表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
28/100

<28> 何も言わない敵

 僕とリサは、相手を確認する間もなく射撃を始めた。 


 バババババン、ババババババババババ……


 僕は威嚇射撃をしたのだが、リサは本気で殺すつもりで撃っていた。その後、リサは僕に怒鳴った。


「そんなんじゃダメ!ちゃんと当てないと、あれは敵よ」


 何で断定できるのかわからず聞くと、リサは言った。


「疑わしきは罰する。これ常識!」


「僕の常識と違うね。……それ、こちらの世界の常識?」


「太郎の命が狙われている時限定」


 僕は、リサの言うことに従って当たるように撃った。しかし、この距離では当たらない。避けられてしまう。動きが速いのではない。無駄な動きがないのだ。それはつまり、相手は余裕で避けている証拠だ。二人で撃つ自動拳銃を余裕で避けられる時点で、敵と判断して間違いないだろう。僕は相手に言った。


「誰だ。どうして僕を狙う?僕が死んでもこの世界に得することはないぞ」


「それどころか、ものすごい損失になるわ。悪いことは言わないから、太郎を殺さないで」


 相手は黙って近づいて来る。何も言わないのが恐い。どうして何も言わないのか。それにあの姿。日本の忍者を思わせるような、顔も隠れて男か女か全くわからない。どちらかというと、男性に見える姿だ。相手は刀を抜いたと思った瞬間、円状に光が走り、遅れて音が耳に届いた。何が起こったのかわからないが、自分の上着が切れている。ナノファイバー制のチョッキは無事だ。


 僕が切られていないのを確認し、相手は刀を捨てた。切れないなら刀は不要と判断したのだろうか。ともかく、何も言わないので、何を考えているのか全くわからない。突然、腹に衝撃を受けた。チョッキのおかげで面全体で受けるので痛くはない。速すぎて見えなかったが足跡が残っているところを見ると、蹴られたのだろう。リサは攻撃の手を休めない。


 バババババ……・バババババ……


「太郎!撃って撃って撃ちまくるのよ!早く!」


 僕も撃った。とにかく撃ちまくった。こんなに近くから撃っているのに倒せない。当たらない。僕は次の瞬間宙に浮いているのを感じた。時間がゆっくり感じる。切っても蹴ってもダメなら投げてみようと考えたようだ。僕は頭から落ちた。首に全体重がかかる。帽子のおかげで頭そのものへのダメージは軽減されているが、その後、足に衝撃を感じた。首へのダメージと足へのダメージが大きい。立てない。足から少し出血しているのだと思う。リサの銃声が聞こえ続けている。リサが大声で僕を呼びながら、撃ち続けている。それなのに、僕の体はまた宙を舞った。何も言わない相手が恐い。


 地面に叩きつけられ、さらに足からの出血がひどくなったようだ。周りの音を聞きながらも意識が遠くなっっていくのを感じた。リサが僕に抱き着いて叫んでいる。だんだん目の前が暗くなっていく。……僕は気を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ