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月と海のリザレクション〜海神ポセイドンの幼女転生〜  作者: 幸田遥
第1章 太平洋航海編

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海底神殿とトライデント


 シンシアは水を自由自在に操れる。



 周りの海水を操り、高速で海を沈んで行く。水圧も適宜緩和し、人間としての肉体に負担がかからないようにする。もちろん、水中での呼吸は問題ない。彼女は、彼女が本来いるべき場所に帰ってきただけだ。




 シンシアは、どんどんと沈んでいく。

 太陽の光が届かない深海になっても、まだ沈んでいく。


 シンシアは懐かしさを感じていた。長年住み慣れた海である。水の冷たさと暗い雰囲気が懐かしい。



 シンシアは、すぐに海底にたどり着いた。

 目の前には大きな平面が広がっている。360度、何もない。そして、何もいない。




 (あれ? このあたりだと思うけど。何もないな)


 シンシアは、神殿があった場所に着いたはずだ。少なくとも、シンシアが覚えている場所に戻って来た。


 しかし、見覚えのある景色は、見当たらない。

 頭につけていたヘッドライトを点けて、海底を慎重に探した。




 すると、シンシアは、神殿の残骸みたいな何かが砂から生えているのを見つけた。



 (砂が堆積したのかもしれないな。よし)



 シンシアは、足元に大きな渦を作り出した。

 渦はシンシアの周りを大きく動き、海底から砂を巻き上げる。




 堆積していた砂の下から見つかったのは、ボロボロに崩れ去った巨大な神殿であった。


 シンシアは今、海神ポセイドンであった時の30分の1くらいの大きさしかない。

 今のシンシアから見れば、これは大きすぎる神殿だ。それが砂の下に埋もれていたのだ。パッと気がつかなかったのもそのせいである。




 巨大な神殿と言っても、もはや屋根も何もなく、壁と柱が所々に残っているだけだ。ほとんど何も残っていない。広大で平坦な海底にポツポツと突起物が残っているだけだ。




(あ、そうだ)


 シンシアは、神殿内の大広間があった場所に向かった。海神ポセイドンが、最期にいたであろう場所だ。


 そこには、神具『トライデント』があるかもしれない。それは、海神ポセイドンであった時に持っていたものだ。

 それはポセイドンが作り出したものではないので、ポセイドンが消失しても、無くならないはずである。




 シンシアは、神殿内の大広間であったであろう場所に着いた。そこには、何も無い平坦な砂場が広がっていた。


 シンシアは、渦を起こして、そこに堆積していた砂をどけた。



(あった!)


 砂が巻き上がった後の海底には、一本の大きな槍が残っていた。


 シンシアの身長の2倍はある大きな三又の槍である。砂に埋もれてはいたが、無事に残っていた。しかし、あたりを見渡しても、海神ポセイドンの死体は見当たらなかった。

 4年の間に風化してしまったのであろうか。



(これが無事でよかった。でも、収穫はこれだけか)


 シンシアは、海底からトライデントを拾い上げた。そして、それをぎゅっと握りしめる。




 シンシアは、しばらくそこに立っていた。


 神具であるトライデントは無事だった。

 しかし、神殿はボロボロに崩れ去ってしまっていた。数億年の間ここにあったのだ。4年の間に風化するものでもない。


 一方で、神殿が崩壊した理由は、全くわからない。




 シンシアが上を見上げると、遠くの方に水面がうっすらと見える。小さな、小さな光である。これからシンシアが探し出さなければいけないものも、これくらいに小さいものなのであろうか。

 シンシアは、静かに肩を落とした。




 シンシアは、トライデントを手に、浮上した。

 海上では、今の父親である大城戸博士が待ってくれている。まだまだ長い付き合いになりそうである。


 シンシアは、目の前に見える小さな、小さな光に向かって、海を浮上していった。

 光は、水面に近づくにつれて、次第に大きくなった。




 シンシアが、海面から頭を出すと、空は快晴だった。透き通った冷たい風が、海の上を横切ってゆく。


 すぐ近くに見える船の上には、寒さに震える博士の姿があった。震えながらも、じっと海を眺めていた。船の外で、シンシアの帰りを待っていたのだろう。



「おかえりー、シンシアー」

 博士の大声が、船から聞こえる。



「ただいまー」


 シンシアも、大きな声をあげた。

 右手に持っていたトライデントを大きく、大きく振った。

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i488219
秋の桜子さまよりいただきました。
好評連載中です!

i493381
砂臥 環さまからいただきました。
リンク先は、『『月』を照らす光〜月と海のリザレクション〜』です。
テーマソングです。
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