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<80> 僕とリサが誘拐されてがんばった件

 朝起きて、リサに挨拶する。夜は異世界側でゆっくり寝た。日本にいて寝てるところを襲われるのはいやだからね。それで、リサが作ってくれた朝食を食べ、準備が整ったところで日本に転移した。


「リサ、今日は誘拐されるかもしれないから、ちょっとしっかり準備しておこうね」


「おやつとか準備したほうがいいかな?」


「そうだね。何かあるといけないから、急所への防具なんかはフル装備にして、……え? おやつ?」


 リサは、まじめに言った。


「チョコレートは必需品よね。それから、ポテトチップはスペースを取られるからだめ。それから……」


 リサにとって誘拐されることは遠足とかなんかのイベントに相当することのようだ。誘拐されるのに必要なものをコンビニで買うことになった。誘拐って何だっけ?


 リサがコンビニで買ったのは、チョコレート、アンパン、牛乳、缶コーヒーであった。これらが、後々で役に立つというのだ。ジンの情報か? それともただ食べたいだけか? よくわからない。自分の恋人の行動が今日ほど謎に思ったことはない。


 コンビニで買ったものを僕が持つ。


 とりあえず、僕の会社に向かう。今日の分の鏡ときんを交換しないといけないから。最近は大量に転移させることができるようになったので、一日に一度でよい。会社でその作業を終えるのに一時間もかからない。周りの人たちが手伝ってくれるからね。


 それで、今日一日は他にやることがないので、リサとデートだ。僕はコンビニで買った袋を手に持ったまま、外をリサと一緒に歩く。そして、カイト僕に入って言った。


『あと五分ぐらいで誘拐に来るから、そこの公園で座って待ってるといいと思うぞ。ちょっとマシンガンを持ったやつらが百人ぐらい来るだけだから、そんなに心配しなくていい。それで、ちょっと撃たれるかもしれないが、あの特殊防弾チョッキは着てるよな。まあ、ちょっと撃たれたふりして痛がってくれればいいから。こっそり撮影してるから、よろしく』


 そう言って、彼は去っていった。次の別の現場で待機している様子だ。ここで僕たちを捕まえて、次にどこに行くのかも決まっているのだろう。


 前回は、山小屋に連れて行かれて爆弾をしかけられたが、今度はどうするのかな。そう思っていると、たくさんの車が止まった。そして、黒服の男たちが僕たちを囲んだ。黒服にサングラス。ちょっと変わった職業の方々のようだ。


「いたぞ。あいつらだ。撃て!」


 いきなり撃ってくるの?ここで殺す気?気が早いね。とりあえず、リサと頷きあって撃たれて痛がる演技をすることにする。


 ダダダダダ……


 僕たちは撃たれるが、とりあえずは平気だ。だが、痛がる演技が必要だった。


「うわあ……痛い……痛い……」


「きゃああ……痛い……痛い……」


 リサも僕も演技が下手だな。まあ、今回は演技が下手でも良いらしいので、ナンシーやアレクサンドロス三世のお世話になる必要はない。彼らの演技では、演技力が高すぎて演技に見えないので、今回の放送には使えない? らしい。


 もう、ギャグ路線で放映する方針なのだろうか。


 とりあえず、僕たちは捕まった。手にはしっかりとコンビニの袋を持っている。中身は無事だ。


 僕らは、ロープで縛られ車の中にいる。でも、この車になぜか隠しカメラが設置されているんだよな。レイガの仕業かな?


 リサも一緒の車に乗っている。リサと僕を一緒にいさせるように指示されているのだろう。もちろん、リサが一緒でなかったら、僕はこの場からさっさと転移して逃げるので、一緒にいなければ意味がない。そして僕たちは、前回と別な場所で、人があまり来なさそうな山奥だが、大勢の男たちと僕たちが一緒にいる。


 僕は男たちに提案する。


「悪いが、最後に食事をさせてくれないだろうか。三分間でいい。そしたら、一斉に僕たちを撃つといい。せっかく買ったこれを食べずに死ぬのは嫌だ」


 相手の男たちは、その中のリーダーを見る。リーダーは言った。


「三分間待ってやる。」


 聞いたことのあるセリフだ。僕とリサは、切り株に座ってコンビニで買ったものを食べ始めた。アンパンと牛乳って本当に合うよな。うまい。それらを食べ終えて、チョコレートを分ける。リサと半分ずつだ。けっこううまい。そして、食後のコーヒーを一口飲み、時間切れのようだ。


「時間だ、撃て!」


 そこは某アニメ通りの『時間だ、答えを聞こう』と言って欲しいところだ。僕たちは一斉に射撃される前に僕たちは転移した。


 先ほど食事をしながら木の生えている場所を確認していたのだが、あの木の生えていた場所の裏に位置するところに移動して再度転移した。


「どこを撃っている。僕たちはここだぞ!」


 そう言って彼らの注目を集めた。そして、再度転移。転移した先で浄化魔法を唱えた。オムツが大変なことになっているので。それから、水魔法で膀胱に水分を溜める。それから、別の木の場所に移動して転移。


「こっちだよ!」


 そうやって何度も転移を繰り返した。百人で撃ってきて、弾切れしている人が増えてきた。そして全員弾切れするまで繰り返した。


 そして、僕たちは反撃した。


 百対二だ。リサも格闘術をファミルから習ったので、このぐらいの男たちには負けない。


 リサも、格闘術が実戦で役に立ち楽しそうである。投げ技と打撃技を中心に次々と倒していく。ファミルのように三分で五十人を倒すほどではないが、百人を二人で三十分で倒した。僕よりリサの方がたくさん倒していた気もする? とにかく、僕たちは百人全員を倒した。そして言った。


「ファミルは僕たちより十倍は強いから、相手にならないと思うよ。ファミルを倒すのが目的で、僕たちは誘拐して殺害するのが目的だよね。でも、僕たちですら倒せないんだから、ファミルを倒すのは考えなおしたほうがいいよ」


 そう言った後、意外と近くで撮影している人がいるのに気がついた。そして、ファミルがここで登場した。もともとファミルが来る予定だったのかな? 聞いてないけど。あの雰囲気は、中にナンシーが入っている。そのファミル(ナンシー)が言った。


「あなた達に、私を殺すことはできないわ。でも私の弟子になれば、太郎やリサ程度の実力は身につく。私の元で働くか、今すぐ死ぬか選びなさい。ちなみに給料は月に五十万円は出すわ」


 僕たちを誘拐した彼らの中のリーダーが聞いてきた。


「俺たちを雇うつもりか? お前を殺そうとしてたんだぞ。それを雇う? 信用できるか、そんなの」


「信用できないなら、死ぬがいい。今すぐ殺してやる。でも、信用してくれるなら忍者の技も教えてやる。どうだ?」


 と言って、早着替えをして忍者姿になった。ファミルの忍者姿はいつ見てもかっこいい。美人だしね。


「お前、本当に忍者なのか。そうか……それなら仕方がない。俺はあんたの下で働く。お前らはどうする?」


「俺も……」


「自分も……」


「はい、ぜひお願いします」


「忍者なら仕方がないです。」


 結局全員がまた仲間になった。忍者ってそんなに説得力あるの? なんかそれで話がまとまるパターンができてるんですが。


 そして、これも放映するんですよね。痛いって言った演技、あれ恥ずかしいんですけど。あれ必要だったの?


 結局怪我したふりしてただけだし。


 まあ、リサも一緒だからいいかな。そして、今回も彼らを異世界に転移させて、例の修行をさせることになったのだった。

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