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追憶令嬢の徒然日記 小話  作者: 夕鈴


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21/92

レティシア2年生 反抗期のあと

70話のおまけです。

サイラス視点


俺がルーン嬢との訓練を終えて、宿題をしているとノックの音が。

ノアかな?ドアをあけるとリオが。

珍しいな。

自室に招き入れると、なんで真顔なの?


「リオ、どうした?」

「あのさ、よくわかんないんだけど」

 

この挙動不審なリオは確実にルーン嬢絡みだな。

混乱してるな。


リオの単語をつなぎ合わせると、

避けられてたのに、突然態度が変わって驚いたのか。

ルーン嬢は様子のおかしいリオを心配して慰めようとしたのかな。

リオは一瞬、幻覚かと思うくらい混乱したみたい。

本当に惚れ込んでるよな。


「久々のルーン嬢は可愛かった?」

「この上なく。もう俺、記憶が怪しくて、何が妄想で現実なのか」

「全部現実だろ」

「シアが外で抱きついて、甘えてくるなんて。しかもいつも言わないようなこと言うし、調子狂って」


ルーン嬢必死だったのかな。自分のせいかと気にしたのかな。

混乱したリオの反応が不安で相当頑張ったんだな。

彼女もリオのこと好きだもんな。この二人、なんでさっさとくっつかないんだろうか。


「良かったな」


ただリオの顔が嬉しそうじゃないんだよな。


「ああ」

「何が不満なの?」

「なんで態度が変わったのかわからない。甘えてくるシアは可愛いけど、避けられた理由も」

「聞かなかったの?」

「また機嫌を損ねて避けられたら」


ルーン嬢のことになるとポンコツだよな。

今回のことは相当答えたみたいだな。

お灸を据えると約束したから説明してやるか。

説明を聞いたあとは不服そうに黙ってるけど。

お前の過保護と過干渉はいきすぎなんだよ。

ルーン嬢にも意思があるんだから尊重しないと。

彼女に自由にさせて困ってたら助ければいいだろ?

彼女だって公爵令嬢だけあって社交能力高いんだから。

事前に手を回しすぎなんだよ。

二人でもっと話し合えばすむことなんだよ。リオが勝手に手を回しすぎなんだよ。

付き合い長いのになんでかみ合わないのかな。


「シア、やっぱり怒ってたのかな?」

「拗ねてたんだろ?なんでイライラするかわかんないって苦笑してたし。よく今まで爆発しなかったよな。お前、細かいしうるさいよ。」

「それは」

「自覚あるんだろ?」

「シア、放っておくと自分で全部対処しようとするし、俺のところ来ない」


この友人はルーン嬢が自分のところに全然来ないことを拗ねてるんだろうな。

お前が頻繁に会いにいくからその必要がないだけなのに。


「しかも、俺の所にほとんどこないのにビアードの所には行く」


否定はできない。

彼女、ビアードに懐いてるよな。

なんだかんだでビアードも彼女に弱いしな。


「俺はいつも忙しいからって。ビアードだって同じ生徒会で忙しさは変わらないのに。俺が避けられてるのに、ビアードはシアと話して、あげくに頭撫でてるし。腕をへし折ろうか亡きものにしようかと」


やばい。暴走がはじまった。リオの眉間に皺が寄ってるな。


「リオ?落ち着いて。ほどほどにしないとまた避けられるよ。ルーン嬢、自分が原因でビアードがぼこぼこにされたなんて知ったら気にするよ」


「あの思考回路どうにかならないかな。ただ俺は気に入らないだけなのに。」


頭抱えてるな。いつも冷静なリオが。

ルーン嬢に関してはポンコツだけど。

ルーン嬢、リオはルーン嬢のためじゃなくて全部自分のために動いているんだよ。

動いてから理由を後付してることもあるしな。

駆け引きは特にリオは得意だから。

リオは自分の安心のために手を回してるだけなんだよ。

ルーン嬢が頼めば喜んで手を貸すだろうけどさ。


「お前が本能に忠実すぎるんだよ。そんなルーン嬢も好きなんだろ?」

「可愛くて放っておけない。でも構いすぎると拗ねるのか・・。シアにわからないように手を回せばいいのか」

「リオ、お前、俺の話を聞いてた?見守る気はないの?」

「シアに説教しなきゃいいんだろ?」

「お前さ、このままだと彼女成長できないよ。お前が卒業した後になにかあったらどうするんだよ」

「淑女教育は完璧だし大丈夫だろ。飛び級は嫌がってるから研究生になってシアが卒業するまで学園に残るから問題ない」

「卒業したあとはどうするんだよ?」

「シア次第だけど、ずっと傍における仕事を選ぶよ。」

「ぶれないな。お前の人生はルーン嬢中心だよな」

「気楽な三男って身分がありがたいよ。」


この能力をほかのことに使えばもっと国のためになるのに。

少しはルーン嬢の貴族としての矜持を見習えよ。

同じ公爵家なんだから。



「これからもずっと囲い続けるの?」

「もちろん」


良い笑顔の友人にため息しかでない。


「今回の件で反省したから説教は気を付けるよ。シア、面倒なこと嫌いだもんな。一気に色々求めすぎた。次からはうまくやるよ。サイラス、ありがとな。邪魔して悪かったな。また明日な」


颯爽と去っていくリオに俺は言葉を失った。

ごめん、ルーン嬢。

俺には荷が重かった。

俺にはお灸をすえられなかった。

まぁ、リオの心を動かすなんてルーン嬢だけだもんな。

避けられた衝撃は相当大きかったみたいだけどな。

今度キレたらリオに嫌いって言ってみなって伝えるかな。

リオが壊れるか。俺の手間が増えるからだめだな。

仲直り?したみたいだからこれでリオがもとに戻る。

荒れたリオの相手をしなくてすむのはありがたい。

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