神の鳥 エミュー
太陽が地平線から昇ってきた。
「よし、早速エミューを探し始めようか。まずは、エミューがいそうなところを探してみようか」
博士は、車の中からオペラグラスを取り出し、周りを見渡す。
周りには広大な平原が広がっている。
「あっ! あそこにエミューの集団がいる。あっちに向かってみよう!」
博士は、エミューの集団を見つけた。
博士たちは、車に乗り込み、エミューの集団に向かって、平原を車で進んだ。
ウォー
ウォー
ぼん ボボン
ぼん ボボン
エミューの集団に近づくと、車に驚いたのか、エミューたちは声を上げる。
「どうだ、シンシア、この中にガイアはいそうか?」
博士は、後ろの席にいるシンシアに話しかける。
「うーん。気配はするんだよね」
(俺も、気配は感じる)
アムルも、脳波で博士とシンシアに語りかける。
「あ、そうだ。あの中からガイアを見つけ出す簡単な方法を閃いた」
博士は自信満々で言う。
「どうするの?」
「呼べばいいんだ」
「なるほどね。パパ、頭いいね。よし、行ってくる」
シンシアは、車から飛び出した。
そして、大きく息を吸った。
「ガイアちゃーん! いたら返事してー!」
シンシアは、エミューの群れに向かって大声をあげた。
ぼん ボボン
ぼん ボボン
ぼん ボボン
ぼん ボボン
シンシアの大声に驚いたのか、数羽のエミューが鳴き声をあげた。
そして、エミューの集団の中から、数羽のエミューが、シンシアの方に向かってぞろぞろと歩いてくる。
あっという間に、博士たちの車は、エミューで囲まれた。
「ガイアちゃんじゃと? 私に向かってちゃん付けじゃと? そなたは誰じゃ?」
1羽のエミューが日本語を話した。
シンシアに向かって、首をかしげている。
「えっ? 本当にガイアちゃん?」
シンシアは目を丸くした。
車の中では、博士も口を半分開けている。
この方法がうまくいくとは思っていなかったのであろう。
「あぁ、ガイアちゃん? わたしは、わたしだよ、海神ポセイドンだよ」
シンシアは、海神ポセイドンと名乗った。
「ポセイドン? はて? あやつがこの大陸に来られるとは思わないが」
「色々と事情があってな……。人間に転生したんだ」
シンシアは、少し恥ずかしそうに言う。
(俺もいるぞ。最高神ゼウスだ。久しいな、ガイアよ)
アムルも、そのエミューに脳波を送る。
「おぉ。お前? ゼウスか? 随分と小さくなったのう、数億年ぶりじゃのぉ」
1羽のエミューが車の中を覗き込む。
(そうだ。俺にも色々事情があってな)
アムルは、エミューに向かって、小さい手を小さく振った。
「みんなで、暮らしていたのがつい昨日のようじゃ。大陸もバラバラになって、結構経つからのぉ」
1羽のエミューは、首をゆらゆらと振った。
「そうだな、ガイア。ちなみに、それがお主の今の姿か?」
シンシアが、ガイアこと1羽のエミューに尋ねる。
「そうじゃよ。この鳥たちすべてが妾じゃ」
エミューは声をあげた。
「これも妾で」
「こっちも、妾」
「そして、これも、妾じゃ」
「みんな」
「で」
「妾じゃ」
数羽のエミューが次々に声を上げる。
地母神ガイアは、数羽のエミューを集合体として肉体にしている。
これにより、能力が分散されるが、命の危険も分散される。地母神ガイアが、人間との共存のためにたどり着いた一つの生き方であった。
「そうか、それは興味深いな」
博士は車の中で頷いている。
「妾は元気に暮らしておる。一時期はしんどかったが、最近ではちゃんと妾のことを崇めてくれるからのぉ。問題ない」
ガイアは言う。
「ガイアちゃん! 早速なんだけど……。」
シンシアと博士はこれまでの経緯を説明した。
博士とシンシアがガイアに会いに来た一番の理由は、新たな生物を作り出すことである。そして、ガイアちゃんの安否確認のためでもあった。
「なるほど。せっかくじゃから、妾の神殿にでも案内しようかのぉ。そこでゆっくりと生物を作ろうではないか」
1羽のエミューは、シンシアに語りかけた。
カタジュタのオルガ岩にガイアの神殿がある。
先導する1羽のエミューの後ろを追って、博士は車を走らせた。
車の周りには、ぞろぞろと、数羽のエミューが付いて来ていた。
「エアーズロックじゃなくて、こっちだったのか」
博士はオルガ岩を見上げて、つぶやく。
オルガ岩は、エアーズロックとは地中でつながっている大きい岩だ。
地上に出ているうちの、もう片方の方である。
エアーズロックよりも小さいが、それなりに巨大な岩がいくつもある。
「人間には入り口がわからないようになっているんじゃ」
1羽のエミューが言う。
1羽のエミューが、オルガ岩のある岩の目の前に立った。
ゴゴゴゴ
と、音を立てて、岩に穴が空いた。
地母神ガイアの神殿への入り口である。
博士たちは、オルガの岩に小さく開いた神殿の入り口に入っていった。
数羽のエミューもぞろぞろと、博士たちの後に続いた。




