2-拠点作り
この島に一人取り残されることになり焦る咲哉。
異世界にきたばかりで知り合いの一人もいないのだから、不安になるのも当然といえよう。
「何を不安になっておる。お主はこの島を拠点として、アスナルドを平和にしていくのじゃよ」
「この島が拠点? 拠点か……。何だかいい響きだな」
島にたった一人で置き去りというのが正しい表現なのだが、拠点という言葉ですっかり騙されてしまう咲哉であった。
「まあ、何か困ったことがあれば、この指輪に"ポムポム"と呼びかけるがよい。忙しいワシの代わりにポムポムが相談に乗ってくれるじゃろうて」
「ポムポムってあのバスケットボールだろ? 大丈夫なのかあれは?」
「ああ見えても、あやつはワシの右腕みたいな存在じゃ。役には立つじゃろう」
「右腕ねえ……。まっ、いいか」
微妙に納得していない咲哉であったが、神から指輪とアスナルドの世界地図を受けとる。
「じゃ、あとは頼んだぞ」
そういうと神の姿は一瞬で消えてしまった。
草原に一人置き去りにされてしまった咲哉だが今は特に不安はない。
世界構築スキルでどうやって拠点を作ろうかと、舞い上がっているからだ。
「この島が俺の拠点か。拠点といえば、やはり城だよな。俺一人だから大きさはこのくらいか」
そういって咲哉は世界構築スキルを発動させる。
咲哉の目の前に3階建て純和風仕立ての城が出現していた。
西洋風の城だと何となく面白味に欠けるので和風の城にしたのだ。
しかし、城の中に入った咲哉は微妙な表情を浮かべる。
「失敗した……」
3階建てに見えた城であったが、それは見た目だけで、中に入ると実際は1階立ての建物だったのだ。
外からの見た目と高さだけが3階建てという、何とも微妙な城になってしまった。
「これは見た目だけしか想像せずにスキルを使ったからだな。内部構造までしっかりと想像しないとダメか」
反省を踏まえ、詳細な内部の間取りをイメージする。
そして、地震や衝撃で倒壊することのない強度となるよう、事細かにイメージをする。
「よし! 成功だ!!」
今度はどこに出しても恥ずかしくないような立派な城が完成した。
あとは台所や浴室、トイレに寝室、リビング、客間、娯楽室と、さらに細かい家具なども想像して作っていく。
浴室はサウナを設置した大浴場で、20人くらいは余裕で入れそうなほど広々としている。
お湯は温泉をイメージし咲哉が思いつく限りの効能を含ませた。
温度の調整はボタン1つで自由自在であり、使用後のお湯は自動で浄化され、いつでも清潔な状態を保つ。
トイレはもちろん洋式水洗であり、使用後の自動洗浄は当たり前。
さらに、排泄された物は自動で分解消滅するという、咲哉の想像力をフルに発揮したものだった。
寝室にはオーディオを設置し、安眠と疲労回復効果のあるヒーリングミュージックを流せるようにした。
さらに、電機を消すとプラネタリウムから星空が投影されるという、何とも自己満足感バリバリなお洒落感を演出している。
台所にはタッチパネルのついた自動販売機のようなボックスが設置されている。
タッチパネルをスライドさせると様々な飲食物が表示され、タップすることで自動でボックスから食べ物が出てくるという未来的な仕様だ。
ここまでやるかって感じだが咲哉の暴走は止まらない。
娯楽室にはビリヤード、ダーツ、ピンボールにエアホッケーと定番な遊戯を設置しのはまだまだ序の口だった。
スクリーンに向かってボールを打つバーチャルゴルフに、ストレス発散のためのバーチャル格闘ゲーム。
そして、重力を自由に変化させられる部屋を作り、無重力を体験したり、重力を強くして体を鍛えたりすることもできるという、何処かのアニメにありそうなものまで。
まあ、ホント色々と作った。
ちなみに、この城には和室が一室しかなく、和風の城にしたことがまるで意味のないような設備の仕様になっている。
「これだけやっても多少体がだるい程度か。このくらいなら、MPはまだまだ余裕ってことかな」
既に空は暗くなっている。
世界構築スキルであっという間に設備が作れるにしても、考えながらチェックしながらやっていたので、それ相応の時間が経っていたのだ。
「とりあえず今日は寝るか。明日は剣や防具など装備品を作って、島でも散策するか……」
寝室でプラネタリウムを見ながら眠りに落ちる咲哉だった。




