せきにんかん
「や、こんな様で情けないったら……。 私としたことが」
「ん。 いや、あんまり無理すんなよ?」
「ん。 ありがとね?」
かすかに動揺する膝元をさして、望月は自嘲の笑みを転がしてみせた。
「もう、お化けの正体を突き止めるだとか、大それたことは言わないよ。 欲は掻かない」
しかし、主催者という立場からすると、家族で摘まめる手土産くらいは───
帰宅した後、そこで各々(おのおの)が、家族に披露できる土産話のひとつくらいは、どうにか持たせてやりたいのだ。
「幸介が帰るって! もう帰るって言ってるよっ?」
「んだよ? 俺がカエルって」
どうにも話が噛み合わない。 というより、普段から噛み合いが良すぎるため、空回りをしているのかも知れない。
そんな、珠衣と幸介による、元気な声を聞く。
史と同様、今日は自分の計画に、イヤな顔ひとつすることなく、こうして付き合ってくれた面々だ。
『もし、お前が歴史的に貴重なものを発見したとする───』
あれは、いつの事だったろうか。
記憶も曖昧だし、正確な状況も、具に思い出すことはできない。
そこから考えて、幼いころの出来事だったと思う。
『しかし、発掘現場にいるのはお前だけじゃないぞ? 多くの作業員もいれば、現場を監督・指揮する者だっている』
それも、心地のよい微睡みの中で、漠然と聞いた覚えがある。
『他にも、史跡を保存してくれる博物館の代理。 あるいは、役人だっているだろう』
恐らく、膝の上で“うつらうつら”とする私に、子守唄の延長線として、祖父が聞かせてくれた言葉だったのだろう。
ともあれ、内容の方は、今でもはっきりと覚えている。




