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偉い人映像化して・るろうに剣心 戦後編



時を少し遡ること1945年、8月9日。


ソ連軍が国境を一斉に突破し、千路のいない満洲に侵攻したという大報がモンゴルに届いた。

南北モンゴル軍の本陣は凍り着く中、左之助(84歳)が拳で大地をブチ砕いて吠えた!

「野郎ども!! 新京の泥狐どもはどうでもいいが、

ハルビンには俺たちをノモンハンで救ってくれた、情報機関の技師たちがいるんだぞ!

ソ連の鉄の雨にアイツらを一粒たりとも巻き込ませるんじゃねえ!

蒙古統一軍の全精鋭、ハルビンへ向けて全速前進だあ!!!」


左之助の怒号に、徳王やデミド、ディルワ・ホトクトそして李守信たちの瞳に烈火が宿った。

「応よ! 相楽の大頭領! 蒼き狼の真の力を、今こそスターリンに見せてやる!」

ここに、歴史の隙間を突いた「大モンゴル連合軍・ハルビン急行電撃戦」の火蓋が切って落とされたんだ!


ハルビンへと突き進む俺たちの前に立ちはだかったのは、

東側から街を包囲しようとしていたソ連赤軍の最新鋭重戦車『T-34』の大縦隊だった。

「邪魔だ下郎どもォォォッッ!!!」

左之助は全速力で走る大型トラックの荷台から跳躍し、先頭のT-34の砲塔へと夜空からダイレクトに躍り出た!

分厚い鉄の装甲を踏みつけ、巨大な新斬馬刀を大上段に構える。

「くらいやがれ!! 二重のーーー極みッッッ!!!!」


ズガガガガアアアアン!!!


拳から刀身を通じて放たれた凄まじい破壊の衝撃波が、ソ連軍が誇る不落の重戦車を内側から完全に粉砕し、一瞬で爆発炎上させた。

さらに、地響きのような大地震が平原を駆け巡り、後続の装甲車部隊が次々とクレーターへと大横転!

デミド元帥率いる蒙古軍の122ミリ重砲兵が一斉に火を噴き、油断していた赤軍の包囲網を突破し、ハルビンへの道を力ずくでこじ開けた。



「…なん…だと!?」

ハルビンで左之助が見たのは千人の美女がソ連兵をボコボコにしている光景だった。


「飛天御剣流―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!」

「龍槌閃!」「龍翔閃!」「龍巣閃!」「土龍閃!」「龍巻閃!」「双龍閃!」「飛龍閃!」「龍鳴閃!」


千路がハルビン在住中、護身術普及活動として、千人の美女に飛天御剣流を教えていたのだ。

そして彼女たちの振るう剣は逆刃刀ではなく、大陸の青龍刀やバトルアックスというガチの武器だった。

千路がハルビン時代に結婚したら千人の美女に殺されるという独白も、誇張ではなくガチだった。


「「「九頭竜閃!!」」」

「「「千路様とまた会うまで死ねないわ!!」」」

千人の美女達の生への執着が最高の奥義を完成させる。

「「「天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき――――――――――――!!!!!!!」」」


ハルビンの荒野には、ソ連兵の死体の山がいくつも連なっていた‥‥。




「……お、おい、大頭領。俺たち、本当に助けに来る必要あったか……?」

デミドがソ連製の小銃をポカンと持ったまま、顔を真っ青にして引きつらせている。


その時、あまりの光景に呆然と立ち尽くしている俺たち大モンゴル連合軍の気配に、

一千人の美女たちが一斉に気づき、血塗られた青龍刀をビシッとこちらへ構えた!


「まっ!待て!!!俺たちは敵じゃない!!」

左之助が慌てて新斬馬刀を前に出して美女軍団を制止する。


すると、先頭にいた美女軍団が、左之助の頭と武器をじっと凝視した。

「あの、鳥頭に斬馬刀(ざんばとう)‥‥」

「もしかして、千路様が毎日私たちに言っていたザンザ様じゃない!?」

「そうよ!千路様の最高の相方のモンゴルのザンザ様よ!!」

「満洲に来て悪い鬼を退治して大頭領になったという伝説のザンザ様!?」

「あの方が、桃から生まれたというザンザ様なのね!!」


一千人の武闘派美女たちが一斉に目を輝かせ、

「きゃあーっ! 本物のザンザ様よーっ!」と大歓声を上げ始めた。


「桃からは生まれてねえよ!!!!」

黄色い声が飛び交う中、左之助の声が木霊する。



こうして左之助率いる南北モンゴル統一軍は、無事ハルビンの美女軍団に歓迎された。



左之助が美女軍団の中から懐かしい人物を見つける。


「お前はたしか、千路にいっつもちょっかい出してた芳子」


「人聞きの悪い言い方はよしとくれ!」


「溥儀や婉容はどうした?無事なのか?」


「それが行方不明なんだよ…、日本へ亡命したか。もしくはソ連か国民党に捕まったか…、

無事なら側近の佟済煦(とうさいく)からいずれ連絡が来ると思うんだが」


「そうか…。ハルビンの特務部隊の方は?」


「そっちは私たちが守ってやったからね。秋草や外国人の通信技師たちもみんな無事だよ」


「やるじゃねえか!じゃあ、まずはソ連軍蹴散らして満洲の大掃除だな」


「ふふ、足引っ張るんじゃないよ」


こうしてガチ武器を振るう美女軍団、南北モンゴル統一軍の重火力、そして左之助の「二重の極み」が三位一体となり、

雪崩のように押し寄せるソ連赤軍を、彼らは真っ向から次々と撃ち砕いていった。

圧倒的な武勇の前にさしものソ連軍も恐れをなし、地平線の彼方へと退却していった。


しかし、ソ連との大激戦が幕を閉じたのも束の間。

今度は南の地平線から、旗に『八路』の文字を翻す中国共産党軍(八路軍)の大本隊が現れた。

モンゴル軍が小銃を構え、美女軍団が再び青龍刀を前方に向け、緊張が走る。

だが、大軍勢の先頭を歩く、安煙草の煙をふかした指導者・毛沢東の顔に、侵略の意志はなかった。


毛沢東は、左之助たちの前に堂々と歩み出ると、懐から一通の書類を取り出して風に揺らしてみせた。

そこには、毛沢東自身の直筆の署名が厳然と記されていた。

「誤解するな、我が共産党は、あの緋村特別班長と結んだ『中満不可侵条約』がある。

我々はあなた方を侵略する意志はない。我々は、約束の信義を守り、

あなた方と共に、この満洲を蹂躙しようとする大国が民を泣かせる過ちを折るために……『協力』しに来たのだ!」


左之助は新斬馬刀の切っ先をわずかに下げ、ニヤリと不敵に口元を歪めた。

「へっ……あの延安のヤオトンで語った『民への愛』は、大嘘じゃなかったってわけだな、毛沢東!」


左之助はガハハと豪快に笑い、新斬馬刀を背中に背負い直すと、毛沢東の前へと歩み出た。

「大歓迎だ! 千路がいない今、この大陸の夜明けは俺たちで守り抜いてやろうじゃねえか!」

固く握り合わされた、老兵の無骨な拳と、共産党の巨頭の手。


美女軍団も新たな味方を歓迎する。

千路が結んだ絆が完全に覚醒し、満洲の地をソ連の侵略から救い出す不落の砦と化す瞬間であった。



毛沢東は、満洲に残る日満の官僚や、千路が救ったユダヤ・ロシアの天才通信技師たち、

そして医療や鉄道の技術者たちに対し、過酷な処罰ではなく、新体制への協力を仰ぐ「留用政策」を公式に布告した。

彼らの高度な知識と技術こそが、これからの大陸の復興に不可欠であると、毛沢東はその価値を正当に認めたのである。


毛沢東と共に満洲を統治する左之助。

そこで左之助の放った一言が、大陸のパワーバランスを完全にひっくり返した。

「おい、毛沢東。お前、天下を取りてえんだろ?

だったら俺の『大モンゴル連合軍』と『ハルビンの最強軍団と情報網』を貸してやる。

その代わり、お前らは俺の傘下に入れ。俺たちのルールに従ってもらうぜ」


毛沢東は言葉を聞き、目を丸くするも、やがて豪快に笑った。

「よかろう。あなた方の『民を泣かせない大義』に、我が共産党の命運を預けようじゃないか」


こうして、毛沢東の八路軍が、左之助のモンゴル・ハルビン連合軍の指揮下に入るという、前代未聞の中華統一への大進撃が始まった。


しかし、この決定は、大モンゴル連合軍の内部に深い亀裂と葛藤を生むこととなる。

その夜、ハルビンの幕舎では、南モンゴルの徳王と、北モンゴルのチョイバルサンが左之助の前に現れた。


「相楽の頭領! 納得がいきませんぞ!」チョイバルサンが机を激しく叩いた。

「我々の悲願は『南北モンゴルの完全なる統一と独立』のはずだ!

徳王も硬い表情で、厳しい目を左之助に向けた。

「チョイバルサンの言う通りだ。南北のモンゴルの兵は故郷の草原を守るために戦ってきた、

彼らに中国統一のために戦えというのはあまりにも…」


「おめえらの気持ちは痛いほどわかるがよお、溥儀が行方不明で、満洲国もなくなっちまった。

だからよお、俺は千路の夢だった五族協和の王道楽土ってやつをもう一度作り直してえんだ。

中華を統一して、五族だけじゃねえ、大陸中の百族のための人民共和国ってやつを作りてえのよ!」


「相楽の頭領…」「千路殿…」


左之助の真剣な眼差しと、千路の名を耳にし、もはや二の句も継げなくなったモンゴル軍。


その南北モンゴル統一軍の複雑な心境を察し、左之助が言い放つ。

「だからよお!モンゴルを独立させるか、中華統一を目指すか、全モンゴル人で選挙しようぜ!!」


「「せっ!選挙!!!???」」



そして、美女軍団が青龍刀を背負って厳重に警備する中、一糸乱れぬ完璧な民主選挙が厳粛に執り行われた。

選挙の結果、

北モンゴルがモンゴル人民共和国として独立。

一方南モンゴルは、左之助や千路への恩義から内モンゴル自治区として、中華統一を目指すことになった。


開票結果の書類を掲げ、チョイバルサンが、隣に立つ徳王の肩をガシッと掴んだ。

「ガハハハ!この選挙結果を受けスターリンも蒋介石もモンゴルの独立を完全に承認したぞ!!

だがこの恩に報いるため、徳王よ、モンゴル人民共和国軍も中華統一に手を貸すぞ!」

「ありがとうよ!チョイバルサン!!」

大草原の風の中で力強く両手を握り締めるチョイバルサンと徳王であった。




モンゴル人民共和国と内モンゴル自治区の成立を見届ける左之助の下に李守信が駆け寄る。


「佟済煦殿から連絡が来ました。溥儀様達はハバロフスクの収容所にいるとのこと」


「そうか!んじゃ早速助けに行くか!」


「しかし、軍を動かせば、溥儀様達の身が危ぶまれるかもしれません。ここは隠密行動が上策かと」


「隠密行動か…、じゃあ打って付けの奴がいるな」


李守信の提案を受け、左之助は芳子を連れモンゴルの支線からシベリア鉄道を使いハバロフスクに向かう。

溥儀達がいるのは第45特殊収容所の一角。溥儀達専用の療養所だった。


芳子「あらまあ、なんとも難易度の低い監禁場所だこと」


芳子は不敵に笑い、左之助を伴い夜陰にまみれ、楽々と潜入に成功するのだった。


芳子「お兄様!お姉様!満洲最強の妹が助けに来たわよ」


溥儀「芳子!無事だったのか!」


婉容「さすが芳子ちゃん!来てくれると信じてたわ」


愛新覚羅一族が再会を喜ぶ傍ら、

共に捕まっていた佟済煦や四大巨頭を左之助が睨む。


左之助「ったく、揃いも揃ってソ連軍に捕まるなんて情けないぞ」


佟済煦「溥儀様は満洲を戦場にしないため無抵抗を貫かれたのだ!」


左之助「なるほど、そうゆうことか。さすが俺たちの皇帝だな」


左之助は溥儀に近づき、その肩に手をかけて言う。


「俺らが作った満洲の夢は、まだ死んじゃいねえ!

溥儀よ!俺は中華統一して百族協和の王道楽土を創る!だからお前も協力しやがれ!」


溥儀「私は皇帝として二度も死んだ、もはや何の力もない‥‥」


左之助「国民投票で選ばれた男が泣きごと言うんじゃねえ!

あの日お前に一標を入れた何万もの満州人の気持ちを踏みにじるような真似は許さねえぞ!」


溥儀「!!……、あい分かった。……これからは『一満州人』として、其方と共に戦おう」


「溥儀様!! 我らも命を賭して、どこまでも支え続けます!」

佟済煦と四大巨頭も溥儀を支え戦うこと決心する。


芳子「お姉様が惚れ直してくれるかもねお兄様!


婉容「あなたかっこいいわよ♡」


溥儀「おっ、おい!」


芳子「お姉様に惚れ直されて良かったわね、お兄様♡じゃあみんな屋根に上って!脱出するよ!!」


芳子が用意したハルビンの最新型気球が闇夜にまみれて宙を飛ぶ。



こうして、左之助配下の

溥儀率いる『満洲自治区軍』

徳王率いる『内モンゴル自治区軍』

チョイバルサン率いる『モンゴル人民共和国軍』。

毛沢東率いる『八路軍』

秋草率いる『ハルビン情報部隊』

そして、芳子率いる『千人の美女軍団』の最強の連合軍が中華統一の鬨を上げる。



「野郎ども! 全軍進軍だあ!!」

左之助の凄まじい号令とともに、最強連合軍の大進撃が始まった。


毛沢東が農地改革を行いを民衆の支持を集める。

南北モンゴル軍がその機動力で全中国の民衆を繋ぎ、

溥儀の満洲軍が完璧な兵站網を築き進撃を支える。

そして左之助と美女軍団はどの軍隊より強かった。

さらに秋葉の通信技師たちが、この最強連合軍を最先端の情報戦でアシストする。

国民党軍の暗号はすべて筒抜けになり、アメリカが国民党へ送ろうとする軍事援助の物資ルートは事前にすべて遮断された。



1949年1月、進撃を続ける最強連合軍は、古都・北平(北京)を完全に包囲していた。

北京の重厚な城壁内に立てこもるのは、国民党軍最高幹部――傅作義(ふさくぎ)大将が率いる、25万の精鋭大軍勢である。

蒋介石からは「北京を焦土に変えてでも死守せよ」と狂気の自爆命令が下り、城内は極限の緊張感に包まれていた。

その北平の指令室にハルビン情報局によってジャックされ大出力を超えた凄まじい声が響き渡った。


「よお傅作義!久しぶりじゃねか! 美味しい中華を用意して俺らを出迎えるか、

いつぞやのように俺らにボコられるか選びやがれ!」


傅作義の脳裏に、かつて徳王の蒙古軍を張家口まで追いつめていたものの、

突如として現れた南北モンゴル統一軍に敗れ、百霊廟も奪還された恐怖の記憶が蘇る。


「わっ、わかった!城は開放する!!」



1949年1月22日、

一発の弾も撃たず、北平城の無血開城が達成された。


――北平開城後、紫禁城(故宮)で美味しい中華の円卓を囲む左之助、毛沢東、そして傅作義。


毛沢東は満面の笑みで語りかけた。

「あなたは北京の歴史ある古都を救い、200万の市民の命を守った、新中国の最大の功労者だ」


「ガハハハ、確かにお前が徹底抗戦してたらこの紫禁城は跡形もなく消えてたぜ!

どうだ傅作義! お前の民と文化を思う心があるなら、

『北京を焦土に変えてでも死守せよ』っていう蒋介石とは袂を分かって、俺たちの傘下になりやがれ!」


左之助の言葉に傅作義が深く頷くのを見て、毛沢東はさらにその大きな手を差し伸べた。

「あなたほどの決断力と統率力、それに治水の知識があれば、黄河の洪水に泣いてきた何億人もの農民を救うことができる。

新中国ができた暁には、大陸中のすべての川を動かしてくれ!」


傅作義は二人の手を力強く握り返した。

「……わかりました。百族の楽土のため、この身を捧げましょう」


こうして最強連合軍に、後の初代水利部長(大臣)・傅作義率いる25万の『北平精鋭軍』が電撃加入した。



1949年4月21日、内戦の最終決戦たる「渡江(とこう)戦役」の火ぶたが切って落とされた。

最強連合軍の前に立ちはだかるのは、蒋介石が「絶対不落」と豪語した長江の強固な防衛陣地である。

「傅作義。どうやってこのデカい川を渡るか、おめえの治水能力に任せていいんだな!?」


「相楽の頭領、軍人ではなく『水利の専門家』としての俺の戦い方は、一味違いますよ」


傅作義は長江の水流・水深データの図面を広げた。

「長江のこの上流ポイントには、天然の泥土手がある。ここを強化しダムで川の水をせき止める」



「な、何が起きているんだ!? 長江の水位が急激に下がっていくぞ!?」

長江の対岸で待ち構えていた国民党軍の兵士たちが目を丸くした。不落の要塞のはずの長江が、

傅作義の「治水」によって、一瞬で浅瀬へと変貌したのだ。


「よし、今だ! 水の抜けた川底を、全軍突撃ィィィッ!!」

傅作義の怒号のような号令が響く。

水が引いて身を隠す場所を失った国民党の防衛陣地へ向けて、最強軍団が両翼を完全に包囲。


「蒋介石の泥狐め! 川の神様にまで見放されてやがったな!」

左之助が放った渾身の「二重の極み」の衝撃波が、傅作義が上流でせき止めていたダムを決壊。

巨大な人工津波となって、両翼を包囲され身動きできなくなった国民党軍の防衛要塞は、

文字通り物理的に跡形もなく押し流し、消滅させた。


国民党の長江防衛線を一瞬で完全に瓦解させた最強連合軍は、

明後日の4月23日に、国民党の首都・南京を陥落せしめたのである。




5月27日、大陸最大の経済都市・上海が完全制圧された。

そして9月25日、

大陸の西の果て、新疆(ウイグル)を死守していた国民党軍数万人が、連合軍の圧倒的な威容の前に戦わずして和平降伏を宣言する。


漢族、満洲族、モンゴル族、回族、チベット族、そしてウイグル族――。

千路が夢見た五族協和を超え、あらゆる民が手をつなぐ【百族協和】の王道楽土が、ついに達成されたのである。


10月1日、北平から北京と改められた天安門。

「我ら百の民族の、名もなき民たちの手によって、今、新たなる新時代が幕を開ける!

【中華人民共和国】の建国をここに宣言する!!」


毛沢東が万雷の拍手と歓声が天を衝き、新しい大陸の夜明けを告げる。


だが、蒋介石は成都で最後の抵抗を試みていた。

「おい野郎ども! 泥狐の息の根を止めるまでが遠足だ! 最後の追い込みに行くぞォ!!」



1949年、12月。

ついに成都で蒋介石が本拠地としていた成都中央軍官学校を囲んだ最強連合。


指令室で左之助が蒋介石に詰め寄る。

「俺とお前は知らねえ仲じゃねえ。生かしてやるからお前は中国を出ろ」


「わかりました…。相楽の頭領。我々は中国を共産党に明け渡し、台湾に逃れます」

がっくり項垂れる蒋介石の横に立つ張学良に左之助が豪快に語る



「ハッハッハ! 見たか張学良! 中華を統一したのは俺の方だったな!!」

「恐れ入りました大頭領。まさかあなたが毛沢東と手を組んで中華を統一するとは」



「張学良。これからお前はどうする?」

「満洲はもう、私が知っている満洲ではない……。もはやここに私の居場所はありません。

このまま蒋介石と共に台湾に渡って一から出直そうかと思います」


「そうか……」


そして12月10日、鳳凰山飛行場から飛び立つ蒋介石と張学良。


かつてともに満洲を駆けた張作霖の子、張学良。

左之助は親のような眼差しで雲間に消える飛行機を見送った。



12月28日。

蒋介石が台湾へ敗走したあの鳳凰山飛行場から北京へと帰り、いまや新国家の最高指導者となった毛沢東や、

初代水利大臣・傅作義らと共に盛大な中華統一の祝杯をあげていた左之助の元へ、南海からの電撃的な吉報が飛び込んできた。


遠い南国の地で戦う緋村千路が、オランダ軍10万を相手に大立ち回りを演じ、ついにインドネシアを完全独立させたという報である。

「ガハハハハハ! やるじゃねえか千路! だがな、俺らの中華統一の方がほんのちょっとばかり早かったな!

俺らの勝ちだ、千路!!」


老酒の瓶を掲げて豪快に笑う90歳の大頭領を、溥儀や徳王、かつて満蒙で共に戦った戦友たちが万感の思いを込めて見つめていた。

そのとき、北京城を地鳴りのように揺らす悲痛な叫びが響き渡った。


「「「千路様に会いたい――――――――――!!!!」」」


千路の写真が載る新聞を持った千人の美女が左之助に押し迫ってきた。


「なるほどな。中華統一も果たしたし、 久々に日本へ帰ってみるか。お前ら全員、引き連れてよお!」


「「「キャーーー! 大頭領、愛してるーーー!!」」」



1950年、春。

東京・下町の神谷道場には、久々に門をくぐる千路と、初めてその門をくぐる絶世の南国美女アンナの姿があった。

インドネシア独立戦争を終え、ようやく日本の土を踏んだのだ。

久々に会う我が孫とそのお嫁さんを年齢を気にしながら抱いて涙を流す薫。


「幕末から太平洋戦争を経て、やっと誰もが笑って暮らせる平和な時代が来たでござるな」

と剣心が黄昏て間もなく、


神谷道場を揺らす地鳴りがやってくる。



「千路様ーーーっ!!」

「お会いしたかったですわ!」

「やっと会えましたわーーーー!」

「再会のキスをーーーーーー!!」

タイトなドレスの妖艶なロシア系、

清楚なドレス姿の知的なユダヤ系、

格式高い旗袍を着こなす満洲系、

華麗なデールをまとったモンゴル系、

流麗な漢服の中国系、

可憐なチマチョゴリの朝鮮系、

美しい着物姿の大和撫子。

そして、シベリアの民族衣装をまとうエヴェンキやオロチョン。


最強の多国籍美女軍団に一瞬で揉みくちゃにされ、全身をキスマークで真っ赤にして倒れる千路。




「おう!噂にたがわぬモテっぷりじゃねえか千路!お前の嫁千人、無事届けてやったぜ!な~に礼には及ばねえよ!」


満足そうに千人の美女の後ろに立つ左之助であったが…


「あんた!!なにさらしてくれてんのよ!!!!」


薫の一撃が炸裂する。


日満蒙中にソ連、イギリス、オランダの猛者共を手玉に取り、

東條英機、蒋介石やスターリンからも恐れられた千路と左之助。

片や全身を真っ赤にして倒れ、もう一人は巨大なたんこぶを腫らせて倒れている。



そんな二人をしり目に、千人の武闘派美女軍団の視線は千路の妻アンナに向けられた。

インドネシア独立戦争で世界的なニュースになっていた、世界を轟かす絶世の南国美女アンナである。


「アンナ様よ!」

「世界を轟かすまさに絶世の美女だわ!」

「目が眩みますわ」

「悔しいけど負けましたわ」

千人の美女軍団がアンナに平伏す。大奥さながらの光景の中、

千人の美女軍団の前にアンナが言い放った。


「皆の者、面を上げられよ。インドネシアは一夫多妻制だ。千路よ、全員責任持って面倒を見るがいい」


キスマークまみれで倒れていた千路が、ガタガタと震えながら飛び起きる。


「いや…日本は一夫一妻制……」


必死に法律の壁を盾に抵抗しようとする千路だったが、その背後から容赦のない現実の宣告が突き刺さった。


剣心「千路。働くでござる」

薫「千路。働きなさい」

剣路「千路。働け」

エレナ「千路。働くのよ」



千路「そもそも彼女たちは門下生であって結婚の約束はしていない‥‥」

剣心「門下生なら尚のこと、しっかりと面倒を見るでござる」

薫「面倒見なさい」

剣路「面倒見ろ」

エレナ「面倒みるのよ」


両親・祖父母から発破をかけられ、覚悟を決めた千路が千人の美女軍団の前に立ち告げる。


千路「皆の者よく聞いてくれ!私が愛する妻は法的にアンナ一人だけである!

しかし!皆が私の愛する門下生であることに変わりない!!

これからは必殺の飛天御剣流ではなく、神谷活心流の理を持って『人を活かす』道を共に進もう!!」



千人の美女軍団「「「キャ――――――!!!千路様と共に進むわよ!!!!」」」


戦後において『人を活かす』それすなわち、起業し、雇用し、戦後復興することである。


国際色豊かな千人の美女は凄かった。

ロシア系は石油ルートを作り、

中国系はレアアースや天然ガスルートを作り、

モンゴル系はレアメタルのルートを作り、

満洲系はマグネサイトや鉄鉱石ルートを作り、

朝鮮系が重工業を担い、

ユダヤ系は金融ネットワークを広げ、

その他少数民族が各国の貿易ルートをつなぎ、

大和撫子が現場を取り仕切る。


神谷道場周辺に戦後最大の工業団地を形成した。


そして中華統一の最強軍団は日中国交正常化まで巨大だ中国市場を独占。


千路の子、万路(まんじ)の代には高度経済成長とバブルにより、


世界に冠たる『緋村コンツェルン』へと成長したのである。


千路が恐れた「一千人の扶養費」という絶望は杞憂に終わったのであった。



芳子「ライバルを消すために全国に産業スパイを放つよ!」

婉容「財政強化のためにアヘン農場作るわよ!」

千路「法に触れることだけはしないでください!!!!!」



翌朝。


剣路(70)「おはようエレナ」

エレナ(65)「おはよう剣路」


ハグ&キス


千路「いつもの父さんと母さんだ」

アンナ「いつもの私達だな」


千人の美女軍団「キャー――!!!お義父様とお義母様の情熱的な朝の挨拶よ!!!!!」



剣心(100)「薫殿おはようでござる」

薫(80)「おはよう剣心」


刎頸の交わり&サンバ


千路「いつものお爺ちゃんとお婆ちゃんだ」

アンナ「お前が時々する謎の動きはこれだったのだな」



千人の美女軍団「サンバ!!???」

千人の美女軍団「サンバよ!!!!」

千人の美女軍団「サンバだわ!!!」

千人の美女軍団「お義爺様とお義婆様の情熱的なサンバだわ!!!」


こうして緋村コンツェルンの設立式は千人の美女によるサンバ大会で幕を開けるのである。






1951年

『万路誕生記念・神谷道場親睦試合・誰が一番強い嫁なのか決定戦』


芳子「そもそも私は門下生じゃなくて千路の上司!!正妻の座を明け渡してもらうわよアンナ!」

アンナ「執着は身を滅ぼすという徒然草の理を知るがいい」


「「飛天御剣流―天翔龍閃」」

オランダ軍を退けインドネシア独立を成し遂げた絶世の南国美女と、

中華統一を成し遂げた最強美女軍団長の最高の技が相まみえる。


勝ったのは‥‥‥、


アンナ「母は強し」


万路を産み、母の強さを得たアンナであった。


敗れた芳子は悔いなく身を引き、あろうことか左之助と結婚する。


溥儀「まさか・・・このようなことが・・・」

婉容「ハバロフスクに二人っきりで潜入してるとこから怪しいと思ってたのよね♡」


毛沢東「ガハハハハハ!!新中国を生んだ夫婦に祝杯を挙げようじゃないか!!」

徳王「この型破り新郎新婦に常に蒼き天(テングリ)の加護がありますように」


溥儀・婉容・毛沢東・徳王・デミド・チョイバルサン・李守信・傅作義・佟済煦。

満洲の四巨頭に周恩来。さらに張学良や蒋介石に秋草俊。

日満蒙中の錚々たるメンバーが左之助と芳子の結婚式に駆け付ける。



薫「ってかなんで神谷道場(うち)でするのよ!!中国でやりなさいよ!!!」


こうして中華民国共産党最高顧問夫人として絶大な権力を振るうことになった芳子は、

夫婦喧嘩のたびに夫をヒマラヤまでぶっ飛ばすのであった。








そして――令和の現在。


「全軍、構えッ!」

緋村コンツェルン本社ビルの巨大な敷地、そして世界各地の支社を結ぶ同時中継の画面の向こうで、

全世界50万人の従業員が一斉に木刀を構える。


壇上に立つのは、千路のひ孫にあたる現・最高経営責任者、緋村兆路(ちょうじ)。


その腰には、家宝・『逆刃刀』が厳然と収められている。


「我が社の合言葉は一つ! 誰一人として泣かせず、万人の笑顔を守る精神である!

全員、朝礼の素振り、始めッ!!」


「「「「活人―――ッッッ!!!!!」」」


地鳴りのような50万人の咆哮とともに、世界中で一斉に風を切る鋭い音が響き渡る。

かつて明治の世、一人の流浪人が願った『目に映る人々の幸せ』という小さな祈りは、

大正、昭和、平成を駆け抜け、令和の世において、

地球規模で世界を支える不滅の王道楽土(コンツェルン)として、今なお力強く、美しく息づいているのだった。



『緋村コンツェルン建社史』――――終幕





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