あさごはん3
「でも、どこに建てるんです? お隣の空き地とかですか?」
「ん? それは追々(おいおい)」
「あ。 でも、町中じゃ花火なんて上げれませんよね……? 近所迷惑になりますし、何より危ないし」
「お? たしかになー……。 そりゃ、場所は改めて何とかするわな。 もちろん!」
ただ、結果に到るプロセスが、何より大事。
初動を起こすにも、まずは充分な思慮を必要とする。
そういう性格なのだ。
そうしないと、納得がいかないのだ。
わが巫女。 この、すごく真面目な上にも懇ろな、穂葉という家族は。
「なんとかって、具体的には?」
「あ? そりゃ……、なぁ?」
ともあれ、史の側からすると、そういった彼女の性格は、非常に頼りになるし、安心できる。
常に神の側にあって、時には力強い支えに・時には歯止め役になる者を“巫女”と言う。
何の支えも無しにやっていけるほど、神の御業は楽じゃない。
一切の歯止めを必要とせずやっていけるほど、神という立場は気楽なものじゃない。
超常の力を備えている以上は、必ずどこかで歯止めが必要になってくる。
そういう意味で、穂葉は満点だった。
この上もないほどに“巫女”だった。
「でも、史さま?」
「おん?」
「仮に神社を造ったとして、ちゃんと運営していけるんです?」
「もちろん! ちゃんとするよ? 勉強もするし!」
「ほぉ……?」
また、誰よりも近くにいて、種々の心根を理解してくれる者を家族という。
ともすれば、穂葉は家族としても満点だった。
この上もなく、史にとっての家族そのものだった。
「んむ……」
こんがりベーコンを目の前でブラブラさせながら。 この熟考に、どれほど時間を費やしただろうか。
「そうですね……。うん」
「うん。 どうかね?」
その末に、それをふたたび皿の上へ几帳面に戻すことで、晴れて思案の淵を脱したポーズを用立てる。
そうして穂葉は、満面を綻ばせて、大きく頷いてみせた。
「うん! 建ててみましょうか? 神社!」




