熱中してます
「ナデ……」
「バカぁ!!!」
「んだよーぉ? そんなに遠慮することないだろー?」
「遠慮するよ! ナデナデいらない!!!」
ともあれ、さすがは珠衣と幸介。
お互いに、気心の知れた幼なじみである。
「いい加減にしないと、お姉ちゃんに言いつけるよっ!!?」
「ぬぁっ!!? それだけは……! それだけは勘弁してください!!!」
“自分がこういう事を言えば、相手はこういう反応をしてくれる”
それを知り尽くしているため、二名がおりなす会話は、実にパワフルであり、痛快なものだった。
それは、現在のホラーな状況を吹き飛ばしても余りあるほどの、言い知れないパワーなのだった。
「むー……? ここが城趾だった記録はないし、大きな戦があったって話も、とくに聞いた覚えはないんだけど。 うーん……」
そんな中。 先頭を行く望月だけは、真剣に考え込む所作で、しきりに唸っていた。
ひとたび探求心に火がついた彼女を止めることは、何人にも叶わない。
「なぁなぁ望月っ!」
「“姫さま”を探している理由は……? いや。 そもそも、声の主は何者なのか……?」
「えぉ……っ!? やっぱり、探してんのかな……?」
「ねぇねぇ望月さん!」
「恐らく、その“姫さま”と、生前から親い間柄にあった人物か……?」
「うは!? 生前……っ!!?」
もはや、自分の世界に入り込んでしまった彼女のひとり言は、危険物以外の何物でもなかった。




