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神祇 ─じんぎ─  作者: 高石童話本舗
さがしものと
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34/1823

あさおきて2

「んゎ……」


頭上に伸ばした腕を、元の位置へ“ぽすん”と戻す。


ゆっくりと、頭が稼働を開始する。


カーテンの向こうが明るい。


鳥の(さえず)りが、かすかに聞こえる。


朝だ。


もう朝。


あぁ……、朝か。



「しょ……!」


むくりと半身を起こす。


その動作によって、別離を余儀なくされた枕の感触。


ずり落ちた夏布団の肌触り。


すべてが名残(なごり)惜しかったけれど、仕方がない。



「………………」


ベッドに腰を据えたまま、ゆったりと視線を巡らせる。


薄暗い一室は、全面に渡ってフローリングの敷かれた六畳間。


広すぎず、狭すぎず。 生活様式に見合った、ごく一般的な洋間である。


南側に大判のガラス戸を。 東側には、通常サイズの窓ガラスを配している。


現在は、いずれも厚手のカーテンによって、ぴったりと(さえぎ)られていた。


それでも尚、それらの隙間から入り込んでくる陽光は、初夏に似つかわしい旺盛(おうせい)ぶりで、室内を直線状に照らしていた。


机と椅子のワンセット。 スチール製のラックに本棚。 背の低い丸テーブルに座椅子。 備えつけのクロゼット。



「ん……」


それら、諸々(もろもろ)の調度品に、しっとりと及ぶ光線を追って、ふと横合いを見る。


ベッドを据え置いた場所からすると、すぐ(かたわ)ら。 窓枠を覆うカーテンが、(ほの)かな暖色に染まっていた。


どこか気忙(きぜわ)しい鳥の(さえず)りが、その向こうから聞こえてくる。


じつに(おだ)やかな印象だ。


平穏で平凡な、爽やかな朝の模様。


今日も、普通の一日になりそうだった。

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