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BLADE HEART  作者: 御永三矢
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七家

五月の初句 ゴールデンウィークももう終わりというこの時期に 俺は豪華な屋敷の一室で 客が揃うのを待っていた。


広い和室に 食卓が七つ、並べられている。 六つの向かい合う席の奥の一席、大将が座る席に 俺は座っていた。


部屋にいる俺を含めて五人は 残り二人が来るのを待っていた。



「約束の時間をとうにすぎてるのに、まだ二人もきてないってどういうことですか?」

左席の三番目 眼鏡をかけた茶髪の少年は不満を隠すそぶりも無く俺に言った。


「……じきにくる。だからもう少し待っててくれ 仏呑(ほとけの)」

ずずずー っとお茶を飲みながら応える俺をみて 仏呑は不満から怒りの表情になる


「何呑気にお茶なんか飲んでんだよ!!!幹部が入れ替わって初の会議だってのに こんなのが大将で本当に大丈夫なのかよこの組織は!?」

こんなのっていうな こんなのって だがそれは自分でも思ってる


「いいか 神撫の!! お前が『序列決め』で一位になったから 僕達は従っているんだ! 僕達が お前のことを大将として認めているわけではないことを忘れるなよ!!」


俺は仏呑と『序列決め』のときに一戦交えたことがある。俺はそのときやつに負けたことがあった。そのせいで 俺が序列第一位に選ばれてからも 異様にからんでくるのだ。


俺が言い返そうとしたとき 左席の二番目 仏呑の隣の席から ツンツン頭の黒髪の 鋭い目付きをした黒コートの少年が 仏呑を目で制した。


「……少し黙れよ。第六位。」


「六位って呼ぶな 化討(ばけうち)の!!」


一触即発。まさに仏呑が化討と一戦起こそうと立とうとしたそのときーーー



「こんっっちゃーー!!!頼まれた荷物おとどけに参りましたあああああ!!!」

突然襖が開き、外からツインテールの小柄な少女 が叫んだ。


「お疲れ、妖裂(あやさき) 悪いな」


「いーよぉ。でもぉ、約束、忘れないでよね☆」

妖裂が俺に可愛くウインクしながら言う。


「……約束って何?」

右席一番目から聞こえてくる。腰まである長い黒髪が特徴的な凛々しい顔立ちの女の子、霊宮(れいぐう)が俺を睨んでいる。

って、ちょっ、箸折った!?


「今度の日曜あたいと二人でデートするんだよねー♡」

パリンッ!!とグラスが割れた音がした。


「……ふーん、随分仲がいいのね。今日はその打ち合わせでもするの?神撫。」


「ち、違う!!報酬は何がいいかって聞いたら妖裂の買い物に付き合ってほしいって言われて仕方なくーー」


「仕方なく、何?」

やばい、殺される…


「まーまー、落ち着いてよ二人ともぉ。せっかく私がこいつ見つけて連れてきたんだから

ぁ、早く本題にはいろぉよ」

妖裂が笑いながら言う。こいつ完全に俺で遊んでやがる……。


「……コホン。そうだな。えーと、今回集まってもらった理由っていうのは主に、妖裂が今連れてきた序列第三位、鬼狂(きぐるみ)のことでだ」

俺が言うと今まで妖裂にガムテープでグルグル巻きにされた状態で担がれてきた鬼狂が顔を上げた。


「あー、よォ皆おひさー!っと言いたいところだけど、とりあえずこれ解いてくれない?」

染められた髪にピアスといった派手な頭をした童顔の少年、鬼狂は笑いながら俺に言う。


「ダメだ。お前はしばらくそのままでいろ」


「ちょっ、嘘だろおい」


「えーと、四日前のことなんだがー」


「マジでこのままかよっ!?」






「鬼狂が、吸血鬼を殺した」






……全員、黙る。


脇でガタガタ言っていた鬼狂も、黙る。



「……それは…つまり……」

仏呑が真剣な顔で俺の方を向き、口を開く。


「吸血鬼のやつらと、戦争になるってことか……?」

全員が、俺の方を見る。

俺は普段と同じ口調で平然と答える。


「そうだ。 俺たちは今まで、『人』の暗殺を生業としてきたが、これからは、違う」


全員を見据えて、俺は言う。


「先代幹部もやってきた仕事だ。……人外。人ならざる者。人を超えた者。 こいつらの、殺しを行う」






「……なるほどな」

化討が腕を組みながら鬼狂をみて言う。


「お前が吸血鬼を殺したのについては深くは聞かないことにしよう。それで第一位、具体案は?」


「基本的に 二、二、二、一 のグループで仕事をする。俺と霊宮。 鬼狂と怪泣。妖裂と仏呑。化討には単体で仕事に当たってもらう」


「好都合だ」


「はーい!あたいも一人で十分だよぉ」

妖裂が手を挙げて抗議する。

だが、断る!


「ダメだ。全員の戦闘力を考慮した上で、単体で吸血鬼に勝てるのはこの中で化討だけだ」


あたい一人で勝てるもん!って言ってる妖裂は無視して話を続ける。



「俺らの組員も既にやつらに何人か殺されている。一般人も含めると、かなりの数だな。迅速に事を終わらせるぞ。」




と、そこでさっきから食べることしかしていなかった怪泣が初めて俺の方を向く。

金髪のショートヘアにヘアピンをしている幼い顔立ちの少女、怪泣は無邪気に聞いてくる

「本気だしていいの?」


「……ほどほどに、な」


「やた!えへへ〜、一緒にがんばろうね鬼狂!」


「………おう」

鬼狂がいつもとは違う真剣な顔で頷く。




「話は以上だ。詳しい仕事内容は上の指示に従ってくれ」


「……ひとつ、聞きたいんだけど」

仏呑が俺に聞く


「なんだ?」


「組員の誰かが、吸血鬼になった場合はその場で殺せばいいのか」


「ああ」


「吸血鬼になった人間を治す方法はない」


「敵になるなら、全員殺せ」







そんなことは、させない。


誰も死なせない、とは言わない。


ただ俺の目の届くうちは、殺させはしない。


そのために磨いた力だ。


……そのための、汚れだ。



そして俺と霊宮に黒い封筒が届く



『ルイン=アルカード』



俺らはそいつを斬りに行くことになった。












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