ホラーとは2
かすかな足音が、暗れ塞がる宵闇の中へ、しめやかに飲まれてゆく。
窓ガラスが閉めきられた廊下は、空気が“どんより”と濁っている印象で、決して居心地の良いものではなかった。
「けどさ? “ひめさま”だっけ? その声が、呼んでたのって」
「ひぇ……っ!!?」
おそらく、緊張を紛らわす目的だろうか。
こういった状況下では、タブーに近い話題を、幸介が提示した。
ギクリと、珠衣の肩が跳ね上がる。
その模様がおもしろかったので、申し訳ないとは思いつつ、史も追い打ちを仕掛けることに。
「アレかな……? ひょっとすると、この場所に城でもあったのかね? むかし」
「へ? なんでお城?」
「え?」
あまり反応が思わしくなかったので、もう少し具体的な言葉をつかって述べることにする。
「ほら、お城があったらさ? 戦もあるだろ?」
「え? うん……。 あ、そかそか!戦国時代って、そんな感じだよね? 怖いよね……?」
となりを歩む珠衣が、わずかに小首を傾げた後。 ゆったりと頷いてみせた。
「そう……。その戦のなかで、非業の死を遂げた──」
「ほぉうっ!!? ストップ! ストップストップっ!!! それ以上はダメだよっ!!?」
登校時における、穂葉の仇を討ってやった。
そういうつもりは特に無いのだけど、期待通りの反応を示してくれたので、満足する。
そんな史、あるいは珠衣の心情を余所に、すっかりテンションの上がりきっていた幸介が、さらなる追い打ちに取りかかった。




