第30話
第30話
「ふぅーぅ」
溜め込んでいた息をゆっくりと吐き出し呼吸を整えて、傀はラットの背中に刺さったナイフを抜く。
「傀!大丈夫?!」
ティラが飛び降りるように降りてきた。
「ん、大丈夫。」
「それなら良かったわ!」
「ティラは怪我とかない?大丈夫?」
「私は傀がかばってくれたから大丈夫だったの。ありがとね傀!」
「怪我がないなら良かったよ」
ホッと一安心した。そのせいか足の力が抜け木にもたれかかる様に座り込んだ。
「だ、大丈夫なの?本当は怪我したんじゃ…」
「いや、ちょっと力が抜けただけ」
「そ、それなら良かったんだけど」
「ごめん、ここで悪いんだけど少し休ませて」
「いいわよ、ゆっくり休んで」
「ありがとう」
「じゃあ私はちょっとご飯取りに行って来るね」
「ありがとう、お願いするね」
(なんとか倒せたか?
もしかしてこの前の…?)
少し、体の疲労が抜けてきたその時…
ギィィーィ
音の方を見ると、ラットがヨロヨロな足取りで起き上がろうとしていた。
すぐさま立ち上がりナイフを抜き構えようとするが、足がもつれる。
「ギュゥゥー」
ラットの喉から何か上がって来るのが見えた。しかし、頭を回転させるも一つも回避する方法が思いつかない。
出来る限り最小限、あの液体に当たらないようにするしかない。
それに当たったらどうなるのかはわからないけど。




