いろいろと衝撃を受ける
ハッとして覚醒し、上半身を起こし、いろいろと衝撃を受けることになる。
目の前に……ヴァルドがいた。
アイスブルーのサラサラの髪、キリッとした眉に、皇族特有のアイリス色の瞳。高い鼻に、形のいい唇。シャープな顔立ちで、鍛えられ、引き締まったスリムな体躯をしている。
白シャツに濃紺のタイ、グレーシルバーのベストに、同色のズボンという平服姿は、初めて見た。ヴァルドと言えば、プラチナの飾りがついた白の軍服に、髪色と同じアイスブルーのマントという姿が多かった。そして私と剣を交える時は、甲冑姿に変わる。
そこで驚くことになる。
私はカウチで、横にさせられていた。ヴァルドは、ローテーブルを挟んだ対面の一人掛けソファに長い脚を組んで座り、こちらを見ていた。そのローテーブルには、私が腰に帯びていた剣が置かれている。
通常、敵から奪った武器は、こんな目につく場所には置かない。これでは「殺してもらって構わない」と、言っているようなものだ。それに私は普通に起き上がることができる状態。手足も拘束されていない。
チラッと見ると、ヴァルドは……帯剣していない!
ど、どういうこと!?
さらにヴァルドの背後にはベッドが見え、広々としているが、ここが宿の部屋であると理解する。
「状況観察は終ったか、ジョン――。リヴィ騎士団長」
これにはもう心の中で、泣き笑い。「そうですよね~、もう私が誰だかバレていますよね~」と泣きそうになる。一応かつらは、まだ被ったままだったが……。
「!」
着ているシャツのボタンがいくつか外されており、あと一つ外したら、晒し布が見える状態だった。これにはキッとヴァルドを睨み、同時にシャツの襟元を合わせるようにして、手でぎゅっと握りしめると。
「! まさか」
ヴァルドが急に立ち上がったと思ったら、私のそばにあっという間に移動してきている。慌てて剣に手を伸ばそうとすると、ヴァルドが魔術を使ったようだ。剣は、ローテーブルのヴァルドが座っていた前まで移動しており、もう手が届かない。
「きゃっ」
思わず、女性のような悲鳴をあげてしまった。動転した私は、ヴァルドへの抵抗を一切止めてしまう。だが私の悲鳴を彼が気にする様子はない。
ヴァルドは襟元を掴んでいた私の手をどけると――。
碧い宝石のついたチョーカーを外し、自身の手に収めていた。
これには驚愕することになる。
このチョーカーは魔術アイテム。
そこには幻覚魔術と服従魔術、さらに身体能力を高める魔術がかかっているのだ。もし女であるとバレそうになったら呪文を唱え、これらの魔術を発動し、私は自分の身を守る必要がある。そして魔術アイテムは距離が遠くなると、呪文を唱えても反応しなくなってしまう。
ならばもう、ここは……!
「Me ama」
「やめろ!」
止めろと言われても、もう遅い。
私は魔術が発動するよう、呪文を唱えてしまった。






















































