↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宿敵の純潔を奪いました  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/184

さすがにこれは――。

 名前を尋ねられたが。

 さすがにここで、リヴィの名は出せない。


 仕方ないのでジョンという、非常にありがちな名を口にすることになった。


「そうか。ジョン。俺の名はマッドだ。君は酒が強そうだから、残念だよ」


「はは。申し訳ない。マッドこそ、酒豪だろう。僕の分まで飲んでほしい」


 そう言って私はマスターに、マッドのお代わりのビールを頼む。そして支払いを済ませると、すぐに食堂を出た。立て続けにビールを飲んでしまったので、レストルームに寄ることにする。


 転生したこの世界。前世で知る中世のように、トイレがなかったら困る……と思ったが。この世界には、ぼっとんトイレ、すなわち汲み取り式トイレが普及していた。これはこの世界に転生して、一番安堵したことだった。


 ということで男女共用のレストルームから、サッパリして出た瞬間。


 息が止まりそうになった。

 なぜなら廊下にマッドがいたからだ。


 もしやトイレの順番待ち?


「やあ、ジョン。また会ったな」


「ははは、そうだな。ちょっと用を足していた」


「そうか」


 そう言ったかと思ったら、いきなり肩に腕を回され、短剣を喉元に突き付けられていた。


 完全なる不意打ちだった。


 しかも騎士であると匂わせたが、完全にオーラを消していた。このマッドという男、ただの騎士ではない。


「ソードマスター<剣術師範>だな」


「はは。さすがですな、剣聖と言われた団長殿。よくぞ今の出来事だけで見破りました。だが解せない。なぜあなたがこんな場所に?」


 ……バレている!

 これには大いに焦ることになった。


 なぜならソードマスターが、国境近くの宿場町に、た(・)ま(・)た(・)ま(・)いるはずがない。マッドは間違いなかった。ヴァルドに随行しているソードマスターだ。


 剣を抜くかどうか、迷った。

 まず、こんな狭い廊下は、剣の戦いに向いていない。

 それに騒ぎは起こしたくなかった。

 できれば穏便に済ませたい。


「……僕はサンレモニアの森で、避難民の救出活動を指揮している。森の外で天幕を張り、そこに滞在しているんだ。今日はその……女を抱きたくなって、ここまで来た。自国の宿場町より、ここの方が近いから」


「リヴィ騎士団長、嘘は困ります。あなたは平和条約締結記念舞踏会に出席するため、王都へ戻ったはずでは? それなのにここにいるということは……ヴァルド皇太子殿下の暗殺を国王に命じられたのか? 仲間はどこに待機している?」


 王都へ戻ったはず……なぜそれを知っている……!?


 そう思ったが、すぐに一つの可能性が浮かぶ。

 ヴァルドはもしかすると、この宿場町に昨日、今日来たわけではないのかもしれない。平和条約締結記念舞踏会には、絶対に出席する必要がある。だが急な嵐などで足止めを食う可能性がある。ゆえに早めにここに到達していたのではないか。そして気づいた。サンレモニアの森で、避難民の救出活動を、マリアーレクラウン騎士団が行っていることに。


 監視……されていたのかもしれない。

 だからこそ私が王都へ戻ったことも、知っているのでは!?


 いや、今はそのことよりも……。


「ち、違う! 断じてそんな理由で来たのではない! 仲間など一緒ではない。僕一人だ」


 騒ぎになることを躊躇せず、マッドの短剣を奪い、息の根を止めておけばよかった。


 平和協定を結んでいたとしても。

 ヴァルドが滞在する宿場町に、宿敵である私がいれば……。

 それは絶対に怪しい。

 暗殺を目論んだのかと、疑って当然なのだから。


 躊躇したのは、気が緩んでいたせいなのか?


 一方、私の返事を聞いたマッドは「そんな言い分、信じられると思うか」と言うのと同時に、私を気絶させたのだ。


 意識を失う刹那。


 思ったことはただ一つ。

 女であることは、絶対にバレてはいけない。


 単身行動をしていて、女とバレたら……。


 いくら礼儀正しいヴァルド率いる帝国軍でも、さすがにこれは――。


 そこで完全に意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。