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お待たせしました〜!
男子いっさい出てきませんw
女子2人が話しているだけです。
「大丈夫!?」
口元を拭きながら頷く。
ほとんど人のいない時間で良かった。例え同じ高校の生徒じゃなかったとしても、水を吹き出す姿なんて誰にも見られたくない。
「そう?なら話を戻そうか。今の反応を見る限り、二人のどちらかが好きなわけじゃないんだね?」
今度は驚かずにすんだ。
私は肯定の意味を込めて全力で頷く。お冷が気管に入ったのか、実を言うと口を開くと咳き込みそうだ。
「でもあの二人は花ちゃんのこと絶対に好きだよね」
「ゲホォッ!ゴホッゴホッ!!」
「花ちゃん!?」
耐えられなかった。信じたくなかったが、やっぱりそうなのだろうか。
私は咳き込みながら必死に頭を回転させる。ゲーム通りに動いているつもりもないし、まずあの二人だって全然違う行動をしている。なのに二人が私を好き……?どこが?自分で言うのもなんだが、容姿以外に私には良い所がない気がする。
「花ちゃーん……?」
いつの間にか自分の良い所を必死に探していた私は、心配そうにこちらを見ている彩に意識を戻す。
「大丈夫?」
「う、うん、大丈夫。ちょっと見つけられなくて」
自分の良い所が。
「……?よく分からないけど、私から見たらあの二人は花ちゃんに少なからず好意があると思うよ。是澤君なんて、花ちゃん以外の前じゃ笑わないし」
ゲームで情報屋であった彩が言うのならそうなのだろう。無意識に二人の好感度が上がっている。どうにかしたい。特に悟。峰川がもう既にかなり怖い。
「花ちゃんはどっちかと付き合おうとかそういう気持ちはないの?」
「ないよ、まったくない。二人とも私には荷が重すぎるよ……」
悟はゲームでも付き合ってからかなり甘いキャラになるし、是澤は少しでも笑顔を見ただけで逃げたくなる。恋愛偏差値底辺な私には、甘ったるい台詞も、自分だけに見せる笑顔も耐えられない。耐えられるのは画面越しだからだ。
「そっか〜。私は花ちゃんの見た目だったら誰も反対しないと思ったけど、本人がそう思うならやめた方がいいね。でもこれからどうするの?金剛君はあの峰川さんを振り切ってでも花ちゃんに話しかけると思うし、是澤君はノート貸しちゃってるんでしょ?」
悟、それだけはやめてくれ。もう私はあれ以上怖くなる睨みに耐えられそうもない。
「うーん……」
問題は是澤だ。私の精神以外に特に害はないし、たかがノートを貸すことを断るのも罪悪感がある。
「先にどっちかをどうにかしないと、もう1人が暴走するかもしれないよ」
……ん?今さらっとすごいこと言われませんでした?どちらかが暴走する?それってもしかして……。
「特に金剛君。花ちゃんが他の男子と話してるとすんごい睨んでるから。是澤君の時なんて視線で人殺せそうなほどに」
やっぱり!これって裏ルートのフラグだよね!?
「どうしよう……!」
私の必死さに対して、彩はそれほど焦っていないのか、少し考えるといい考えを思いついたのか手を叩いて身を乗り出してきた。
「いっそのことどちらかに気持ちを確認してみるのはどう!?」
「はいぃ!?」
何がどうなってそんな考えになったのか分からない。
「どちらかを確認すれば、自分を少しでも気にしてくれると思ってもう一人に対しての敵意が薄くなるかもしれない!」
「た、確かに……」
「私的には金剛君に聞くのがいいと思うよ!なんか目が怖いから!」
だろうね。悟の裏ルートはヤンデレだから。
彩は意見が言えてすっきりしたのか、体を戻して笑顔で言う。
「まぁ他にも方法はあるかもしれないし、私の意見はその中の一つだと思ってね。私以外に相談するのもいいし、よく考えて決めるのが大事だよ」
「分かった……」
この日はこれで解散とし、お互い家に帰った。帰る途中も、帰ってからも考えはまとまらなくて、彩の案が頭の中を回ってる。やっぱり他の誰かの意見を聞くのがいいのだろうか。
意見を聞くとするなら……。
今回は本当に遅くなって申し訳ないです。更新してないにも関わらず、読んで下さり、しかもブクマまでしてくださった方には感謝しかありません。
ですがこれからも月1程度の更新になりそうです。今月は特に多忙で…。それでも待っていて下さるという方、本当にありがとうございます!いいお話が届けられるよう、これからも頑張ります!




