↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
95/105

95. 野放し

 島に戻って四日目のこと。久しぶりのお城へベルティーユと参上した。殿下から呼ばれたのだ。


「殿下、長期の滞在許可をお許し頂き、ありがとうございました」

「うむ、暫くのんびりと過ごしてくれ。オードラン公爵には私から話を通してある」

「わあーー、嬉しいです!」

「いや、一緒に島へ行こうと誘っておきながら忙しくて、ゆっくり会えなかった。私はこれから王都へ帰らなければならない」

「えっ、そうなのですか?」

「ああ、だが直ぐに戻るつもりだ。だから島で待っててくれないか?」

「は、はい。お待ちしてます!」


 ──やった!この島にまだ居られるんだ!


 サロンにはベルティーユが給仕してくれたお紅茶の芳醇な香りがする。それを一口頂き、ココロの中で喜びとともに深く味わっていた。 


「ところで、ブリスのことだが……」


 殿下は優しい眼差しから、少し厳し目の表情へ変わっていく。なのでわたくしも姿勢をただす。


 薄唇さんのことはずっと気にかけていた。出来れば詳しい事情が知りたい。でも……、


「聞いても……宜しいのですか?」

「ああ。君たちにとっては牧場の大切な仲間だしね」

「はい。わたくしは議会の窓から飛び降りたのを目撃しました。一体彼は……?」

「うむ、落ち着いて聞いてくれ。……あの日、ブリスはケヴィンを殺害して逃走したんだ」


 えっ!?えっ!?ケヴィン様を彼が!?彼だったの!?


 思わず手で口を覆う。お紅茶の味など吹っ飛んでいった。


 シ、ショックだ。こともあろうか、王太子を殺害してたなんて想像もできないっ……!


「で、でも、何でそんな恐ろしいことを……?」


 わけが分からないよ。


「理由は取り調べで明らかになっていくだろう。だが、これだけは言える。彼の行為は許されるべきではないが、それによってこの国の運命が大きく変わったのも事実だ」


 そうだ。ジェラール様が王太子になられた。それに陛下も代わられた。そして何といっても、わたくしはケヴィン様の呪縛から解き放たれたのだ。


「実はルーク様からブリスの処分を一任されてね」

「……どうなさるおつもりですか?」

「悩んでる。彼は何人もの貴族を殺害してるしね。遺族のことを思うと……。また、王族に手をかけるのは絶対に許されないことだ。全ての真実を明らかにした上で判断するが、この状況では……ね」

「そうですか……」


 でも、わたくしが知ってる彼は冷酷な殺し屋ではない。きっと理由があるはずだ。とはいえ、自分がどうこう言うべきではない。悲しいけど、ないのだ。


「どの様な結果になろうと、わたくしは殿下の判断を支持致します」

「そう言って貰えるとありがたい。彼は近いうちに監獄へ行くだろう。そこで最終判断をする」

「はい……」


 ここで殿下の表情が少しだけ和らいだ。


「あ、そうだ。監獄と言えばカリーヌなんだが…」

「あ、あの、妹は改心したのでしょうか?」

「うむむ……それが……まあいい。聞きたいのは彼女が武術を嗜むのかどうかだ。そんな記憶はないが?」


 あ……。これはカリーヌが暴れたのね。直ぐにピンときたわ。彼女が本気出せば……。


「殿下、妹は()()()()()を演じていましたので、あまり表に出てないことですが、実はわたくしの練習相手を軽く倒すくらい強いです」

「……は?」

「幼い頃から一緒に特訓を積み重ねていました」

「な、何だって!?こ、これはいかん!!ベルティーユ、直ぐにバルナバの元へ!!」


 やはり、監獄で手がつけられない状況になってるんだわ。でも、独房なのに?まさか、野放し?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。