五、キャッチボールで大騒ぎ2
キャッチボールをしに僕らは公園にやってきた。
朝のジョギングでときどきマナとも来る公園だ。
このあいだは、ここでガラの悪い連中にからまれていた普見蘭を助けたのだった。
いつ以来だろう?
キャッチボールをするなんて。
「絆ーー、いくよーー」
ハピが僕にボールを投げてよこした。
今度は僕にも普通に取れる普通のボールだ。
受け止め、投げ返す。
キャッチもハピはそつがない。
ハピってなんでもできるんだな。
苦手なこととかないのかな?
そんなことをぼんやり考えながらやっていたら……。
「あ!」
ハピの投げてよこしたボールを取り損なってしまった。
後ろに転がっていくボールを追いかける。
もう少しで追いつく。
――と。
向こうからも野球のボールが転がってきた。
二つのボールがこつんとぶつかった。
「すいませーん」
向こうからボールの持ち主が走ってきた。
僕は自分のボールと、そのボールを拾い上げた。
走ってきたのは野球帽をかぶった女の子だった。
「はい」
「ありがとう」
礼を言って上げた顔は――、同級生の大神浪子だったのだ。
「大神さん」
「おまえ……、掛橋絆」
くるくるのクセ毛が野球帽で隠れていて、直ぐに分からなかったのだ。
たった今、大神浪子が走ってきたのと同じほうから、小学生ぐらいの男の子が走ってきた。
「姉ちゃーーん。もう、ヘタクソだなーー。ちゃんと取ってよーー」
大神浪子と同じ野球帽をかぶってグローブをはめている。
男の子は大神浪子の隣に来た。
「姉ちゃん、誰? 知り合い?」
「姉ちゃん? 大神さんって弟いたの?」
二人から同時に聞かれて、大神浪子はちょっとまごついた感じだったが、
「ど……、同級生の掛橋絆……君だ」
と、弟に僕を紹介し、
「弟の大神吼。小学四年生だ」
と、僕に弟を紹介してくれた。
「へえ、そうなんだ。こんにちは、吼君」
「え? あ、ああ……、おーー」
突然僕にあいさつされて、吼もまごついた。
姉弟でまごつきかたが似ていておもしろい。
「おーじゃないだろ、ちゃんと、あいさつしろ」
大神浪子が吼の後頭部に手をやり、ぐいっと頭を下げさせた。
「こ、こんにちは!」
吼があわててあいさつした。
「絆ーー、どうしたの?」
僕の後ろからハピがやってきた。
「あれ? 大神浪子」
「空守ハピ……」
ハピと大神浪子の視線がぶつかった。




