表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の美少女モンスター  作者: 秋保嵐馬
Ⅲ.僕を狙ってくるのは美少女モンスター娘
39/131

【壱】告白お断りデート<急>

 冴の言うとおり、順番にそれぞれ別の公園で残り四人の男子に交際の断りを入れ、全部終わった時には五時を回っていた。

 飲まず食わずぶっ通しで公園から公園へ移動し、交際への断りを続けていたので、疲れたし、おなかもぺこぺこだった。

「終わったーー。これで全部終了なんだよね」

「ああ」

「じゃ、じゃあ、僕はこれで……」

「まだだ、一緒に来い」

 えーー!

 まだ解放されないの?

 僕はあるマンションの前に連れて来られた。

「ここって……」

「私の家だ」

 そういえば、以前、血祭冴はマンションで一人暮らしって聞いたっけ。

 自動ドアが開くと、冴は中にどんどん入っていった。

 途中で立ち止まり、僕を振り向く。

「何をしている? 入れ」

「は、はい」

 僕はあわてて血祭冴を追いかけた。

 エレベーターに二人で乗る。

「あ、あのさ、冴」

「心配するな。部屋に連れ込んで血を吸ったりしない」

「あ、やっぱ、考えてること分かった?」

 エレベーターを降り、廊下をちょっと歩くと直ぐに「血祭」と表示の出たドアの前だった。

「入れ」

「お、お邪魔しま~~す」

 血祭冴の部屋は、いたって普通だった。

 なんか、おどろおどろしい呪術の道具とか、動物の頭とか、ろうそくとか、魔法陣とか、もしかしたらあるのかな~~と思ったが、そういった類の物は一切なかった。

 これじゃ、血祭冴がヴァンパイヤだと言われても誰も信じないだろう。

「座れ」

「あ、う……、うん」

 僕はダイニングのテーブルの周りに置かれている椅子の一つにかけた。

 冴はお湯を沸かし始め、冷蔵庫から何やら出すと、レンジで温め始めた。

 数分後。

 テーブルの上には紅茶とアップルパイが並べられていた。

「食事もとらずに付き合わせたからな。食べてくれ」

「あ、もしかしてこれを出してくれるために部屋に呼んでくれたの?」

「だから血を吸うためではないと言っているだろう」

「そ、そうでした、そうでした。いただきまーーす」

 僕はフォークでパイを口に運んだ。

「あ、美味しいねーー。いや、嬉しいなあーー、腹ぺこだったから」

 僕はアップルパイを一口食べた。

「美味しいねーー、これ冴が作ったの?」」

「たくさんあるから、よかったら食べてくれ」

「あ、うん、ありがとう。美味しいからいくらでも入りそうだよ」

「そ、そうか」

 また冴の顔が赤い。

「あ、暑いな。クーラーをもっと強くしよう」

 冴はリモコンをピッと操作した。

 そんなに暑いかな。

 十分クーラー効いている感じだけど……。

「掛橋絆」

「なに?」

「……」

「……」

「私たちの側に来い」

「え……」

「そうすればもう戦わなくて済む。このままでは私たちは、おまえやケンタウロス、マーメイド、ハーピーたちともずっと戦い続けなければならない」

「それは……、できないよ」

「……」

「……」

「なぜだ……、などと、野暮なことは聞くまい。――分かった。悪かったな、変なことを言った」

「いや……」

 ちょっと気まずい沈黙が続いた。

「あ、あのさ、冴」

「?」

「今日の……、なんていうの、告白お断りツアーっていうか……、そんなのの手伝いだったらできるからさ、なんならまた声かけてよ」

「それなら心配するな」

「え?」

「来週の日曜も、返事をする約束の男が八人いるのだ。来週も付き合ってもらうぞ、掛橋絆」

「えーー? だって、借りは今日の分で返したんじゃ……?」

「プールでのことを忘れたのか? あのまま放っておいたら、おまえもケンタウ……陸守ケイも、プールから出るに出られず立ち往生だったのだぞ。今日一日ぐらいでその借りを返したと思うな」

「えーーーー!?」

 そんなわけで……。

 僕はそれからしばらくの間、日曜日ごとに、冴の告白お断りツアーの付き合いをさせられることになってしまったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ