後始末
春明は、例の禁足地を受け持つ神社、そのすべての神主宅へと一軒一軒電話をかけていた。
「そう、資料。コピーでも写真でもいいからとにかくあの禁足地に関わるのは全部……あ?こちとら被害者なんですけど!?知る権利くらいありますよね!」
大体が持ち出し禁止や秘伝を盾に断ろうとするのだが、少々相手が悪かったらしい。
「なんだったらそっちの祭神に直接話聞きに行ってもいいんですけど?……ん、じゃぁ、話しついたら送って下さい」
最後の一軒への通話が終了し、すでにスマホへと送られていた写真を拡大しながら確認する。
今回関わることになった禁足地、そこに封じられているアレの由来。そのさわりが書かれていた。
「ふぅん、元が神と巫女か……内容が少なすぎるな。あれか、伝承を細切れにして各神社で保管してるとかか?」
呟きながらルーズリーフを一枚引っ張り出して、書かれていることを書き写す。
すべての伝承が手元に集まるまでに、2週間とちょっとかかった。
---
数十年に一度、死傷者を出して『恐怖を再認識する』確かに危険性は知らせることができるかもしれませんが、それは管理と言えますか?
これからも、未帰還者を出すという人道的なリスクを許容するつもりはありません。
伝統という言葉で、思考停止を正当化するのはもう終わりにしましょう
今まで支払われていた管理補助金は、あくまで『安全な維持』が前提のはずです。中身の性質すら把握せず、やってることは定期的に餌を与えるだけ。
結界の維持は正しく運営されていたようなので、そこは継続してお願いするとして、中のアレの生態調査、浄化、もしくは弱体化を目標にこちらで進めていきます。
あ、もちろん補助金はそれに見合った額を再計上させていただきますね。……不服があるなら、あの禁足地に入って、自力でアレを鎮めてからならお聞きしますよ。
---
「うああぁ……生態調査の計画立てんのめんどい。調査時の結界の透過性の変更……はぁ、初めのうちは俺が行くか……早くマニュアル化したい」
本日も3人は河上家の竜一の部屋へと集合している。
「生態調査、ちょっと興味あるな。なぁ、ちょっとねじ込めないか?」
竜一が次に出版予定の妖魔辞典の確認の手を止めて、春明へと尋ねた。
「あ、俺も見てみたいかも。あん時見る前にダウンしちゃったからどんなだか知らないんだよな~」
修平も、当時どれだけ危ない状況だったのかを聞かされたはずなのだが、喉元を過ぎたらしい。
「はいはい、次はそこまで日給出ないぞ?それでいいならなんとかするけど」
3人が再び温泉旅行へ向かう日は近そうである。
ここまで読んでいただいてありがとうございます〜
キリがいいので一旦ここで止めて、また書き溜まったら再開します〜
星とか、よかったら……いや、やっぱりなんでもないです




