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価値観を否定することはよくないと思い、山に暮らす火の神を打ち倒すことも現実的ではなく、何もなせないまま旅立つことを決めた三人は別れの準備を進めていました。
「二人とも本当にお世話になりました」
「ヴァレリオさんいろいろとありがとう。グレタさんご飯美味しかったです。それじゃあ、またいつか」
「すみません、看病とかいろいろありがとうございました」
「おう、こちらこそ楽しかったぞ。またいつでも来いよ」
「美味しかったのならよかった。三人ならいつでも歓迎だからね」
そして、お世話になった者達に挨拶を済ませた二人には、多くの人達との、そしてオドレイとの別れが近付いていました。
「これ以上二人の旅に付いて行っても迷惑かけそうだし、私はここでお別れにしようかな。二人ともありがとうね」
「そうなんですか。その、お世話になりました」
「寂しいです!…ルディもなんか言いなよ」
「そうだな、生殖本能とは種の存続のために生物が持つものだ。体には気を使え」
「…?ああ、そっか。失っただけだと思ってたけど、得たものもあったんだ」
そういうなり、オドレイはしばらく黙り込んでいました。
「せめて国の近くまでは送ったほうがいいですか?」
「ありがとう、お願いね。国に帰ったら、仕事をしてお金を稼がなきゃね。それから、最後に一つだけお願いしていい?」
「もちろん」
「彼、アルトゥールのことを忘れないで」
「アルトゥールさんと国を守るために戦ったこと、決して忘れません」
「第一印象がアレだから忘れないと思います」
「ありがとうね、二人とも」
二人の思い思いの励ましに笑顔になったオドレイを引き連れて、三人と一匹は国に向かって行きました。
オドレイを無事に国まで送り届けた二人は、次の行き先について話し合っていました。
「無事にオドレイさんも送ったし、次どこ行こっか」
「そういえば、この国の新聞を読んでみたんだけれど、勇者と魔王ってのがいるらしいよ」
「へー」
「それで勇者が魔王軍の四天王を倒して、そのお祝いを国に帰ってするらしいから、それを見に行くのはどうかな?」
「いいじゃん」
「そうか、次の目的地は宗教国家エレツークにするのか」
こうして次の目的地も決まったところで、自分達の知らない価値観を学んだ二人と一匹の旅はまだまだ続きます。




