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追憶令嬢の徒然日記 小話  作者: 夕鈴


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レティシア3年生 学園のとあるひと時

ステラ視点


レティシア様とマール様が歩いてますね。

最終学年の皆様は良縁探しのラストスパートです。卒業パーティはマール様はレティシア様と参加されるのでしょうね。


「マール様」


ご令嬢が声をかけにいきましたが、勇気がありますね。レティシア様と一緒にいるのに。

視線をむけずに、レティシア様の方を見ているマール様にレティシア様が首を傾げています。


「リオ」

「ん?」

「ご令嬢に呼ばれてますよ」

「俺は用はない」


レティシア様がマール様の言葉に首を傾げてから微笑まれました。


「はい?いえ、失礼しました。私はここで失礼します」

「待って。」

「私のことは気にせずお相手してあげてください。わかりました。セリアのところにお邪魔します。」

「違う。わかったよ。すぐ行くから俺の部屋で待っててよ。本、届いてるんだ」

「本当ですか!?わかりました。お部屋で待ってます。でも気にせずごゆっくりお相手されてください」

「まっすぐ行くんだよ」

「はい。私の事は気にせずごゆっくりどうぞ。失礼します」

にっこり笑って礼をして去って行くレティシア様も可愛らしいです。レティシア様の言葉にマール様の笑顔が固まったのは気のせいかしら…。



「マール様」

「贈り物は受け取らないよ。」

「あの、私」

「俺への用件はマール公爵家を通して。あとレティシアといる時は邪魔するなよ」


マール様が去っていきました。相変わらず容赦がない。

でもマール様が令嬢に容赦がないことを知っていても話しかけるんですから自業自得です。そういえばマール様と同じくハンカチを受け取らないと有名な方がもう一人いました。



「ビアード様」

「なにか?」

「あの、受け取っていただけませんか?」

「申しわけありません。立場上受け取ることはできません」


ビアード様が綺麗に笑って去って行きました。令嬢が見惚れてる間に颯爽と去っていくビアード様に令嬢達が頬を染めています。

ビアード様も学園では令嬢方の人気者です。



今日はレティシア様の訓練にご一緒させていただいてます。

私は見学です。レティシア様は先程までマール様と訓練されてましたが休憩されてます。マール様はグランド様と手合わせしてます。レティシア様が突然手を振りました。

あれは…。



「エイベル、一人ですか?」

「レティシアは休憩か。相変わらず体力がないな」

「うるさいです」

「やるよ」

「これは?」

「令嬢に凄い勢いで渡された。返す間もなく逃げられた」

「そのご令嬢凄いですね。」

「確かにな。俺は甘い物苦手だから。」


レティシア様がビアード様からお菓子を受け取り口に入れましたが大丈夫でしょうか。しょんぼりしたお顔で食べてます。


「レティシア?」

「これはエイベルには無理ですわ。フワフワします」

「レティシア?」


レティシア様のお顔が赤く、目が虚ろな気がします。

立ち上がって、ビアード様に抱きついてる状況はなんでしょうか?


「離れろ」

「エイベル、一緒にしましょう」

「は?いや、お前休憩中だろ。マールに頼め」

「リオはグランド様と手合わせ中です」

「マールがいるのか!?」


心底嫌な顔をしているビアード様を令嬢達は知っているのでしょうか・・。

公爵家で容姿端麗、いつも落ち着いているのに時々屈託なく笑うギャップに令嬢達は夢中です。

ただ私はレティシア様といらっしゃるビアード様と令嬢達の憧れのビアード様のイメージの違いに首をかしげてしまいます。



「エイベル、私と遊んでください」

「断る。離れろ。」

「ひどい」

「泣きそうな顔もやめろ。俺で遊ぶな」

「遊んでない」


ビアード様から離れないレティシア様。

レティシア様の潤んだ瞳に見つめられて、動じないビアード様は殿方として大丈夫でしょうか…。


「ビアード、俺のシアになにしてんの?」

「レティシア、離れろ。マールとやれ」

「嫌。弱い私はリオの相手になりません」

「それなら、俺の相手もお前には無理だ」

「ひどい」

「離せ」


これはレティシア様の取り合いでしょうか!?

私も武術の心得があれば混ざれるのに…。


「グレイ嬢、状況を教えてくれる?グレイ嬢?」

「すみません。レティシア様がビアード様がご令嬢に贈られたお菓子を食べて様子がおかしくなりました」

「お菓子?」

「レティシア様がお持ちです」

「嫌な予感しかしない」


グランド様が苦笑してレティシア様の方に向き直りましたね。


「ルーン嬢、そのお菓子、俺にもわけてくれる?」

「エイベル、」

「お前にやったんだから好きにしろ」


レティシア様がグランド様にお菓子を渡しました。

グランド様がお菓子を半分に割って真剣な顔で見てますか…。



「シア、休憩終わりにする?的だすから弓の訓練するか?」

「私、弱いんです。だから弱いエイベルと訓練します」

「弱い!?お前、いや、いいから離れろ」

「離れたら逃げるでしょ!?」

「マールのところに帰れ」

「なんで、意地悪言うんですか」

「シア、俺はビアードと手合わせするからサイラスと訓練しててくれるか」

「ずるい」


「ルーン嬢、ちょっとごめんね」


グランド様がレティシア様の肩に手を置いて、何かつぶやくとレティシア様が倒れました。ビアード様が支えてますね。さすがですがいつの間にかマール様がレティシア様を抱き上げましたわ。


「サイラス」

「ルーン嬢が食べたお菓子に魔力が仕込まれてたから、解毒魔法を使っただけだよ」


「ん?え?、降ろしてください、なんで」


レティシア様が目を開けました。慌ててマール様の腕から離れましたがマール様は不服そうです。


「ルーン嬢、贈り主がわからない食べ物を食べるのはよくないよ」

「あ、え、すみません。美味しかったらステラにあげようかなって」


私ですか!?


「ずっと見てるだけなのも。ごめんなさい。軽率でした。ステラが食べなくて良かったです」


「シア、次は気をつけてな。ビアード、わかってるんだろうな?」

「いや、」

「リオ、怒ってますか?」

「怒ってないよ。たまには先輩としてビアードの面倒をみようかと」


マール様の笑顔にレティシア様が頷きました。ビアード様の顔が青くなった気がします。


「俺は一人がいい。レティシアの訓練してろよ」

「ルーン嬢、俺が付き合うよ。あの二人は放っておこうか」

「は!?いや、いらない。待て」

「サイラス、シアを任せるよ。シア、弓は後で俺が見るから剣だけみてもらえ。剣は俺よりサイラスの方が得意だから」

「わかりました。お願いします」


ビアード様がマール様に引き連れられ消えていきました。

私はレティシア様の様子を見学しましょう。私も武術を習いたのにお父様の許可がおりません。これはお手紙ではなく一度帰って説得しなければいけませんね。

剣の腕はマール様よりグランド様の方が上なんでしょうか・・。

私にはよくわかりません。いずれ私もお願いしたら訓練をつけていただけますかね。




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