プロローグ 処刑台の少年 挿絵有
始めての投稿です
このプロローグにつながるまでは書き終わっているので、頑張ります
2026/06/19
挿絵入れました
村の広場。
そこには、急造の処刑台が建てられていた。
太い縄で縛られた少年。
白い髪。
痩せこけた身体。
まだ幼さの残る顔は、土と傷に塗れている。
松明の炎が揺れる中、村人達は口々に叫んでいた。
「邪神の子だ!」
「化け物め!」
「処刑しろ!」
「神父様の言う通りだ!」
少年は俯いていた。
何も言わない。
何も考えない。
もう、疲れてしまったからだ。
神父が処刑台の前へ進み出る。
「これより、邪神の子の処刑を執行する!」
歓声が上がる。
狂騒の中、誰もが自らの正義を信じて疑わなかった。
――その瞬間だった。
夜空から、月光が降り注ぐ。
不自然なほどに美しく、冷たい光。
突然の異常な気配に、村人達がざわめく。
「なんだ?」
「誰か来たぞ」
「貴族か……?」
光の中から現れたのは、一人の少女だった。
夜闇に溶けるような黒いドレス。
月明かりを弾いて静かに揺れる、美しい銀髪。
その背後には、冷徹な空気を纏うメイド服の女性が控えている。
少女は村人達を一瞥し、静かに口を開いた。
「その処刑」
「少し待ちなさい」
神父は鼻で笑う。
「何故だ!」
「そいつは邪神の力を使った!」
村人達も賛同する。
「そうだ!」
「化け物だ!」
「処刑しろ!」
少女――エミリアは、小さくため息を吐いた。
「話し合いは嫌いじゃないのだけれど」
「仕方ないわね」
そして後ろへ手を差し出す。
「ルミ」
「例の物を」
「承知しました」
ルミはどこからともなく巨大な金属の塊を取り出した。
幾つもの筒が束ねられた奇妙な兵器。
エミリアはそれを受け取りながら眉をひそめる。
「相変わらず趣味が悪いわね」
「クロエ様は実用性を重視されますので」
「絶対嘘ね」
神父が叫ぶ。
「待てぇぇぇ!!」
エミリアは構わず腰だめに構える。
「そうそう」
「これ」
「クロエの新作なの」
村人達がざわつく。
「な、なんだあれ」
「武器か?」
「魔道具か?」
エミリアは微笑んだ。
「安心しなさい」
村人達が少しだけ安堵する。
しかしエミリアは続けた。
「クロエ曰く殺傷能力はゼロよ」
ルミが小声で補足する。
「本人基準ですが」
神父。
「待てぇぇぇぇぇ!!」
エミリア。
「嫌よ」
ガガガガガガガガガガガガガ!!
轟音。
悲鳴。
神父が吹き飛ぶ。
村人達が転がる。
「ぎゃああああ!!」
「痛いぃぃぃ!!」
「安全じゃないだろぉぉぉ!!」
「死ぬぅぅぅ!!」
ルミは首を傾げた。
「死んでいませんので安全です」
「その基準やめなさい」
数分後。
広場は静かになった。
転がる村人達。
うめき声だけが響いている。
エミリアは満足そうに頷いた。
「よし」
「掃除完了ね」
そして処刑台へ歩み寄る。
縄で縛られた少年の前で立ち止まる。
「あなた」
「生きたくないの?」
美しい王女は、そう問いかけた。
少年はまだ知らない。
この理不尽で無茶苦茶な出会いが、自分の人生を、そして世界の運命を大きく変えることを。
そして。
全ての始まりが、ここから少し前に遡ることを――。
感想いただけると嬉しいです、よろしくお願いします




