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熱中してたのに
「あ……っ」
「お? どうしたよ?」
今更ながら、この友人に対し、そんな評を覚える史の眼前。
ほそい背中が、不意に硬直した。
「………………」
いまの今まで、あれほど揚々と進んでいた足が、いまは静かに停止している。
前方をジッと注視する後ろ姿が、なんとなく“ワナワナ”と、小刻みに震えているようにも見えた。
「いや……。 あのー……、なんていうのかな? あははは……」
「どうしたの……?」
「まさか……、なんか出たとか?」
各々(おのおの)、固唾を飲んで見守る中。 ゆったりとした動作で、望月が一同のほうへ向きなおる。
そうして、ガラにもなく愛想笑い。
こんな申し出を、静々(しずしず)と述べた。
「よかったら、私も仲間に入れてくれないかな? その……」
図らずも、史が中心になる形で、ひとかたまりの体をなす各々(おのおの)の様子。
それを示しつつ、頬をなでなで。
「いや……、あははは! はぁ……。 えっとな? ちょっと、限界みたい」
ふとした瞬間に、自分の世界を脱したことで、唐突に目が醒めたのだと思う。
同時に、内面の図式が、きれいに反転してしまったのか。
恐怖>興味。




