蓄音機とレオンの実家とレオンの父の思い
この世界にやってくる前、ロビンにとっては 電気製品に囲まれた生活が日常だった。
しかし こちらの世界に町ごと転移してきたとき、残念ながら発電所はついてこなかった。
そして こちらの世界には、まだ 発電所はなかった。
それでも 太陽光発電設備は すでに町に備わっていたので、当初は電気アリの生活をしていたのだが、何分にもレイスは電流が産み出す磁界を嫌う。
メイジは 目新しい発明品を喜んで研究したが。
◇
シェリーは、偶然 「ある町」に残されていた楽器に目をとめ、その演奏方法を、ロビンから習った。
調律方法は 「ある街」に残されていた古代文献を通して学び、
ピアノを1台を譲り受けて、自宅に置いていた。
しかし 録音再生機の存在には気づいていなかった。
◇
「ある街」の外側の世界では、手回し蓄音機と録音機が普及し始めていた。
といっても 個人で所有している者は少なく、どちらかと言えば富裕層のステイタスっぽかったが。
◇レオンの実家にて◇
目端の利くレオンと発想力豊かなミオが、蓄音機を使って音楽を流して聞かせる「音楽屋」をはじめてはどうか?などと言っていたが、その二人が 子供と共に引っ越していったので、その話は立ち消えになっていた。
あれから3年。
久しぶりに来た息子からの便りは、その蓄音機と楽譜の無心であった。
子供に童謡を聞かせたいから、蓄音機と録音と楽譜が欲しいというのはわかる。
しかし なぜ2組もいるのか?と思えば、
なんでも 子育てにお世話になった方が音楽教師であり、町の有力者の一人でもあるので、これまでのお礼と 今後ともご支援よろしくとのお願いもかねて、蓄音機と 童謡やセレナーデのセットが欲しいのだというのだ。
このセレナーデというのは、お世話になった奥様の趣味を考えてのことだとか・・。
いいだろう、かわいい息子と孫のためだ、手配してやろう。とレオンの父は思った。
”それにしても、縁とは不思議なものだなぁ。
大荒廃時代、うちの先祖の土地に流れてきた「ミオの母方の先祖」の故郷に
うちの息子夫婦が引っ越すことになろうとは。
もっとわかりやすく言えば、うちの先祖の娘が流れ者のオオカミ男と結婚して
できたのが 我が一族。
そして 我が一族にオオカミ男の血が流れていることは代々家長のみが知る秘密とされてきた。が しかし 時の流れの中で、あの「流れ者」が本当にオオカミ男だったのかどうかはアヤフヤな伝承の類だと思われてきた。
そしてまた うちの家系に「流れ者」の血が入っている入っていることも知らないままに、嫁いでいった娘の末裔がミオだったのだが・・
我が家は 「本家」として 一族の嫁ぎ先の家系まで把握してきたが
ミオの母親のように 自分の先祖や家系のつながりすら知らない 末裔たちも多い。
それが回りまわって、うちの息子のレオンと、分家ともいえないほどの遠縁の末裔にあたるミオとの間に、オオカミっ子が産まれたとは!
そして その子の為に息子夫婦が 御先祖の出身地に引っ越すことになろうとは・・。
伝承が 単なる伝承ではなく根っこがあったということにも驚くが
まったく 人の世の縁とは不思議なものよ。
にしても 息子のレオンに お前の体の中にはオオカミ男の血が流れているのだと教えることなく、送り出してしまったが・・。
はてさてどうしたものか・・、
レオンが自分で気が付いて尋ねてくるまで黙っておこうか・・。
なにしろ 跡取りである長男ですら、まだ知らぬことであるから。
長男は、レオン一家がオオカミ男属のもとへひっこしたのも
たまたま オオカミ男の一人が 過去に我が家に遊びに来ていた縁があったからだと思っている。
なにしろ 商売人として、信義と縁と人を見る目を重んじるのが我が家の家風だったので。
私だって家長を引き継ぐまで、うちの一族と オオカミ男属との親交があるのは
家業に絡んだ先祖代々の交流のたまものだとしか思ってなかったから。”
(おまけ)
本日(9月16日)
小説家になろう 「なろう異世界ファンタジーフェス!2026」
5万文字の作品を書いてみよう!(8/4(火) 00:00 ~ 9/14(月) 23:59)クエスト達成
記念の賞状が届きました。
これもひとえに 毎日読みに来て下さった皆様の存在に励まされてのことであります
本当にありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします m(__)m




