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79/100

<79> 僕がリサと一緒に誘拐されるそうです

 放送内容は面白かったと思う。そして視聴率はどうだったか。


 視聴率29.5%


 悪くない視聴率だ。というか、まあ、高視聴率と言って問題ないだろう。そして、番組に対する苦情はほとんどなかったそうだ。めちゃくちゃな内容だったから、どうなるかと思ったが、意外と世間の目は優しいようだ。


 ひょっとすると、内容がめちゃくちゃ過ぎて、お笑い番組と認識した人がいるかもしれない。お笑い番組に腹を立てるなら、最初から見るなよという暗黙のルールが僕にはある。ルールを押し付けるなと怒られそうだが。


 さて、ゆりさんの目が見えるようになって、大田副社長は大変喜んだ。早速ゆりさんに行っていた。仕事が忙しいだろうに、予定を全てキャンセルして会いに行ったそうだ。大田副社長の部下の一人がスケジュールの調整を頼まれて大変だったと嘆いていた。まあ、それは簡単じゃないよな。


 それで、ゆりさんと大田副社長の関係はどうなったかというと、残念ながらまだ何も進展はない。そんなに簡単にはいかないか。でも、僕の病院で働くことになったということで、大田副社長にも関係があるわけで、口実を作って会いに行くことはそう難しくないだろう。


 今、ゆりさんには目が見えない状況から、目が見えるようになった奇跡について、撮影が終わったところだ。


 四十分間の映像となる。まず、事故で目が見えなくなってからの生活を撮影。ゆりさんに目をつぶってもらい、目が見えなかった時の生活を再現してもらった。最初の十分間で放送する内容だ。


 次に、周りの人たちのゆりさんに対する印象を聞き、ゆりさんが目が見えなくても暗い表情を見せずに健気に生活を送っていたことを視聴者に知ってもらうための撮影を行った。これは放送では五分間の予定だ。


 そして最後の二十五分で、病院での治療を通して、見えるようになってから自分も他の人を助けたいという動機で病院で働くことになったことや、医師免許を取るために今、大学で勉強中であるシーンを撮影したものを編集し、放送する予定だ。このシーンには、リサもたくさん登場している。目が見えるようになるまでのサポートはリサが行っていたからだ。


 とても感動的な内容になる……予定だ。なにしろ、これから次の放送に間に合うように編集しないといけない。時間が足りないから、徹夜仕事になるようだ。


 まずは撮影お疲れ様、と打ち上げを行った。大田副社長も呼んだ。時間調整は部下にお願いしたらしい。部下がまた嘆いていると思うが、優先順位は大田副社長の恋愛成就だ。


 僕はリサと、一緒にお祝いをした。僕の隣の席にリサが座っている。リサからいい匂いがする。一緒にいるだけで幸せを感じる。


 僕とリサは、先に帰ることにした。後は大田副社長とゆりさんで仲良く……あれ? ゆりさんここで帰っちゃうの? 病院での仕事が? ……。大田副社長の恋愛は簡単には成就しなさそうだな。


 僕はリサと帰り道を歩いていると、カイトが僕に入って来て言った。


『太郎。リサと一緒にちょっと誘拐されてくれませんか? 次の撮影で使うので』


 また変な注文が来た。撮影に使うって……なんなんでしょうね。もう好きにしてくれ。どうせ危なくなったら転移すればいい。僕はリサに聞いた。


「これから撮影のために僕と一緒に誘拐されるけどいい?」


 リサは、にっこり微笑んで言った。


「太郎と一緒ならいいよ」


 僕たちは、一緒にいられれば幸せなので、別に誘拐ぐらいならいつでもどうぞという気持ちであった。そして、誘拐されるのをちょっと楽しみにもしていた。そして、今日来るかと思っていたら来なかったことに少しだけがっかりしたのであった。

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