10.モンスターワールドヘ
三日後。
学校の裏山に洞穴がある。
昔からこの洞穴を通ると、別の世界に行けるとうわさのあった洞穴だ。
僕も小学生のころ一度、友達と懐中電灯片手に入ってみたことがあった。
でも入ってみた結果は、行き止まりで特に何も無し。
その洞穴の前に、僕とケイ、マナ、ハピは来ていた。
「あの……、もしかして、この洞穴がモンスターの世界への入り口というんじゃ……?」
「その通りよ絆君。私もマナもハピも、この洞穴を通って人間の世界に来たの」
「だけどケイ。僕、昔、友達とこの洞穴に入ったことあるけど、ただの行き止まりだったよ」
「まあまあ絆ちゃん、私たちと一緒に入ってみれば分かるから」
マナの言葉に促され、僕ら四人は洞穴の中に足を踏み入れた。
小学校以来だから、僕がこの洞穴に入るのは数年ぶりだ。
懐中電灯片手に進む。
そろそろ突き当りにぶつかるはず……なのだが……、あれ?
いつまで経っても突き当らない。
「おかしいな? どうなってんだろ……」
ケイ、マナ、ハピはくすくす笑っている。
向こうに小さく光が見えた。
「あ、絆。出口が見えたよ」
ハピが指差した。
光はどんどん大きくなり……。
ドーム形の出口の形になった。
光の中に足を踏み入れる。
まぶしい。
片腕で目元を覆う。
やがて目が慣れると――。
そこにはまるで、恐竜時代を思わせるような世界が広がっていた。
見たこともない奇妙な形の巨大植物。
色鮮やかで不思議な形の花々。
剣のように尖った山々。
その頂上のいくつかからは噴煙が上がっている。
空には尾の長い鳥のような動物が何匹か舞っていた。
「す、すごい、まるで原始時代だ」
僕は目の前に広がる風景の迫力に圧倒された。
「あの洞窟がこんなところにつながって……」
ケイ、マナ、ハピがまたくすくす笑っている。
「どうしたの? 何がそんなにおかしのさ」
「絆君、別に学校の裏山の洞窟がここにつながっていたわけじゃないんだよ」
「絆ちゃん、秘密はこれ」
マナは、何やらきらきら光る透明な物を取り出した。
角ばっている。
多面体の水晶だった。
「これは?」
「きれいでしょう。絆ちゃん、これは鍵水晶というのよ」
「キークリスタル?」
「これを持ってトンネルみたいな狭い場所を通ると……、人間の世界とモンスターの世界をつなぐことができるんだ
よ、絆」
「それって、テレポーテーションとかワープみたいなものなのかな?」
僕はハピに聞き返す。
「まあ、そんなものかな」
「じゃあ、ハピも……、マナも、ケイも、この鍵水晶を使って僕のところに来たんだ?」
ケイ、マナ、ハピはうなずいた。
「でも、この場所ってどこなんだい? 地球上にまだこんな場所があったなんて……」
「絆君、ここは絆君のいる世界とは違う世界なのよ」
「違う世界? パラレルワールドみたいな?」
「まあ、絆ちゃんの人間の世界とは似て非なる世界だからパラレルワールドとは違うけど……、言うならばモンスターワールドってとこかしら」
「モンスターワールド……」
「モンスターワールドは、絆の故郷でもあるんだよ。お母さんがモンスターなんだから」
「そうか……、ここは僕の故郷でもあるのか……」
初めて来た場所なのに、なぜか懐かしいような気がしたのは、だからなのかもしれない。




