表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者じゃなくて、旅人です!  作者: らいおんまる
4/4

新しい友達

さて、お昼まで時間がある。部屋に戻ると、トリックによって全て片付けられていたからだ。さすがだなぁ。魔法練習の続きでもしようかなぁ。あ、そうだ。僕は字が読めるんだから魔法の本を読めばいいじゃないか。そうと決まれば早速シュガー姉さんの部屋に行こーっと。そう思って部屋を出ようとした瞬間、部屋の扉が開いた。


「うわあ!」


僕が驚いて反射的に後ろに下がると、金髪のイケメンなおじさんが立っていた。


「父さん?」


困惑している僕の手を取って父さんは顔を近づける。


「ソルト、魔法が使えるとは本当か?!」


「あ、うん、。多分、、、。」


「おお!それは素晴らしい!」


父さんは僕の手を握ったまま、何処かへと向かっていった。

はー、なんか面倒なことになった気がする。






どーしてこうなった?目の前には剣を構えた父さんがいる。「さー、魔法を使ってどこにでも打ち込んできなさい」だって。3歳の男の子を稽古場に連れてきて、それはないと思う。周りにはやたら期待の目を向けてくるシュガー姉さんと、興味ありげなタルト兄さん、哀れみの目を向けているキッシュ兄さんがいる。服装からして稽古中だったのだろう。はー、うちの父さんとんだ脳筋だったよ。父さんは早くしろとこちらを見ている。長女と長男がアレなのは父親のせいでした。いつも、それに付き合わさらてるキッシュ兄さんも可哀想だなあ。僕も戦いとは求めてないです。どっちかっていうと好奇心で魔法を使ったんだけどな〜。ふー、まあ、さっさと終わらせるか。


僕は父さんから渡された剣を取る。

さっきなんて言って魔法使ったか忘れちゃったなぁ。とりあえず、さっきみたいな感じで適当にやってみよう。


『風よ父さんを包め』


すると、3メートル程の竜巻が父さんを包む。おお、使えた。なら、頑張ってみるか。僕はそのまま父さんの正面に全力で走る。


『ストーーップして僕をジャンプさせて』


突風が消えた瞬間に振りかぶった僕は父さんの頭付近まで足を持ち上げてくれた風のおかげで、大ジャンプする。父さんは驚きの表情を見せながらも、ここは冷静に後ろに下がって態勢を整える。


『剣から風!』


焦ってずいぶんと指示が適当になってしまったが、空振りをした僕の剣から風が放出され、僕は父さんの頭の上を飛び越える。父さん背中に向かって空中で風が放出している剣から手を離す。防ごうとした父さんの剣を押し任し、横腹に直撃。僕は派手に空振りして頭が地面を向いたまま、足の方から飛び越えたので、そのまま足から着地した。父さんは僕が飛び越えたことへの反応は悪くなかったが、剣から手を離すとは思っていなかったのだろう。しかも僕を持ち上げるほど風を放出している剣だ。


『ストーーップ』


僕の剣は普通に戻った。ふー、疲れた。父さんがものすごい勢いで迫ってくる。


「ソルト、それは何の魔法だ?!あの戦い方は何だ?誰かから習ったのか?もう凄すぎてようわからん。」


父さんは僕の肩を掴んで、ちょっと、この人怖いんですけど、、、。

兄さん達も近づいてきた。


「ソルトには魔法の才能があったのね!素晴らしいわ。アレは何の魔法なの?!」


「あそこで剣を離すとは思わなかったぞ!ソルトは剣の才能があったのか!?」


シュガー姉さんとタルト兄さんが食い気味で聞いてくる。ええ、もうそんなにいっぺんに言われてもわかんないよ〜。


「まあまあ、ソルトも困ってるじゃん。落ち着こうよ。僕が思うにソルトが使ってたのは魔法じゃないと思うよ。」


キッシュ兄さん優しい。でも、魔法じゃないってどういうことです?僕を含めた全員が不思議そうにキッシュ兄さんを見ている。


「ソルトの使ったのは魔法じゃない。精霊術だよ。」


「「「精霊術?」」」


「あの、使える人が少ないと言われる?そうすると確かに無茶苦茶な詠唱をしていたのにも納得できるが、肝心の精霊がいないぞ。」

父さんが言う。


「うん、ちょっとソルト精霊さんを呼んでくれる?」


え?僕、精霊なんて見たことないです。でも、キッシュ兄さんにそんな顔されたら断れないよ。まあ、やってみるだけやってみるか。


「精霊さんさっきはありがとう。もしよかったら、出てきて顔を見せてほしいな。」


僕がそう言うと、目の前に小さな小人が現れた。僕の顔くらいの大きさで、綺麗な羽の生えた男の子だ。


「何?ソルト?」


その精霊は可愛らしい声で僕に言った。みんな驚きの表情で、真剣に見つめてる。


「君が僕を助けてくれたの?」


「そうだよ。君のことがすごく気に入ったからね。僕は風使いの精霊なんだ。」


「えっと、ありがとう。名前はなんていうの?」


「ないよ。」


「えっ、そうなんだ。じゃあ、えっと〜、ウインドってこれから呼ぶね。」


その瞬間、白い光が僕達を包み込んだ。うわあ、綺麗だな。

「ありがとう!これからよろしくね。」そう精霊いや、ウィンドが言ったので、僕もよろしくねと返した。この光、なんだろ。


光が消えると、皆んな驚きと困惑の表情でこっちを見ている。えっと〜、、、。


「新しい友達ができたよ。」


うん。こう言っておいた。

(((どんなヘビーな友達だよ!)))と、3人は思った。


僕は知らなかった。これが精霊との一生をともにする契約だとは。後で、そのことをキッシュ兄さんに聞き、僕も驚きと困惑、そして喜びの表情となったのは言うまでもない。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ