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砲《ラキエータ》  作者: 鯛と琴
第一章
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ドミちゃんと学ぶ魔術の基礎

「じゃ、私たちの国にたどり着いた瑛太君を称えて」


「「いただきまーす!」」


 机の上には、巨大な魚料理を中心に、豪華な食事が並べられていた。

 湖の上で生活しているだけあって、魚が主食となっているのだろう。


「それで、魔術の話だっけ」


 トリクスから酒とおかわりを禁止され、落胆していたドミちゃんだったが、ようやく復活して話を切り出した。


「実は、トゥリーちゃんみたいな大型のデバイスって今は見ないのよ。例えば、これは私のデバイスなんだけど…」


 そう言って差し出されたのは、スマートフォンのような小型の機械だった。


「この小さいのが、今の魔術デバイスなのですか…?」


「トゥリーちゃんみたいに意思を持って喋ったりはしないけど、魔術に必要な機能は全部この大きさに詰まってるよ」


「わ、わたくしはもう旧世代機の…骨董品…なのですわね…」


 しばしば自分を最高峰の魔術デバイスと言っていただけあって、ショックを受けたようだ。

 

「じゃあトゥリーより高性能なんですか?」


「いや、そんなことはないよ。使える魔術は君に比べたらほんの少しなんだ」


 そりゃあそうだ。震光灼のような強力な魔術が誰でも使えたら、世界が滅んでいる。


「今の魔術デバイスはロックがかかってるからね。免許が無いとほとんどの魔術が使えない」


「……えっ、免許?」


「そう、免許」


「魔術って免許制なんですか?」


「うん、危険なものもあるし、職業によっては特定の魔術の免許を持ってないといけない、みたいなのもあるよ」


 免許を取ると、該当の魔術のロックが解除されて使えるようになる。

 魔術のランク分けも、ロックがないもの、成人すれば使えるもの、免許が必要なもの──と、段階を踏んで高くなっていく。


「…じゃあ僕が全ての魔術を使えるのは」


「単純に、もとよりトゥリーちゃんにロックがかかってないんだろうね」


 本当に単純だな…

 ファンタジーの世界観には疎い僕でも、魔術と聞いたら生まれ持った才能だとか、レベルアップで習得だとかを想像するのに。


「し、知りませんでしたわ…そんな話…今の魔術はそんなことになってるのですか…!?」


 そして僕以上に驚くトゥリー。


「私がわかるのはこれくらいかな…フォトンについては私もよくわからないし…あ、おかわり」


「はいはい…って騙されんからな」


「ちぃっ」


 これで、魔術について、この世界の地理については知ることができた。

 しかし、まだ自分の置かれた状況を推測するには空白が多すぎる。

 まだしばらくは目的もなくふらふらすることになりそうだ。


「ちなみに、免許を取るための魔術専門学校ってのがある。それで…私は近々、その専門学校をオラリアにも設けたいと思ってるんだ」


「マジっすか!?」


 急なカミングアウトにトリクスが立ち上がる。他の村人たちも湧き上がる。

 どうやらこの話を村人の前でしたのは、この話題を切り出すためでもあったらしい。


「そのためにはまず、教師として誰かに魔術を学んできてもらう必要があるんだけど…それを今度の祭で決めようと思ってるんだよね」


「祭?」


「そうか、エータは知らないよな! 三ヶ月に一度、成人した有袋人類マースピアンを祝って祭をやるんだ!」


「そう、そこで踊りだとかのパフォーマンスや、国民同士の力比べ大会なんかも行われる。今回はそこで優勝した一人を教師として推薦したい」


 この言葉に、皆はさらに湧き上がる。

 そして、この時は関係ないと思われていた僕も、この祭に向けて色々巻き込まれていくのだった。

ここまで読んでくれてありがとうございました。

よければブクマや評価していってね。


オラリアバラ

 硬骨魚綱 スズキ目 アカメ科 アカメ属 オラリアバラ

 塩分濃度の高いオラリアの湖に適応した魚。有袋人類マースピアンたちの主食になっている。


※この作品に登場する動物は、一部を除き創作されたものです。現実を元に創られていますが現実には存在しません。

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