↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
91/105

91. 大巣窟

 ※バルナバ視点


 カツン!コツン!と、じめじめした通路を力強く歩く。その足音は独房の前で止めた。三日ぶりだ。あのうるさい囚人は大人しく過ごしていただろうか?


「おい、カリーヌ!」


 僕はジェラール様から授かった作戦を実行しようとしていた。その準備や調整に少し時間が掛かったものの、実行するなら早い方が良いと判断したのだ。


 お前のことなど知らーーん!!……と、タンカ切った手前、あまり会いたくないんだけど。


「くかー……」


 扉の柵から彼女のいびきが聞こえる。


「おいおい、寝てんのか!?」


 カン!カン!カン!と、警棒で柵を叩く。まだ夕方だ。寝るのは早過ぎる。報告は聞いていたが看守の言うことも聞かず、相変わらず()()()()()のだらけた生活を送ってる様だ。


「う、う~ん。うるさいなあ……」

「カリーヌ、起きろ!」

「ん?バルサバかよ。ふぁああああ……」


 ぽりぽりとボサボサの髪を掻きながら、乱れた囚人服を直そうともせず虚な目を僕に向けた。


「支度をしろ!」

「あんん何よ?私のことは()()()()()……じゃないの?」

「方針を変えたんだ。この独房から出してやる」

「ええっ!し、釈放なの!?」

「違う」

「やったーー!私は自由だあ!」

「だから違ーーう!!」

「んん?じゃあ、何なのよ?」

「囚人棟へ部屋を替えるのだ」

「囚人棟???」

「いいから支度しろ!」


 作戦はこうだ。公爵令嬢だから配慮して特別な独房へ収容してたけど、返ってそれがいけなかった。外部との接触もほぼなく、部屋に閉じ込めてるだけでは我儘な彼女が反省するわけもなく、だらけた不健康な生活を送るだけだったのでは……と。


 なので部屋替えをする。


 囚人棟の大部屋は十人の共同生活だ。規律がある。ここで規則正しい生活をさせながら、自分と向き合う時間を与えてやるのだ。


「ねえ、バルナバ。そこって部屋広いの?」


 前後左右に警護の者を監視させながら、彼女と囚人棟へ移動する。僕は彼女の質問を全て無視した。


 馴れ馴れしいんだよ。まあ、行ってからのお楽しみだ。ふふふ……。


 実は裏がある。囚人の中でも特に問題児が多い部屋へ入れるのだ。王都から送られて来たどうしようもない凶悪犯の巣窟。いくら彼女が悪役令嬢でも通用しないだろう。


「ねえ、無視すんなよ!」

「……ふん……っだ」

「な、何なのよ、感じわるーー!」


 今のうちにせいぜい吠えてろ。そのうち僕に泣きつくのが目に浮かぶよ……。


 やがて大部屋の前までたどり着いた。ここはオンナ専用の四階建ての囚人棟だ。彼女は三階の一号室。因みに各階五号室まであり、オンナだけでざっと二百人の囚人が生活してる大巣窟なのだ。


 部屋の前で人相の悪いシェリーが待ち構えていた。彼女は一号室のサブリーダーだ。元殺人犯の。


「カリーヌ!ここがお前の部屋だ。シェリー、面倒見てやれ」

「……はい」


 シェリーは顎をしゃくってカリーヌに部屋へ入る様促した。部屋には目がギラギラした囚人でいっぱいだ。気味が悪いったらありゃしない。


「おい、新入りだ。カリーヌとか言うお嬢さんだ」

「へへへへへ……お嬢さんねえ……」

「ひひひひひ……」

「なっ、キモっ!」


 流石にカリーヌは顔が引きっつていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。