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駄菓子屋から始まる異世界レベリング  作者: 八 五月 / 戯歌 飛龍
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第72話


別のクラスである桜月さんと別れ、今日もまたいつも通りガヤガヤとした自分の教室に入る。


すると、そこには既に沼田が本を読みながら座っていた。

普段と同じ様に平然としている彼に なんと声を掛けたらいいのかと、口をもぐもぐとする。


なんて言ったらいいんだろう…?

ありがとう?

助かったよ?


一先ず 自分の席に座り、沼田のタイミングを見計らおう。

そっと沼田の後ろを通過したその時_


「大丈夫だったか?ミッチー」


沼田は椅子に座ったまんま背を逸らし、傀と目を合わせる。


「う、うん。色々助かったよ。先生を呼んで来てくれてありがとう」

「フッ!いや、まぁ〜そんなすごい事やった訳じゃないけど〜!その場に居たならやるでしょ?普通〜」


鼻を指で擦りながら照れ隠しをする彼。

今回の一件で、彼への見方が凄く変わった気がする。

前までは、いつも摩訶不思議な質問ばかり聞いてくる変わり者だと思ってたけれど、案外彼は頼りになるらしい。

そう思いながら自分の席に座り、一息入れたとき、それは不意に振られてきた。


「なぁ〜、ミッチー?そういや〜、なんで"大人気ない"って、"大人気ない"って言うんだろうなぁ〜」

「あ、多分、"大人らしい気がない"が省略されて"大人気ない"になったんじゃないかな。僕の想像だと…」


「大人っ気ない……大人気ない…。あー!なるほどなぁ〜。いや、よく考えれば分かったわ!いやぁ〜、悔しいな!」

「ご、ごめん!必要なかった?」

「いや、大丈夫!ミッチーのおかげでスッキリしたわぁ〜」


沼田はそう言い、体を名一杯伸ばしてまたその時、示し合わせたかのようにチャイムが鳴り、皆んなが席に着き始めた。


「起立、礼儀!」と 日直の声に合わせて、一斉に挨拶をすると、早速授業が始まる。

先生の声に耳を傾け、板書をノートに写し終えると、不意に桜月さんの一言を思い出す。


『あれ、そのドッグタグ、…さっきまでしてました?』


何故、そんな事を聞いたのだろう。

見えてなかった…。いや、そんな訳はないだろう。

ドッグタグ自体は服の中に入れてはいるものの、首に掛けている部分は隠していない。


やはり何度考えを巡らせても、(気づいてなかった)という答えに辿り着くが、何処か腑に落ちない。


怖いが今後のためにも一旦確認しといた方がいいだろう。

そう思い、服からドックタグを出し、ぶら下げておく。

幸い、6限目は国語だ。先生は生徒の周りを回りながら教科書を読むからだ。

片手に教科書を持ち、もう片方の片手でドックタグをいじりながら、先生が回ってくるのを待つ。

ようやく回っていたと、思ったが、一瞬目があうも、何も言わず、教科書の朗読を続ける。


これはどうなんだろう。

ただ、黙認されただけなのか…。

それとも、見えていないのか…。


予想と反して何とも言えない反応だった。

他に探る方法は…。

チラリと周りに目をやると、沼田と目が合う。

あ!その手があったかと、なんとも拍子抜けだ。


今すぐ見せて話を聞きたいが、授業中で、目立った事は出来ない。

今できる事は、見せる。それだけだった。


ドックタグのチェーンに親指を掛けて沼田に見えるようにし、目で合図すると、沼田はそれに気づいたのか、親指を立ててくれた。

だが、何か変だ。

首を傾げ、眉を下げて居るのが見える。


その微妙な反応が返ってきてはこの疑問が晴れる事はない。


名案だと思ったが、もやもやとしたものが胸に残る。



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