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砲《ラキエータ》  作者: 鯛と琴
第一章
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東の村の迷い子

 宴会が終わった後、僕は貸してもらった寝床の上で考えていた。長く考え込める余裕が今までなかったので、整理してみるとその謎の多さに愕然とする。

 そもそもにして、僕を襲った怪物は何だったのか。

 あれだけの怪物を前にして、なぜ僕の身体は腕を失うだけで済んだのか。

 そして、僕に義手をつけて、オラリアの山中に埋めたのはいったい誰なのか。

 わかることは、これらの過程はすでにずっと前に行われたことであり、それからトゥリーすら驚くほどに時間が経過していること。

 しかし、歩いてきた疲れもあって、悩んでいる僕が寝落ちるまで時間は要さなかった。



「…ん、まぶし」


「おはようございます、瑛太様」


「うん…おはよ…」


 支柱根の隙間から覗く朝日に照らされて、僕は目が覚めた。意識の冴えない僕に対して、外はとっても騒がしい。

 僕は外に出て、トリクスに尋ねた。


「…なにかあったんですか?」


「ああ、昨日の祭の話がもう国中に広まったみたいだな」


 そういえば、そんな話もあった。自分のことを考えていたら忘れていたが。


「そういえば、有袋人類マースピアンの成人って何歳からなんですか?」


「十五歳からだよ。俺はもうだいぶ前に成人しちまったから、今回の大会には出られねぇ」


 ドミちゃんによると、学校のある本国への道のりは長く過酷すぎるため、若くて元気な者に任せたいのだという。


「まあ悔しいけど、ドミちゃんが言うなら仕方ねぇ。俺は自分とこの奴らを鍛えることにしたよ」


「なるほど…あ、なんだったら僕も手伝いましょうか? 僕もやることなくて」


「そうか? そりゃ助かる。そうだな…じゃあ、北東の村に分ける予定だったそこのバラ、代わりに持っていってくれないか?」


「わかりました。トゥリー、北東ってどっちです?」


「あちらですわ。昨日、地図のデータがオラリア国王から送られてきておりますので、そちらもご覧くださいませ」


 僕の目前に地図が表示される。北東の方は湖がなく、村も一つしかない。


「大丈夫か? 行き方とか説明した方が…」


「いや、大丈夫そうです。じゃあ行ってきますね」


「おう、じゃあな」



 昨日のように、湖のほとりを歩きながら進む。かなり広い湖ではあるが、これまで歩いてきた道のりに比べればなんということはない。

 程なくして、目的の村にたどり着く。湖から離れた場所にあるだけあって、他の村とは雰囲気が違う。なんの変哲もない一軒家が並び、ところどころに畑がある。


「失礼します、トリクスさんの代わりに魚を持ってきましたー」


「あー、そこに置いといてださい…ってあなた、噂になってた義手の有胎盤人さんじゃないですか?」


 慣れない大声で呼びかけると、近くを通りかかった背の高い少女が答えてくれた。


「ああ、はい、ドミちゃん…王の許可は頂いてます」


「魔術もお使いになられるんですよね」


「そうですけど…詳しくは、ないので」


「魚を持ってきていただいたのに、さらにお願いするのも申し訳ないんですが…実は、私の幼なじみが今朝村を出てから、帰ってこないんです」


 また魔術を教えてくれと言われるのかと思ったが、そうではないらしい。


「た、大変じゃないですか」


「はい、ここからさらに東の方にあるジャングルに向かったきり…あのジャングルは危険な生き物がいっぱいいるって話で…皆はもう諦めた方がいいって」


「…わかりました」


「ありがとうございます!」


 流石に見過ごせなかった。トリクスさんに心配されるといけないので、彼女に言伝してもらうよう言ってから、僕はすぐに東へ向かった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

よければブクマと評価していってね。

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