第十三話 お粗末な国の企み
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父が魔力を流せという。
何度めか解らないが精神を疲弊する魔法を流す。
この魔法は主に拷問の時に使う。
脳を直接刺激して自白を促す、嘘を付くと激しい頭痛が襲う。
この女は何度も痛い目にあっているのに全く学ばない。
まさかそういう性癖ではあるまいな。
やめてくれよこっちが病みそうだ。
スノーの姉のコーディは、びっくりするくらい母親にソックリだった。
顔もそうだが性格が子爵家で暴言を吐いてた母親と瓜ふたつの物言いをする。
父親を貶めるのが楽しいのか?
だがこれは俺達にとってスノーの目を覚まさせる絶好の機会なのでそのまま放置している。
アディルが保護すると言って『高い』にスノーを入れたからな、きっと姉の自白を聞いてるだろう。
「計画の最初から話すんだ。辻褄が合わなくなったらまた頭痛がするだろうがな」
「もう何回も話してるのにまだ話すの?私はただ贅沢がしたかっただけよ、お母様に付いていったら贅沢できると思ったからついて行っただけ」
「兄の話しはどうなんだ?」
「お兄様が魔力を持ってないのを知らなかったんですもの。お父様の手伝いをしただけよ、だってそうすればもっとお金持ちになれるって言われたから、お兄様が死ぬとは思わなかったのよ」
コーディは兄の死にも関与していた、あの時もっと調べるんだったと父が隣で悔やんでいる。
「スノーには家の何を探らせるつもりだったんだ」
「メイナード公爵家は王家の保険って聞いてたから絶対に機密が眠ってるはずだから、それを盗むように言ってたのに、あのバカはいつまで立っても盗み出せないし連絡バトにはもう少しで公爵夫人になれるとか言ってくるし、そろそろ消そうかと思ってたのよ。全然役に立たないんだものお母様も産まなきゃ良かったって言ってたわ」
やはりアディルの勘は当たってた、保護して正解だな。
これを聞いてればスノーも素直に話すだろう。
まぁあの娘がどこまで知ってるかは謎だけどな。
「お父様が死んでから子爵家にいた時に男の人がお母様を訪ねてきたのよ。すっごく洗練された初老の方だったわ、昔はこの国の貴族だったんですって、でも王家に連なる人に冤罪を着せられて没落してしまったって言ってたわ。その人の娘っていう人がスパナート伯爵家の娘を気にしていたから、その関係で教会に慰問に行ってたのよ、嫌だったけど」
「何をしに行ってたんだ、本気で慰問などしてないだろう」
「何かずっと話してたわ、でもそのうちその子がお嫁に行くからって、何かバレたら困るから一旦国を出ようって事になったのよ」
「お前たちは何がしたかったんだ」
父がコーディに尋ねると彼女は両手を肩のところまで持っていき掌を上に向け「さぁ?」と返した。
「お母様とその初老の男の話しは二人でしかしてなかったから知らないわ。ただ私はこれが成功したら贅沢出来るって聞いたから協力しただけよ。ねぇ公爵様、お父様はお兄様を死なせちゃっただけなのに、どうして家を潰したの?折角私が後継になれるところだったのに、人の家にチョッカイかけるから潰されることになるんじゃないの?」
「潰される?」
コーディは『しまった』という顔をしたので俺は父が命令する前に再度魔法をかけた。
苦痛に顔を歪ませながらコーディは、やっぱり目的を知っていたようだ。
「痛い!痛い!止めてよ。痛いわ、痛い!あぁーもう話すわよ、話せばいいんでしょう。
マッケナンにとても優秀な魔力持ちが3人見つかったそうで、今ならそれを使って領土を広げられるって思ったらしいんだけど⋯⋯痛い!待って続きがあるのよ。
ソルジャーの貴族が結託して王家を倒そうとしてる事が解って、それに便乗して力を貸す代わりに属国にしようってマッケナンが思ったんだって」
「こちらの貴族の首謀者はわかってるのか」
「それはお母様が聞いてるんじゃない?初老の人は最初はこちらの貴族に付いてたけどあまりお金をくれなかったからマッケナンの方に付いたみたい。でもその人の娘はこちらにずっと居たみたいよ。その貴族を尊敬してるとか何とか言ってたけどね」
俺と父はそこまで聞いて二人で目を合わせてお互い頷いた。
後は元アッパール夫人の方に初老の男の正体を確認するだけだ。
おそらくは元サイフェル侯爵だろう。
「沙汰が決まるまでは暫くここでおとなしくしてるんだ」
「嫌よ、何なのこの透明の中、寝る事も出来ないじゃない」
「寝かせると思ってるのか?その中では水も食事もいらないんだ。喉が乾くこともないし腹も空かない、快適だろう?」
そう言って『丸い』から俺達は離れた。
地下牢からの帰りに父がフフッと笑いながら俺に話したが全く持って同感だ。
マッケナン王国は井の中の蛙ちゅうの蛙だ。
スノーがポンコツで助かった、いやある意味優秀だ。
アディルの魔力の話をおそらく流したから、あの国は手を引こうとしているのだろう。
ミント伯爵はどうするつもりだったんだろうな。
だが今更手を引いてももう遅い。
潰すと決めたなら徹底的に潰す、マッケナンの周辺国には通達済みだから、大義名分が出来たので皆こぞって潰しにかかる事だろうな。
それほどこの大陸内では他国の属国化は重罪なんだ。
もう計画しただけであの国は終わってたな。
何も態々ソルジャー王国がする必要はない。
周辺諸国の皆様頑張ってくれ、心の中で俺は応援した。
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「サンディル様、今日はマーク様の妹様とダルトンのお兄様のお見合いの日ですわ。お義母様が張り切ってしまったのですけど、これどうしますか?」
また母が余計な物を作ったらしい。
これは?とアディルに聞くとクッキーだという。
俺には釦の様に見えるからきっと釦柄のクッキーなのだろう。
1個口にするとやはり釦だった、固すぎる。
そして何故灰色なのだろうか?
「最近大陸の東側にて作られる作物がお試しで届くのです。美味しかったら輸入しようと思ってるの。今回は色々届いたのですけど『ゴマ』と『海苔』という物が美味しかったのです。で、これにはゴマを使ったそうですわ」
「そうか⋯⋯⋯このクッキーは父に渡せばアッという間に無くなるから父に渡せばいいよ」
「いえこちらは是非にとお義母様が持参したので出さないわけにはいきませんわ」
「では大皿に入れて父の目の前に置くんだ」
「⋯⋯わかりました、そのように致しますね、私もダルトン達に負担はかけたくなかったので良かったです、でも余りましたらお覚悟お願いしますね」
本当に母には止めてほしいが唯一の楽しみだと言われると禁止できない。
それなのに全て一人でやりたがるんだよなぁ。
未だ釦が口の中で柔らかくなってくれないので噛めぬまま顎に治癒をかけながらモゴモゴしてる俺だった。
このままでは見合いの席に挨拶にも行けないじゃないか。
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