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月と海のリザレクション〜海神ポセイドンの幼女転生〜  作者: 幸田遥
第2章 大西洋航海編

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海神ポセイドン消失の真相


 研究船パーズ内の大城戸ファミリーの居住部屋にて。



 博士は、険しい顔つきをしていた。



「シンシア、アムル、話がある」

 博士は、その険しい顔つきのまま、シンシアとアムルに呼びかける。



「うん」


(うん)


 シンシアとアムルは博士の方に目を向ける。

 いつもより穏やかではない博士の様子に、気分がこわばる。


「確か、アムルは、5年前の南極で、海神ポセイドンの神殿の方で、光を見たと言っていたな?」



(あぁ、そうだ)



「この間、中本教授と話したんだが、オーストラリアの近傍と、南アメリカ大陸の南で、放射性物質の値が高かったと言っていたんだ。まぁ、要するに、南極海で放射性物質の値が高い、ということだ。この原因は、マイケル教授の言っていた、核融合実験が原因だろう。そして、これらのことを踏まえて、推測すると……。」



「うん……。」


 シンシアは、ゴクリと唾を飲む。


「海神ポセイドンが消失した原因は、核融合実験だろう」



「核融合実験……。」


 シンシアは、首を傾げる。


 シンシアが、今まで聞いたこともない単語である。



「まぁ、簡単に言うと爆発を制御する計算のための実験かなぁ。そして、一旦実験から実測値が計測できれば、その実測値を使って、色々シミュレーションができる。まぁ、この実験は地上で行う訳にもいかないからなぁ、こっそりやるとすれば、海中だろう。マイケル博士も、海中でやったと言っていたしな。そして、アムルが、5年前に見た光が、その核融合実験の爆発の光だとしたら……。」



「その爆発はどれくらいすごいの?」

 シンシアが、首をかしげる。



「僕も正確には知らないよ。専門家じゃないしね。でも、一瞬ですごい熱が出るからね。まぁ、海神ポセイドンといえども……、ってところだろう」



「そうだったのか……。」

 シンシアは複雑な表情を浮かべた。


 自身が消失した理由がわかって嬉しいような、また、そんな怖い実験の犠牲になって、怖いような感じだ。


 海神ポセイドンとして消失した時は、まさに一瞬だった。

 その時は、恐怖は感じなかったのに……。




「そして、『シーピーズ』は、十中八九、『水素爆弾』を完成させていると思って間違いないだろう」

 博士は神妙な顔つきをする。



 『原子爆弾』は、ある物質を一定量合わせれば、勝手に爆発する単純な設計である。

 だからこそ、威力には限界がある。


 一方で、『水素爆弾』には、威力の限界がない。太陽がほぼ無尽蔵に核融合を行えるのと同様だ。


 水素爆弾を手にすることは、圧倒的な武力を手にすることに等しい。



(海神ポセイドンを一瞬にして消滅させるほどの爆弾を、あいつらが持っているとして、それでパーズが襲われたりはしないのか?)

 アムルが、脳波で博士に語りかけた。



「わからないよ……。今の所は、世界の国々も、持っているだけで使うことはないからね。どこかの国が使うと、核戦争が起きかねないからねぇ……。」



(そうか……。使わないのなら良いのだがな。だが、あの組織は、雷を操るために最高神ゼウスの脳を操ることを辞さない組織だと言うことも忘れてはならない、と俺は思うよ)

 アムルは、レイアの腕の中で真剣な表情を浮かべていた。1歳児の顔ではなかった。



「そうだな、アムルの意見ももっともだ……。注意するに越したことはないな。さて、海神ポセイドンが消失した原因は、『シーピーズ』がおこなった核融合実験だと考えて間違いないだろうな。で、犯人もわかったし。どうする、シンシア?」

 博士は、シンシアに、視線を移した。



「潰しにいく!」

 シンシアが真剣な目つきで答えた。



「だろうね。僕も同意だ。研究者としてもあいつらを放っておけないし、シンシアの父親としても、あいつらを放ってはおけない」

 博士はシンシアの言葉に大きく頷く。



「しかも。本拠地は、南極にあるということもわかっている。実はね、この4月に当たった研究費で、南極大陸に上陸するための砕氷船を設計しているんだ。研究機関パーズの南極向けみたいな感じだよ。まぁ、僕1人の研究費では無理だから、共同研究者もいるけどね。だから、その船が完成したら、南極に乗り込もう」

 博士は得意げに、説明をした。


 4月に獲得した研究費ですでに砕氷船の製造が進んでいる。南極に行くことを想定して、すでに手を考えていたのだ。



「うん。ありがとうパパ」

 シンシアは、博士の目を見て、大きく頷く。

 口元に、笑みを浮かべながら。



「それまでに、まだ色々と作りたい生物もいるしね。その船もまだ完成していないし。研究船パーズでの航海も途中だし。とりあえず、ゆっくり行こうか」


 博士は、シンシアに笑いかけた。



「うん。そうだね。わたしは、わたしが消失した理由がわかって、よかった。少し前に進めた気がする。ありがとう、パパ」


 シンシアは博士に抱きついた。

 博士は、シンシアの頭を優しく、撫でる。



(俺もあの組織には、恨みがあるからなぁ、協力するぜ、兄者!)


 アムルも、笑顔を浮かべた。


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i488219
秋の桜子さまよりいただきました。
好評連載中です!

i493381
砂臥 環さまからいただきました。
リンク先は、『『月』を照らす光〜月と海のリザレクション〜』です。
テーマソングです。
― 新着の感想 ―
[一言] 犯人はシーピーズだったんですね……! 許すまじ……! とか言ってたら、核戦争が起こりそうです(汗)
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