『シーピーズ』の本拠地
博士たちは、『シーピーズ』の基地についた。
「This is the lab which I used to be! (ここです!)」
ウェイが叫ぶ。
博士たちの前には大きな建物があった。
3階建てほどの、真っ白な建物だ。周りの真っ白な景色に溶け込み、目立たないが、そこにずっしりと構えていた。
博士たちは、基地の前にスノーモービルを停車する。
周りには、兵士はいなかった。
ここにくる途中に待ち伏せしていたものはあらかた倒してきたからだ。
「We need ID card to enter the building, but I do not have that anymore. (入り口はカードが要ります。でも、私はもう持っていませんよ)」
ウェイは、言う。
ウェイは昔、この基地で働いていた。しかし、オーストラリア政府に捕まった際に、荷物は全部無くしてしまっていたのだ。
「No problem, we can do it without ID card. (じゃあ、力ずくか……。)」
博士はそう言い、シンシアの方に目を向けた。
もちろん、アムルとシンシアの力を持ってすれば、研究機関の建物ごと一撃で葬り去れる。
極論を言えば、侵入する必要はない。
しかし、博士には確かめたいことがあった。
建物を壊さずに、中に入る理由があったのだ。
「固そうだね」
「そうだね。じゃあ、アムル、お願い」
扉の目の前で、博士とシンシアは扉を見上げた。
この建物の扉は頑強そうである。
極寒の気温や吹雪にも耐えられるように、厚く設計されているのだろう。
(はいよ、兄者!)
アムルは、博士の背中で、神具ケラノウスを振りかざす。
稲妻が扉に向かって、落ちた。
ゴオオオン
と、大きな音を立てて、扉ごと玄関の周辺が吹き飛んだ。
「よし、行こうか」
博士を先頭に、博士たちは、『シーピーズ』の基地の建物に入ってゆく。
「屋内ではアムルの雷が存分に使えないのが痛いなぁ。きっと中には、まだ兵士がいるよ」
博士が言う。
「そうだね。まぁ、これがあれば大丈夫でしょ」
シンシアは、そう言って、大きな氷の塊を2つ、自分の周りに浮かべた。
「I think there are only researchers in this building. (あ、でも、この中の研究棟は基本的に研究者ばかりですよ)」
ウェイが言う。
ウェイが働いていた研究棟は研究のための施設である。普段なら兵士は常駐していない。
「Well, but just in case. Anyway, our goal is to meat Justin Blau. Whereas, I have one thing to make sure. (そうか。まぁ、念のためだ。とりあえず、僕たちの目的は、ボスだからなぁ……。あっ、でも、その前に確認したいこともある……。)」
博士は、ここで確かめておきたいことがあった。
博士は、それをウェイに話した。
「Okay, then, this way. (それなら、こっちですね)」
ウェイを先頭にして、博士たちは、建物の中を進んでゆく。
博士は細胞生物学の研究室に寄りたいと言ったのだ。




