第34話
「え…?」
「だから、面接だって!」
「…えっと、すみません。なんの面接ですか?」
「BRW団入団のに決まってんだろ!」
「あ!あの時の大男!」
ティラの方を振り向けば、まるで ガルルルルと唸り声を上げ、ティラの髪が逆立っているように睨みつけていた。
「まぁ落ち着け、ちっこいの」
「にぃ〜!何よ!噛み付くわよ!!」
犬歯が輝くのが見える。
「おっと!それは遠慮するよ」
「あ、あの〜。面接は…」
「お!そうだったわ、すまん すまん。
まずは自己紹介からだな!
BRW団団長、葉戸 鮎太朗だ。
んー、呼び名は普通に鮎とか団長とかでいいぜ。
これで、自己紹介終わり!
さあ、面接を始めよう」
鮎太朗は服の内ポケットから紙を取り出すと何かを確認し始める。
「えーっと、名前は…道永傀…で、あってる?」
「は、はい。あってます」
「んじゃ、次。……種族は、人間で合ってる?」
「……?それはどう言う…?」
「いや、…特に意味はない。それで?」
「多分人間です」
「多分とは?」
「何て言うか、こう…。虫けら的な…」
「はぁ〜〜ぁ」
彼は雑に髪を掻き、大きくため息をついた。
「お前、ヘルダイバーだよな?」
「えっと、こっちの世界に来れる人の事でしたっけ?」
「ああ、そうだ。その反応なら大丈夫そうだな」
「は、はい…」
「んじゃ次は、特徴か……」
目を細め指でなぞりながら傀と紙を数回見比べる。
「まぁ、ここは大丈夫か」
「へ、変なところなかったですか?」
「いや、大丈夫だろ。髪とか切ったら特徴なんて変わるだろうし。やっぱこの項目いらねぇかもな」
「そ、そうですか…」
ほっと胸を撫で下ろしたが、話はそんな暇を与える事なく次の項目へ移動する。
「スキルは…絶対……集中ねぇ」
「私が掴んだんだから!いい名前でしょ!」
そうなのか?と、鮎太朗はティラの方を見て、顎を手で撫でる。
「シンプルでいいと思うぞ」
と、笑いはじめた。
ん?待って?
「ティラ?絶対集中って、ティラが考えた名前たったの?」
「そうだけど…」
萎んでいくティラを無視して彼は一言つけた。
「スキル名は内容にあった名前を自らがつけるもんだ。スキルってのは、要は個性みたいなもんだからな」
「そ、そうなんですか…」
「もしかして、傀、自分でスキル名考えたかった?」
「うん…」
「ご、ごめんね…?」
「まあまあ、そんなに落ち込むことたぁないさ。
ちょちょっと書き直せば、いいだけだからよ。
登録し直すか?」
絶対集中…、集中力…?
「もうちょっと一緒に相談してから名付けたかったけど、…やっぱり絶対集中でお願いします!」
「もうしっくりきちゃった感じ?」
「しっくりきちゃった感じ…です!」
的を射た答えに辿り着いたことで、傀の表情が晴れやかになり、それに釣られて心配そうに伺っていたティラにも明るさが戻る。




