食らわせたとしても、即座に傷が瀕死状態にまで回復されてしまう。

 モンスターを瀕死にするためだけに作られた通称¨殺さずの腕輪¨だ。


 サクヤはこの腕輪に世界構築スキルを使って即死攻撃を受けても無効にする効果と、モンスターを制圧して瀕死にした際、自動で城の付近に転移させる機能を追加した。


「シュリー、これを皆に配ってくれるか」


 シュリーと呼ばれたメイド服に身を包んだ絶世の美女――褐色の肌にスレンダーボディ、気品漂う立ち振舞いの彼女であるが、人間ではなくサクヤに作られた戦闘特化型の魔導人形である。


 シュリーはサクヤからスマホのような端末を受け取り、メンバー全員に渡していく。


「これはなマップホンといってな……」


 サクヤが世界構築スキルで作ったマップホンは、その名から予想できるように地図の表示と通信機能を備えた端末である。

 地図は現在地や周辺地図だけではなく世界地図も表示できるようになっている。

 さらに、モンスターカーニバル全メンバーの位置をリアルタイムで地図上に表示し、任意の相手との通話、複数の相手との同時通話まで行う機能を備えていた。

 極めつけとして、モンスターの位置を種族別にリアルタイムに表示する機能までついている。


「サクヤ……こんな貴重なアイテムを配ってしまっていいのか? 天族である僕でさえも見たことも聞いたこともないようなアイテムだぞ」


 驚愕の表情を浮かべ、サクヤに確認をするルチーフェロ。

 ルチーフェロは美形な堕天使であるが、背中に生えている六対十二枚の美しい金翼は人化をしているため隠されている。

 天族のルチーフェロが貴重なアイテムだと驚くのも無理はなく、こんなチートな機能を持つアイテムはアスナルドに存在しておらず、サクヤが作ったのが史上初である。

 世界構築スキルを持つサクヤにしか作り出すことのできない代物といえるであろう。


「あー、お前らは俺にとって特別な存在だからな。大盤振る舞いとでも思ってくれ」


 実際は世界構築スキルを使えば簡単に作り出せるのだから大盤振る舞いでも何でもないのだが……。


「私のために貴重なアイテムを惜し気もなくプレゼントして下さるなんて……サクヤ様のことを益々好きになっちゃいますわ!」


 サクヤが大好き過ぎるネヴァンは色白な美しい顔を真っ赤に染めていた。

 セミロングの黒い髪が赤く染まった顔を引き立てている。

 ネヴァン一人のために作ったわけではないのだが、面倒なサクヤは特に訂正することもなく話を進める。


「あと、お前らにもう1つ渡すものがある。シュリーこれを配ってくれ」


 サクヤがメンバーに配ったのは何の変鉄もない銀色の指輪だった。


「婚約指輪とかじゃねえからな。この指輪はな、転移機能のある指輪だ」


 女性陣に勘違いをさせないように先手を打ち、指輪の説明を始めるサクヤ。


「この指輪を使えば、一度でも行ったことのある場所なら、一瞬にして転移することができる。上半身に触れさせさえしていれば、生物だろうが何だろうが、一緒に何でも転移させることができるぞ。まあ、さすがに建物とかでかい物は無理だがな」

「距離や回数の制限はないのか?」


 空間魔法を使えるルチーフェロは、素朴な疑問としてサクヤに確認をする。


「ああ、さすがに次元を越えて別世界に行くことなどはできないが……アスナルドの中であれば距離は無制限だ。もちろん、回数制限もない」


 別世界に行けないというのは、地球に転移できないかサクヤが試した結果である。


「それは凄いな……。サクヤといると物の価値観が変わってしまいそうだ……」


 一流の空間魔法の使い手であったとしても、せいぜい一キロ転移できればいいほうであり、サクヤの作った転移アイテムは有り得ない仕様であった。

 貴重なアイテムを惜し気もなくサクッと渡されてしまうと、それが当たり前になりかねず、ルチーフェロの価値観はサクヤのせいで何れ壊れてしまうことが用意に想像できた。


「お前らぐらい強ければモンスターが集団で襲ってこようと問題ないだろうが、まあ、万が一危なくなったら転移ですぐ城まで戻るようにな。質問はあるか? なければ制圧作戦をスタートする」

「俺たちがモンスターを制圧している間に師匠は何をしているんだ?」


 各メンバーに指示を出したサクヤであったが、自分は何をするかの説明を一切していなかった。


「いいところに気がついたな、ラーン。しかし、それは秘密だ。お前らが帰って来たらビックリするようなことになっているから楽しみにしておけ」

「帰ったら、びっくりするようなことか! それは楽しみだな!」


 サクヤの意味深な発言に喜ぶラーンであったが、スパルナは――


「食べ物のご褒美……楽しみ……」


 ビックリすることが食べ物とは一言もいっていないのだが、食べ物も用意しておこうと思うサクヤであった。


「親分! 必ずや鬼族を雁首そろえて連れて参ります!」

「期待しているぞ。オグマ」


 鬼族の制圧担当のオグマはサクヤに期待しているといわれ、笑みを浮かべる。


「第二の人生を与えられた俺にとっては初仕事だ。存分に働いてみせよう」

「初仕事に相応しい働きを期待しているぞ」

「まかせろ」


 魔族の制圧を担当するインドラの意気込みは充分そうである。


「コスチュームチェンジ! ブラック!」


 サクヤが授けた首輪の力により二丁拳銃を装備したネコバニー姿にチェンジするネメア。

 猫耳に黒い髪をなびかせ、機嫌よさそうに二俣の尻尾をフリフリさせている。

 ネコバニー姿のハイレグ網タイツのコスチュームは男心をくすぐるセクシーさである。


「なんじゃ!? その姿は?」

「ああ、これはな……」


 急に変化したネメアの姿に驚き声を上げるセト。

 サクヤが説明をしようとすると――


「ご主人様の趣味にゃあ」


 ネメアが爆弾発言をした。


 趣味といえば趣味だが、否定も肯定もしたくないサクヤは微妙な表情を浮かべる。


「うふふ。ダーリンはセクシーな格好がお好きでしたのね。いってくださればいつでもいたしますのに」


 豊満を越える巨大なヘカーテの胸でバニーガールは危険である……。


「俺だって師匠が好きな格好なら、いつでもするぜ!」


 男言葉であるが、アイドル顔のラーンならよく似合うであろう。


「わっ、私だって! ちょっと恥ずかしいけど……サクヤ様が望むなら!」


 顔こそ青白いネヴァンであるが、スレンダースタイルに一級のルックスであるから、バニー姿は顔福かもしれない。


「セクメトもー!」


 幼女姿のセクメトがバニーガール……微妙である。


「サクヤのやつめ……美女をはべらすだけじゃなく、あんなセクシーな格好までさせるとは……」


 モテモテのサクヤに嫉妬するルチーフェロと、もはや事態は収集不能と思われたが……。


「つまらんことをいってないで、さっさとモンスターを制圧してこい!」


 サクヤの一喝で何事もなく収まるのであった。


 これからモンスター制圧に向かうとは思えないほど、相変わらずマイペースのモンスターカーニバルである。


 世界征服に向けて、最凶の暴走族モンスターカーニバルが始動する。


 行き着く先はアスナルドの平定か……破壊か……全ては総長サクヤの気分次第である。


 願わくはアスナルドに幸あらんことを――

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