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その9

お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

僕は明日の準備をしながら、回想にふけっていた。

夏休み前の期末テスト。

まずはここを無事にクリアしなければならなかった。

万が一、万が一でも、テストの点が悪かったなんてことになれば、当然、親から海に行く許可なんか下りる訳なかっただろう。

そんでもって、夏期講習の他に、もしかしたら「家庭教師」をつけられてしまう、なんてこともありうると思ったけど…家にそこまでの経済的な余裕なんてないってわかってるから。

だって、遠距離にいる大学生の兄への仕送りだのなんだので、相当、お金の負担があるだろうからさ。

で、まあ、「家庭教師」は無しとしても、うるさく勉強!勉強って言われていたかもしれないなあ。

普段はその手のことはうるさく言わない親だけど、なんたって僕は「受験生」だから。

ましてや、期末テストの成績が悪かったとなれば、当然、その後の進学にも影響出てくるだろうし。

だけど、クラスの仲間で「海に行こう!」って気持ちがいっぱいになったから、みんなで必死に勉強した甲斐があったなあと思う。

みんなもテストの結果は上々だったようで、今度から夏休み中や学校が始まっても、集まれる時に集まれるやつが集まって、勉強会をしよう!と決まった。

僕はそういう機運が嬉しいと感じた。

まだまだ遠い先のことと思っていた3月の卒業式まで、残り1年を切ってるんだものね。

卒業しちゃったら、同じ高校に行く人も何人かはいるだろうけど、違う高校に行っちゃう人も当然いる訳で。

折角仲良くまとまっているクラスのみんなが、バラバラになっちゃうんだって考えちゃうと、やっぱり今一緒にいられる時間を大事にしなきゃって感じだ。

夏休みに入って、それぞれの塾で夏期講習が始まったけれど、5日行って2日休みの3週間っていうのは、他のところも大体一緒らしく、そのおかげで明日、仲が良いクラスメイト達15人で、海に行けるんだったね。

だから、こうして明日の準備をしているんだけど…。

大きめのトートバッグに買ったばかりの海水パンツや、大事な大事な「帰りのパンツ」などを詰めている時、僕の脳内にある心配が湧いてきた。

あ…帰りのパンツはちゃんとバッグに入れたからいいけど、どうやって着替えたらいいんだろう?

小学生の頃は当然、親と一緒だったので、車の中で着替えたり、「海の家」のシャワー付き更衣室を借りたりしていたはずだけど。

そして、去年はテルやヒロキ達と自転車で、屋外にあるでっかい市民プールに行っていたから、帰りの着替えの心配なんて無用だった。

男子更衣室の中の、100円玉を入れるコインロッカーに荷物を預けて、カーテンで仕切られたシャワーがあったし、「着替えどうする?」なんて心配はしたことなかったな。

だけど、今度は海だもんなあ。

アテにできる大人はいない。

海の家のシャワー付き更衣室を借りるほど、お金は持って行かない。

確かテルの情報だと、「砂浜に無料のシャワーがあるよ!」と言って、スマホで画像を見せてもらったら、砂浜に銀色のパイプみたいなのが生えている、そんな骨組み型のシャワーだったっけ。

そこから出る冷たい水を浴びるんだそう。

周りに「囲い」みたいなものもなく、よくある海水浴場の景色の中にドンとそれがある感じ。

え〜!じゃあ、じゃあ、このシャワーで海水を洗い流してから、どうすんの?

そのまま、バスタオルかなんかで体を覆いながら、自分達の場所に戻って来るのか。

じゃあ、じゃあ、戻って来て、どうするよ?

僕は自問自答を繰り返した。

そして、すぐさま明日の感じで、やってみた。

腰にバスタオルを落ちない様、きっちり巻いて、そのまま、今履いているパジャマのズボンを脱いでみる。

はらり。

お腹の前で端っこをねじ込んでいたタオルが、いきなり解けた。

「きゃあ〜〜!いや〜ん!」

バカみたいな声が出ちゃった。

今はいい。

自分の部屋だからね。

パジャマのズボンの下には、ちゃんとパンツも履いてるし。

だけど、これが明日の本番だとすると…ダメだ!丸出しになっちゃう!

だって、海パンを脱ぐんだもん。

下に「インナーパンツ」を履くけど、それだって海で泳いだら濡れちゃうから。

結局、一旦は全部脱ぐ形になっちゃう。

その一瞬。

その一瞬が困る。

きっと僕のことだ、今やったみたいにバスタオルだけ巻きつけたで、こんな風になってしまったら、慌てて前だけ隠すだろうけど、それじゃ足りない。

後ろの割れ目もちゃんと隠さないと。

僕は、「練習って大事」だねって、改めて感じた。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

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