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<11> ステータスの魔法

 魔法を覚えて使えるなら、もっといろんな魔法を覚えたい。そう思うのは普通だと思う。それで、僕は自分のステータスが見える魔法を覚えたいとリサに言った。


「ステータスが見える魔法は、あるんだけど、私には使えないのよね」


「かなり難しい魔法なの?」


「難しいし、使える人がほとんどいないから、そもそも教えてくれる人を探すのが難しいわ」


「でも、鏡で儲けたお金の力を使えば、出会って教えてもらうことも難しくないんじゃない?」


「そうね。でも、そのためには太郎がユーナスの言葉を自由に話せるようにならないといけないわね。幸いにもルカナンとそれ以外の地域の言葉が大きく違うということはないから、一つの言語を覚えるだけでいいんだけど」


 リサにそう言われ、僕は少し得意顔で言った。


「もう、今までリサに教えてもらった単語や簡単な会話は全て覚えたよ」


 するとリサは、可愛い顔で驚いてくれた。その表情写真に撮っておきたかった。あ、今度から音声だけでなく動画でリサを撮影しよう。勉強のためと言えば変に思われないよね。


「単語、全部で千語を教えたよね。名詞に相当するの七百語と、形容詞・副詞・動詞に相当するの合わせて三百語。まだ一週間もたっていないよ」


「努力したからね。散歩しながら覚えたり、食事しながら覚えたり、ちょっとした合間に少しずつ覚えたんだ。机に向かって勉強するのは性に合わないんで、何かするついでに覚えた」


「……がんばったんだね。その調子なら自由に話せるようになるまでそんなに時間かからないかも。そうね。ではここからは、私がユーナスの言葉で話すから、太郎は知っている限りのユーナスの言葉とわからない部分は日本語で話してね」


「わかった。では、このやりとりを動画に撮ってあとで勉強につかうね」


「うん、わかった。頑張ってね。それでは……」


 それから、リサはユーナスの言葉で僕に話をした。はじめは全然聞き取れなかったけど、聞き取れなかった部分を解説してもらいながら、会話をした。可愛いリサの動画を勉強のためと言って自然に撮影できたのは本当にうれしい。帰ったら繰り返し見よう。


 それから、ユーナスの言葉を自由に使えるようになるまで一カ月かかったのだった。言葉を自由に話せるようになるまでに、ノートに書きとめた単語の数は約五千。発音もかなり上手だとリサが褒めてくれるまでになった。次回からは、ルカナン内をリサと一緒に歩き、いろいろな人と会話をする予定だ。

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