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<81> 世界中どこへでも

 太郎とリサが誘拐されてから一年後、カイトは、一人事務所で考えていた。今後の計画である。


 霊は自由に移動できる。だから、日本からアメリカへの移動も一瞬である。今、世界中に仲間を配置した。だから、事件が起こったら、そこにいる人物に霊が入り、目的を達成する。


 さすがにファミルが活躍しなければならない状況ともなると、ファミルの移動時間を考える必要があるが、ファミルの下で修行した者たちで対処できることがほとんどである。


 異世界での修行は、かなり順調だ。最低限マスターしてもらう魔法は、回復魔法と防御魔法、体内調整魔法、それから超高速魔法だ。これらは、地球でも使えるように調整してある。防御魔法だが、ライフルで撃たれても、致命傷になることはない。ちょっとかすり傷を負う程度だ。普通の銃であれば怪我すらしない。だから、マシンガンで撃たれても平気なのだ。


 それから、体内調整魔法は、体の中の毒素を無効化したり、水中や地中で呼吸ができなくても大丈夫なように血液中の酸素濃度を調整したり、太りすぎや痩せすぎなどにならないよう脂肪量やたんぱく質を調整したり、筋肉も必要に応じて増やしたりできる魔法だ。体内に関しての調整はほぼ万能である。視力の低下も、この魔法で改善できたりする。ただし、今のところハゲ頭に毛を生やすことには成功していない。


 そして、超高速魔法だが、これを使うと全神経が研ぎ澄まされ、他の人の動きが遅く感じる。それにより、ちょっと強い程度の相手なら、簡単に倒すことができる。相手の攻撃を受けることもない。


 また、万が一傷を負ったとしても、回復魔法で治せるので問題ない。だから、ファミルが登場する必要がほとんどないのだ。


 これらの魔法を忍術として教えたにも関わらず、疑問に思う者はいない。忍術とは便利なものだ。魔法が忍術に似ているのが良かったりする。


 制服も忍者服にしてしまおうかと真剣に考えたりもしたが、太郎に却下された。私は結構いいと思うのだが。まあ、一部の特殊部隊はこっそり忍者服にしよう。


 現在、仲間として五千人以上が活動可能な状況となった。でも、全世界で活躍することを考えると、まだまだ足りない。最低二万人は必要だと思う。そこは、レイガの働きに期待しよう。


 また、異世界の水をこちらで販売することも計画中だ。異世界の水には魔力が含まれており、その水を飲むことによって魔力を補充できる。


 異世界の水はとても美味しい。これをペットボトルに入れて販売する予定だ。


 卸売りの段階の金額で一本五百円・希望商売価格は千五百円。


 通常の飲料の十倍で取引する。魔力水。原価0円の水を五百円で販売する時に得られる利益は大きい。


 誰が買うのかって?


 高い金額で売れば逆に買う人がいるものだ。そして飲んでみたらとんでもなく美味しい。それならばまた買いたくなる。


 そして販売を続けることで、地球も少しずつ魔力を帯びて、やがて魔法が地球でも使えるようになると期待している。今は、体内にある魔力を体内でしか利用できないが、体外に効果のある魔法が地球でも使えるようになると大変便利だ。


 そこまで多くの水を異世界からどうやって運ぶのか。これには、ちょっと裏技を使う。転移する際に空間をつなぐ魔法を発動して、こちらの世界に持ってきた魔力を含んだ異世界製のドアと接続する。すると異世界と空間が繋がったドアの完成だ。これを川に置くと、川の水が地球に流れてくる。この水をペットボトルに入れて販売するのだ。衛生面での問題がないように水の浄化処理は完璧だ。


 異世界と地球を魔法でつなぐことに成功した時には、さすがの太郎も驚いていた。これを応用して、今は太郎の力を借りなくても、地球と異世界を行き来することができるようになっている。


 はじめに空間をつなぐ魔法が成功したときに、異世界と空間をつなぐことも可能なのではないかと考えたのだが、やってみたらできた。


 他にも、大金持ち限定での探偵業を行っているが、今は世界中に事務所があるので、より多くの人が相談に来るようになった。一回一億円だが結構お客様がいるものだ。大金持ちというのは、意外と問題を抱えており解決を求める人が多い。


 また、太郎の病院で、大金持ちで治療を求める人がおり、こちらも一億円以上の金額で治療している。中には百億円で治療したケースもある。百億円で治療したのは、子供ができない女性で子供ができるように治療するといものだった。


 この患者の子供ができない体質は、怨みの霊が子供ができないように邪魔していたのが原因だった。


 だから、本来であれば治療そのものは不可能に近い。しかし、みんなで協力してなんとかした。


 どうやったか?


 これには、先祖の悪事を怨んでいる霊に納得させる必要があり、そのために怨みを持つ霊の子孫にあたる人たちを助けることで納得してもらったのだ。


 ある子孫には手を再生させ、別の子孫には目を見えるようにして、またある子孫には車椅子の必要のない体にしたりと、十一人もの子孫を治療した。それでようやく怨みの感情から感謝の感情へと変化したのだった。つまり、それだけ手間がかかったわけで、百億円は貰わないと割に合わない仕事だった。


 それで、今は子供もお腹にいて幸せそうにしている。この人の話は、テレビ放映で使わせてもらった。


 ともかく、太郎やファミルを誘拐させたりと無茶はしたけれど、ハイリスク・ハイリターンという結果は出ている。太郎も怒っていないようだし、問題はないだろう。さて、次はどうするか。


 そろそろ、リサを殺した犯人にも接触する時期に来たと考えても良いだろう。彼は霊に操られていただけとは言え、精神的にはかなり危うい状況だ。これは、太郎からの依頼ではあったが、ここまで時間をかけて準備する必要があった。


 だから、最低でも五十億円必要と太郎に言ったのだが、太郎は五百億円出してくれたので、より万全な準備ができた。


 完全な解決のために、白神響子リサの先祖に怨みを持つ者たちを納得させることが必要で、今までで一番大変な仕事だ。転生したことを知られると、怨みを持つ者たちが、またリサを呪うだろう。

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