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転生クエスト - ヤンキーが異世界に転生したら -  作者: 早手祐也
【第一章】 モンスターカーニバル
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1-世界構築スキル

「世界構築スキルって、ずいぶん大層な名前だが、それを使うと何ができるんだ?」

「世界構築スキルは、あらゆる物を造ることができるスキルじゃ」

「あらゆる物を……!?」

「まあ、細かい条件はあるがの。お主に授けるのは機能制限版だしな」


 神が手を上げると何もない空間から1枚の地図が表れる。


「これがアスナルドの世界地図じゃ。ここがワシらがいる島じゃな」


 神は地図の中から海に浮かぶ小さな島を指差した。


 機能制限版の世界構築スキルは、この島でしか使うことはできず、本来なら人やモンスターという生命すら生み出すことができるのだが、それも制限されて無理とのことだった。


「モンスターか……。まあ、モンスターハンターというジョブがあるくらいだから、モンスターもいるわな」


 ゲームとは違うこの現実で、モンスターという言葉を聞き多少不安になる咲哉だったが、モンスターなんて上等だぜ! と持ち前のヤンキー魂で心を奮い立たせる。


 ちなみに、この世界にモンスターがいる理由だが、物語を面白くする作者の都合……ということでは決してない。

 そう、決してだ!


 実際のところモンスターが存在する理由は、この世界であるアスナルドは、地球のオンラインゲームを参考に作られているからだ。

 無数の世界を創造し管理している神であったとしても、新しい世界を作るネタが無限にあるわけではない。

 架空の物語である小説やゲームをネタとして世界を想像するのは、ある意味ごく自然な成り行きともいえたのだ。


 世界構築スキルの他に細かな制限としては、あらゆる物を造ることができるといっても、アスナルドに存在する物以外を生み出すことはできない。

 例としては、この世界にはプロトニウムやウランは存在していないので、核爆弾を生み出すことはできない。

 しかし、アスナルドに存在する他の物質を代用して核爆弾と同じような物を造ることは可能だったりするので、ある意味その制限はないに等しいともいえる。


「機能が制限されているから、この島でしか使うことができず、生命を生み出すことはできないね」

「まあ、この島でしかスキルを使えないとしても、スキルで造った物を島の外に持ち出すことはできるぞ」

「なるほど……。そう考えると大した制限とはいえないかもしれないな」


 モンスターと聞き一瞬不安になりつつも、あらゆる物を造ることができるということに、心が中2病的に踊る咲哉だった。


「で、スキルはどうやって使うんだ?」

「まあ、そう焦るでない。まだスキルを授けていないのじゃからな。今から世界構築スキルの機能制限版を授けよう」


 神は杖で咲哉の頭を軽く触れる。


「終わったぞ。これでお主も世界構築スキルが使えるじゃろう」

「もう、終わったのか!? で、肝心なスキルはどうやって使うんだ?」

「うむ。では手始めに、鉄でできた平凡な剣を頭の中に思い浮かべみるがよい。思い浮かんだら、"世界構築スキル発動"と言葉に出すのじゃ」


 頭に鉄の剣を想像する咲哉。

 ゲームに出てくる低レベの主人公が持っているような鉄の剣だ。

 そして、スキル発動のキーワードを唱える。


「世界構築スキル発動!」

「うむ。成功じゃな」


 咲哉の目の前にどこから表れたのか一瞬で鉄の剣が出現した。


「おお! 凄いなこれは!!」

「では次に、目の前にある鉄の剣が瞬間に消え失せるイメージをし、"世界構築スキル発動"と唱えてみるがよい」

「世界構築スキル発動!」


 たった今出現したばかりの鉄の剣が一瞬で消失してしまう。


「生み出して必要なくなった物も、このようにスキルで消すことが可能じゃ。基本的な使い方はこんな感じじゃな」

「おお、これは凄いな……。まるで手品師になったみたいだ」


 手品師より魔法使いという表現のほうが妥当かもしれないが、この世界には魔法使いという職業も存在するので咲哉の表現もあながち間違ってはいない。


「あっ、そうそう、肝心なことをいい忘れておったわい。スキルを使うとMPが消費し、使い切ると気を失ってしまうから、気を付けることじゃ」

「気を失うって、あぶねえじゃねえか!」

「まあ、そう心配することもない。MPを使ったからといっても、すぐに気を失うわけではないからな」


 MPを消費する毎に体がだるくなり、それを越えると目眩を感じるようになる。

 さらに、それを通り越すとMPが枯渇して気を失うってしまうということだった。

 この一連の流れを経験すれば、どのくらいでMPが枯渇し、気を失ってしまうかの感覚をつかめるようになる。


「なるほど。じゃあ、MPはどうやったら回復するんだ?」

「MPは時間が経てば自然と回復するが、MP回復ポーションで回復させることもできる。まあ、ポーションは副作用もあったりもするのじゃがな」

「副作用?」

「1回使ったくらいじゃ問題ないが、続けて使用すると眠くなるという副作用があるのじゃ。使用する毎に眠気が増していき、最後には眠気に耐えきれず完全に寝てしまう」


 眠くなるというポーションの副作用は、HP回復、MP回復、ステータスUPなど全てポーションに共通しており、戦闘中に眠くなってしまえば致命的な弱点ともなり得る。

 3回続けて使用するくらいならば弊害にこそならないが、4回目となると戦闘中であれば、大きな隙を作ることになり致命的だ。

 ただし、例外としては眠気に耐性のあるアイテムを装備していれば副作用の影響は受けない。

 しかし、副作用の影響を受けないといっても、連続使用は体に悪いというのがこの世界の常識であるから、4回続けてポーションを使用する人は稀であったりする。


「ポーションの副作用で、外で爆睡してしまったら微妙に恥ずかしいかもな……」


 こんなことをいっている咲哉だが、恥ずかしいどころではなく命の危険に関わるということを認識していなければならない。

 この世界にはモンスターや盗賊、異常な自然現象など、地球では考えられないほど危険なことが多いのだから。


「あっ、そういえば、世界構築スキルを使ったときのMP消費量は一定なのか?」

「うむ。そういえば話していなかったの。MPの消費量は一定ではない。分かりやすくいうと、力の大きな物を生み出すほど、MPの消費量も比例して大きくなる」

「MPの消費量は、作るものによりけりってことか。鉄の剣より鋼の剣。鋼の剣よりはオリハルコンの剣と、よりMPの消費量が大きくなるって認識でいいんだな?」

「そういうことじゃ」

「ということは、MP不足で生み出せないものもあるってことじゃないか?」

「そうじゃな。まあ、確かにMPが足りなくて生み出せない物もある。しかし、お主くらいMPが高ければ、よほど強大な力のある物を生み出そうとしない限りは、まあ、そこまで心配することもないじゃろうて」


 INTが高いとMP値は大きくなり、STRが高いとHP値は大きくなる。

 INTが500もある咲哉は必然的にMPもかなり大きな数値となっている。

 しかも、まだLV1なのだから、行く先は他に類を見ないほど強大なMPとなることは間違いないだろう。


「なるほど。まあ、色々と試してみるしかないか」


 世界構築スキルで何を作ろうかと夢の広がる咲哉は、世界平和のことなどすっかり抜け落ちていたりするのだった。


「ではワシは忙しいから、そろそろ帰らせてもらうぞ」

「はあ? 帰る……? 俺はこの島に一人で置き去りか!?」


 いきなりの置き去り宣言は、前途多難な日々を予感しているようだ。

 この先、咲哉はいったいどうなってしまうのであろうか。

モンスターが登場する理由は、物語の面白くする作者都合ですね。はい。


(えー!!)

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