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宣戦布告

てなわけで久しぶりの更新です。


いやぁ、こっちのパソコンで更新すればよかった。

 石塚期成の学院襲撃事件から一ヶ月が過ぎる。


 その間、施設の一部が使用禁止となり、Dクラスなど周辺のクラスは休学扱いとなった。


「ちっ、羨ましい限りだぜ」


「仕方ないだろ?Fクラスは他のクラスからかなり引き離されているし問題ないと治安維持局が判断した以上、学院は授業を続ける方針なんだから」


 施設の周辺に石塚期成が埋めた植物の種などがないかCGTが調査した結果、反応が無いということを学院側へ伝え、学園長は授業の継続を決定した。


 まぁ、自習だけれど。


「くそっ、外へ行きたいぜぇ」


「・・・・まぁ、学院に缶詰めはさすがに嫌だな・・・・」


「やろ!というわけで抜け出さないかい?」


「先生のアイアンクロー受けたくないからパス」


「そんなこというなーって、どうせ外でタバコ吸ってんだし」


「残念ながら、タバコがきれていて、お前の後ろにいるぜ?」


「・・・・おう」


 後ろから現れた五十六先生をみて、カラスが後ろへ飛ぶ。


 威嚇しているカラスを見てから先生はこちらへ話しかける。


「おい、自習は進んでいるか?」


「暇すぎて進むわけないでしょ・・暇です」


「俺としては一週間、教室が壊れないことが嬉しいよ」


 新築同然のFクラスを見て五十六先生が感慨深い表情を浮かべる。


 事件から一週間、その間、Fクラスの教室が修復されるという問題が無かった。


 そう、一週間、俺の周りでは平和が続いているのである。


 砂原は学園の医務室から第六地区にある新未来病院に運ばれた。


 肉体的な損傷はみつからなかったが、精神的ケアが必要なため面会謝絶状態となっており、見舞いへいくこともできない。医務室の時から誰も面会できないほどの重症だ。


「そういや、お前さんの容態はどうなんだ?」


「今になってソレを聞きますか」


「仕方ないだろ。アイツは精神的な問題、お前は処置さえ受ければ治る肉体的問題だ。どっちを優先するかなど男として明白だろう」


 そこで教師じゃなくて、男といいますか。


 まぁ、俺も精神的な方を優先するだろう。


「検査の結果、臓器に少しダメージがみつかりたけれど、薬の処置でなんとかなるそうです。おかげで、おかゆ生活がまだまだ続きます」


「さっすが、天下の新未来病院だけあるな。あれだけの血を吐いたのに薬の処方だけで済むか」


「最新設備ばかりそろっていますからね」


 ボックスシティは他の国よりも技術が豊富だ。稀に大国の大臣や大企業の社長婦人などが検査のためだけに入国してきたという話があるほど、進歩している。


 本来なら入院生活確定の傷なのに処方箋渡されて追い出される程度で済んでしまう。


 大国が引抜きしようとするほど優秀な人材が箱庭には集っている。


 だから、砂原も速く退院することが出来るだろう。


「そういや、Dクラスの連中が今日から復学することになっていたな」


「・・・・そうですか」


「くれぐれも問題を起こすなよ」


「・・善処します」


 キンコーンカーンとどこかずれた音が聞こえてくる。


「さて、休憩時間だな。俺は職員室にいるから何かあったら呼ぶように・・・・まぁ、口での喧嘩なら止めに入るつもりはねぇから」


 先生ははらはらと手を振って教室を出ていく。


 扉が閉まる音が響いてから沈黙が続いた。


 やれやれ、先生にはお見通しというわけですかな?


 一応、許可はもらえたし、やることはやっておこう。


「なぁ、カラス」


「なんだ?」


「二人だけ・・・・になったけれど、カーニヴァルは」


「おみゃーがでなくてもわっち一人で出るつもりだ。あんな舐めくさった事されて黙っているほど、弱い人間じゃねー」


「・・・・俺は強いとか弱いは興味ないけれど、今回の件については、すこーし思うところがあるんだよ。まぁ、キミと同じで出るつもりだ」


「ほぉ~。やる気になったというわけかゃ?」


「やる気はないよ。出来るなら痛い目見ずに退場したいところだけれどねぇ・・・・まぁ、挨拶ぐらいしにいかないか?烏丸さんや」


「オーケーイ」


 俺達はそろって教室を出て行く。



 昼休みということで廊下を歩いていると楽しげに談笑している生徒達の声が聞こえてくる。


 てっきり、お通夜みたいな空気かなと思っていたけれど、違ったようだ。


「はいはーい、失礼しますよぉ」


 教室の扉を乱暴に叩いて、俺達は教壇の方へ向かう。


 突然の来訪者へ教室にいた生徒達の視線が集まる。


「烏丸、よろ」


「へいへーい」


 入り口に控えていた烏丸が二つの扉や廊下側の窓を閉める。


 教室は修復されていて、綺麗になっていた。


 突然、入ってきて、扉を閉めるという行動に戸惑いながら生徒の一人が尋ねて来る。


「な、なんだよ。あんた達」


「俺達?俺は相馬ナイトです」


「烏丸憂~」


「「Fクラスでーす、夜露死苦~」」


 目に見えるほど、Dクラスの生徒達の顔に緊張の色へ染まっていく。


「え、Fクラスが何のようだよ?」


「うーん、キミはこのクラスの能力者、中頭君か」


「・・・・だったら、なんだよ」


「別にぃ、Dクラスにいながら何もしなかったヘタレ君」


「なっ!?あ、あの時は仕方ないことで」


「何の話をしているのかな?」


「っ!」


 俺の態度で面白いくらい表情が変わっていく。


「さてさて、俺達Fクラスはあることを言うためにきたくもないDクラスへ足を運びに来ましたぁ」


「わ、悪いのはあの女よ!」


 話が終わっていないのにヒステリックな声を上げて女子の一人が立ち上がる。


 その態度に苛立ちを覚えながらも俺は冷静であることをアピールした。


「私達は悪くない!巻き込まれただけよ!?」


「そうよ!」


「アイツのせいで俺達は怪我をして・・・・」


「学校に行くこともどれだけ怖かったと思っているの!?今も何か起こるんじゃないかって怖くて――」


「砂原もあんた達と同じ被害者だ。今も学校にこれてすらねぇよ」


 低い声と一睨みきかせるとひっ!と声を漏らして全員が黙り込む。


「全く、どうしょうもないくらい自分の身が大事って連中ばかりか」


 ため息を零す。


 烏丸と来る前に賭けをしていた。


 Dクラスの連中が今回の事件で自分達に少しでも罪悪感を見せれば、こんなことはしない。


 もし、それらの素振りを見せず、砂原を糾弾してきたら。


「今回、俺達がてめぇら屑みたいな連中のところへ顔を出したのは、糾弾するとか、お礼参りというわけじゃないんだよ。宣戦布告だ」


「宣戦布告・・・・だと」


「そ、俺達Fクラスはカーニヴァルでめぇらを徹底的に叩き潰す。慈悲なんか与えてやらない。てめぇらに俺達の存在を徹底的に刻み込んで恐怖に叩き落してやる」


「た、たった二人だけで何が出来る!?」


「俺さ、元々本局の捜査官やっていたんだよ」


『捜査官!?』


 生徒達に動揺の色が濃くなる。


 本局の捜査官という言葉に衝撃を受けている中で中頭君が叫ぶ。


「う、ウソつくなよ、本局の捜査官がなんで、こんな学院にいるんだよ!」


「本当なんだよねぇ、これが、上からの命令でこの学院で生活するようにいわれちゃってさぁ・・・・まぁ、このことはいいんだよ。この学院にはスキルカースト制度っていうのがあるんだろ?」


「だ、だったらなんだよ・・・・」


「このクラスがFクラスより下だってことをはっきりと次のカーニヴァルで思い知らせてやるから、そのつもりで覚悟しとけ」


 淡々と、恐怖させるために俺はDクラスの連中へ告げる。


 さて、帰りますか。


「帰るか、烏――」


「ふざけんな!」


「よせ!」


 教壇から降りたところで一人の生徒が俺へ机を投げつけた。


 真っ直ぐに飛んで来る机を俺は左手で殴り飛ばす。


 空中でバラバラになる机を見て、全員が息を呑む。


 俺は無言で、投げた生徒へ近づく。


「慌てんなよ。お前らを叩き落すのは明日のカーニヴァルだ。こんなくっだらない教室で潰すなんて優しい真似はしてやらねぇから」


「ひっ・・・・ひぃ!」


「あ、キミは無能力者なんだっけ?だったらここで俺からの餞別として一発、拳を叩き込んであげるというのもありだよね?ていうか、あれは普通の人間だったら大怪我に繋がるかもしれないよぉ。そんなことしたんだから、殴られる覚悟くらい・・・・あるよなぁ!」


「ひぃぃぃぃぃぃいいい」


 ドスを利かせた声に生徒は腰を抜かして座り込む。


「安心しなよ。てめぇは殴る価値すらない」


 ポンポン、と肩をたたいてから俺と烏丸は外へ出る。


 Dクラスが遠ざかったところで俺はため息を零す。


「おみゃー!やっぱわっちが見込んだとおりの男じゃけ!やると思ったぞ」


「はぁ・・・・やっちまった」


 さらば、平穏。ようこそ混沌。


 深く息を吐いて、俺はFクラスの教室へ戻る。


「・・・・あれ?烏丸、教室のドア閉め忘れたのか?」


「んなわけあるかい。ちゃんと閉めたわ」


「じゃあ・・・・誰が」


 扉の中に入ると、砂原沙織がいた。


「砂原!?」


「一週間ぶりです。相馬さん!烏丸さん」


「おみゃー、退院したのか」


「はい、明後日から学院復帰ですけれど・・・・みんなの顔がみたくてきちゃいました」


「・・・・砂原」


 楽しそうに喋る砂原を見る。


「なんです?相馬さん」


「俺とデートしょう」


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