新の正体
徳田新、その正体とは!!
八雲視点
全校集会から抜けてきた怪しげな男を追ってきた俺とついてきた新だけど
あの男、よく見たら将軍家の徳河豪俊じゃないか!
前に及川との会話に出てきたことがある奴で、甲級三年の将軍である徳河創雲の三男の筋の奴で超エリートコースの男じゃないか!
そんな奴が全校集会を抜けてどこに行こうってんだ?
と俺が豪俊を見ていると
バンッ!!
奴は生徒会執行部や将軍家が住む大江戸城にたどり着いた。
ドンドンッ!!
豪俊「俺だ!徳河豪俊だ!今すぐ開けろ! 」
豪俊は門を叩きながら叫ぶが
門番『申し訳ないが豪俊様、光姫様より『豪俊は天狗党頭領の疑いがあるため絶対に入れるな』と言われています 』
豪俊「なにぃっ!?あのちび女!? 」
あの豪俊が天狗党の頭領だって!?
将軍家だというのに何て悪い奴なんだ!
門番から突き放された豪俊がショックを受けている姿を俺と新が見ていると
ぐうぅ〜っ!!
新「てへっ♪ 」
新の腹の虫が盛大に鳴ってしまった。
空気読めよ!この腹!!
そして当然この音を豪俊が聞き逃すはずがなく
豪俊「誰だ!! 」
バンッ!!
豪俊は俺達を発見してしまった!
八雲「やべっ!? 」
俺達(主に俺)はすぐに逃げようとしたが
ピィーッ!!
豪俊が口笛を吹くと
ババッ!!
八雲「うわっ!? 」
どこに隠れていたのやら?
茂みから天狗党達が出現した!
豪俊「俺の悪事を知られた以上、テメェらを生かしておくわけにはいかねえ!野郎共、やっちまえ!! 」
天狗党達『はっ!! 』
ジャキンッ!!
一斉に刀を抜く天狗党達
豪俊「こんなとこに来るなんてバカな奴らだぜ!あわよくば俺の首でも狙おうと思ったのかもしれねぇが、将軍家である俺を切れる奴なんて数少ないんだよ! 」
確かに奴の言うように並の人物が徳河将軍家を傷つければ良くて大江戸学園追放、最悪の場合死刑は確実だ。
くそっ!!こうなったら殺られるよりやれだ!
と俺が腰にある刀に手を触れようとしたその時だ!
新「豪俊さんさぁ、あんた徳河将軍家だってのに悪事なんかして恥ずかしくないの?はぁ、あたしは身内として恥ずかしいよ 」
豪俊「何が身内だ!!俺はお前なんて知らね… 」
と豪俊が新を見つめると
豪俊「まさか!?そんなはずが!? 」
新を見て何かを思い出したのか、震える豪俊
一体何があったんだ?
天狗党「頭領、あの娘がどうかしたんですか? 」
天狗党「もしかして好みのタイプなんですか? 」
党員達が豪俊に聞いてみると
豪俊「馬鹿野郎!!そんなんじゃねぇ!!奴は…あの娘は…!? 」
スッ…
豪俊は震えながら新を指差すと
豪俊「徳河財閥宗家(一族の中心になる家)第一位継承者の徳河吉音なんだよ!? 」
バァンッ!!
豪俊の口から衝撃の一言が放たれた!
あ…新が次期将軍家の後継者だって!?
いつも八雲堂でぐうたらしまくり
暇さえあれば茶菓子を要求するあの新が次期将軍候補だなんて!?
朱金といい、光姫さんといい、何で俺は学園の有名人に出会う確率が高いんだよ!?
主人公の性ってわけか!?
と俺が驚いていると
吉音「同じ将軍家のあたしならあんたを斬ることができる!観念して降参しなさい! 」
豪俊より位が高いせいか、態度まで高くなる新、いや吉音様
だが豪俊は
豪俊「フッ!よくよく考えてみたらこんなとこに将軍家がいるはずがねぇよな!野郎共、こいつは徳河将軍家を語る不届き(道理や掟に背く行為をする)者だ!構わねえから殺してしまえ!! 」
天狗党達『うぉーっ!! 』
ジャキンッ!!
バッ!
奴らはまるで開き直ったかのように刀を抜いて向かってきた!
吉音「そう、そっちがそういう考えならあたしも好きなように暴れられるからいいよね! 」
ジャキンッ!!
バッ!
吉音様も刀を抜いて天狗党達に向かっていくと
吉音「ハァッ!! 」
ドカァッ!!
天狗党達『ぐわぁーっ!? 』
天狗党達『なんのっ!! 』
ババッ!!
武力では吉音様が勝っているが
天狗党達は倒されても次々と新手が向かってくるのできりがない
と俺が戦いを観戦していると
豪俊「隙だらけだぜ! 」
ガシッ!!
八雲「ぐぇっ!? 」
戦いを観戦していた俺は後ろから現れた豪俊に気づかず、取り押さえられてしまった。
吉音視点
吉音「ハァーッ!! 」
ドカァッ!!
天狗党達『うわぁーっ!? 』
ふぅっ!?こいつら実力はあたしより低いけど数が多いから倒しても倒しても現れる。
まるでゴキブリのようなしぶとさだねぇ
とあたしが思っていると
豪俊「動くんじゃねぇ!! 」
豪俊が急に叫び、あたしがそっちを見てみると
吉音「八雲!? 」
バァンッ!!
豪俊が八雲を捕まえてたんだ!?
豪俊「この男を殺されたくなければ刀を捨てて抵抗するんじゃねぇ!! 」
うぅっ…
この時、頭の悪いあたしでもわかってたんだ。
たとえあたしが刀を放して抵抗しなかったとしても八雲が無事でいる確率なんて宝くじ一枚買って一等が当たるよりも低い確率だってこと
でも…
パッ…
万が一助かる確率があるならあたしはどうなったって構わない!
と思ったあたしが刀を離そうとしたその時だよ!
八雲「この卑怯もの!!こうでもしないと女の子一人倒せないのか!! 」
八雲が豪俊に向かって言ったんだ。
豪俊「何を!!テメェは気絶でもしてやがれ!! 」
ドカァッ!!
八雲「がはっ!? 」
がくんっ!!
激昂した豪俊は八雲を殴って気絶させたんだ。
吉音「八雲!? 」
よくも八雲を気絶させたな!!って、あたしが豪俊に向かおうとしたその時!
八雲「テメェはバカな野郎だな 」
バンッ!!
豪俊「えっ!? 」
吉音「あれは!? 」
気を失ったはずの八雲がすぐに目を覚ましたんだ。
だけど少し様子が違う
あれっ?確か前にもこんなことがあったよね
八雲「いい加減に俺を離せってんだよ!! 」
バァッ!!
豪俊「うわぁっ!? 」
ドサッ!!
とあたしが考えている間に捕まっていた八雲が豪俊を投げ飛ばしちゃった。
八雲「おい嬢ちゃん、俺があのクソ野郎をぶっ飛ばしたいがそれができねぇからあいつは嬢ちゃんに譲ってやるぜ! 」
嬢ちゃんって確かあたしのことだったよね
それを聞いたあたしは
吉音「わかった。八雲の分まであいつを懲らしめてやるからね!! 」
バッ!
豪俊に向かって飛び出していったんだ。
八雲「さぁて、俺の相手はザコ共か、ザコはザコなりに楽しませてくれよな! 」