寮生たち
「どうです?これが僕の理想の部屋ですよ」
僕は帰って来たブランさんに声をかけたです。
だってブランさん、僕の部屋を見て口をあんぐりと開けて放心しているのですから・・・してやったりです。
「・・・はっ!ちょ、ちょっと、これはどう言う事!?少し目を離した間に、一体何が起こったのよ!!」
「邪神様のお力によって、僕の理想のマイルームを造ったですよ。ほら、これです。この道具を使うと設定通りのマイルームになるです」
我に返ったブランさん。せっかくですから、マイルームを自慢させて貰うです。
「・・・と言うわけで、チョコレートの水道に、ガムの電灯とか、全部食べられるですよ」
「毎日、食べていたら間違い無く太るわね・・・って、そうじゃないわっ!!こんな、マジックアイテムなんて見た事がないわ!!間違いなく、最上級のAFよ!!」
どうやら、魔法効果のある道具の事をマジックアイテム。それらを超えた、現在では再現出来ない、遺跡などで見つかる超貴重なマジックアイテムをAFと呼んでいるようですね。
「39〆¥・,<€☆々1=→°>=$〒|^*!?」
「$^6〒☆〆$€=!!」
「>%$\♪○♪×$€=#☆」
・・・そんな時でした。いつの間にか知らない人たちが僕の部屋に入って来たです。不法侵入ですよ。それとちゃんと靴を脱いで上がって下さい・・・欧米か!?いえ、異世界でしたね。
「あ、あなた達・・・いつの間に」
「お友達ですか?」
「・・・同じこの寮に住む学生たちよ」
ブランさんはこの部屋の事を寮生たちに事情を説明しているみたいですね。でも、相手の言葉が分からないとやり難い限りですね。
『会話に参加出来ない?そんな時はこれだ!!【注目薬】・・・これで無視される事の無い存在に!これで空気だなんて言わせない!!』
「誰が空気ですかっ!!普通に言語による意思疎通が出来ないだけですよっ!!」
何て失礼なっ!僕は地味じゃないし、空気でもないです!!こんな可愛い存在が人たちに無視される存在な訳無いじゃないですかっ!!
「だから、何か言語が分かるようになる道具を下さいです」
『いきなり、人に頼るなよ。しょうがないな〜、の○太くんは・・・ほい、転送!!』
・・・の○太くんって誰ですか?それはともかく、邪神様が言葉が分かるようになる道具を送ってくれたみたいです。
再び、天井の空間が歪み道具が降って来るです。今度のは丸い玉のような道具でした。
『【全言語翻訳玉】〜!!これを装備すれば、国々の全言語がわかる高性能!!だが、気を付けろよ!!玉が破壊されたら爆発を引き起こすからなっ!!』
「だから!何で、爆発するですかっ!!」
『俺の趣味だ』
「やっぱりですかっ!!そんな気はしてましたですけどっ!!」
邪神様の爆発趣味の事は置いておくです。僕は送られて来たばかりの翻訳玉を装備・・・と言うか手に持ったです・・・すると。
「な、何だあれは!?天井が裂けて何かが降って来たぞっ!!」
「・・・一体、何が起こったの?」
おお!あの人たちの言葉がわかるです!!とりあえず、挨拶でもしてみますかね。
「初めましてです。僕の名前はモツ。よろしくです!!」
「「「魔物が喋ったっ!?」」」
「え?え?何?皆、この子の言っている事が分かるの?」
「ふふふ!この道具おかげですよ!!すごいでしょう!!」
僕は翻訳玉を掲げました。翻訳玉は光を浴びてキランと輝いてます。
「おい。一体、何がどうなっているんだ?こいつは何だ?」
ここの寮生の一人でしょうか?ツンツンヘアーの少年が僕を指差してきたです。
「だから、この子は私の契約従魔よ。あのAFの事はよく分からないけど・・・」
「これは全て、邪神様のお力によるものです。邪神様は今も見ておられて、僕に素敵な道具を送ってくれるです」
「送ってくれるって、どこからよ?」
ブランが聞いて来ますが、そんなのは僕も知らないですよ。いえ、邪神様は異世界とか言ってましたから・・・でも、信じてくれないですよね。
「さあ?」
「・・・あなたも知らないの?でも、突然空間が裂けたのを考えると強力な転移系魔法が使われた可能性はある」
・・・と本を持った根暗で小柄な少女が言いましたです。
「へ〜?邪神様か!面白そうだね!!自己紹介しようか。僕はアテル。一応、称号は【スカウト】。偵察などを得意としているよ」
・・・と活発そうな男の子は自己紹介をしてくれました。ちなみに【スカウト】とはいわゆる盗賊職というか斥候職みたいですね。
「俺はリックだ。称号は【ファイター】をしている。前衛が得意だな」
続いて、ツンツンヘアーの少年が自己紹介をしてくれたです。何と言うか・・・体育会系な人ですね。
「・・・私はライナ。魔法が得意。称号は【魔法師】よろしく」
暗そうな女の子はライナさんと言うらしいですね。どうやら、普段は口数が少ないみたいです。でも、魔法の事になると饒舌になるみたいです、いますよね〜趣味を語る時に人が変わる人。
あと、『称号』と言うのはゲームで言う職業みたいですね。
「一応、私もしてあげるわ。私はブラン!【テイマー】で。あなたの主人よ!!」
・・・知ってますです。ブランさん、寂しがり屋ですか?それと、まだ従魔になると納得はしてないですからね!!
「・・・ふむ、これは興味深いな。それと打ち解けてくれたようで何よりだ。えーと、モツくんだったかな?私はこの寮の管理人のヒグラだ。教師として錬金術も教えているよ」
「ほえっ!?いつの間にっ!?」
「最初から居ましたよ。いいんです、慣れてますから・・・」
そして、いつの間にか大人の男が居たです。まるで気がつきませんでした。地味すぎですよ。この人にこそ、さっきの【注目薬】が必要なんじゃないですか?
「・・・では改めて、『アイアン寮』にようこそ。歓迎するよ、モツくん」
・・・こうして、僕の波乱万丈な従魔生活と学園生活が始まったのでした。