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お待たせしました〜!
今回は長いです!!
教室に戻ると、彩にすごく心配された。
「大丈夫!?何言われたの!?」
私は引きつった笑顔を返すことしかできなかった。
教室に戻る途中、峰川との会話がイベントであることを思い出した。しかも中盤に起こるイベント。ルートが確定せず、ある程度全員の好感度が高いと、ルート確定のために峰川からお呼び出しされる。それがさっきまでの会話だ。
自分の返事に私は感動した。もしあそこで誰かの名前を出していたら、その人のルートに入っていたかもしれない。金剛の名前なんてもってのほか。峰川になんて勝てるわけがない。
「花ちゃん?」
「だ、大丈夫だよ!酷いことは言われてないし!」
「……そう?」
私の返事にも、彩はいい表情をしてくれない。私にはこれ以上の返し方がなかった。もし私の今の表情の理由を伝えようとすると、必然的にゲームの話をしないといけない。いつか話すことになるかもしれないけれど、今ではないはず。
「本っ当に大丈夫だから!」
今度はちゃんと笑えた。友達である彩に、そんな表情をずっとして欲しくない。
「そっか、花ちゃんがそう言うなら信じる。でも何かあったら話してね?」
「うん!」
私たちは笑顔で自分の席に戻った。
戻ってすぐ、私はスマホを起動する。メールを送りたい人がいた。
「花ちゃーんセンパーイ!」
男子にしては高い声が響いた。私がいるのは校舎裏。メールを送ったのは相手は誠だ。
「どうしたの?」
自分の可愛さを理解しているように、それを充分に活かして誠は言った。こてん、と傾げた顔は本当に可愛い。
それもつかの間。私の表情を見た誠の顔は恐ろしいものになった。
「もしかして、あの女に何かされたの?」
私は全力で首を横に振った。時々誠は本当に怖い時がある。
「じゃあどうしたの?」
誠はそう言いながら私の手を引いた。近くの木の根元に誘われ、そのまま二人で腰をおろす。
「聞いていただきたいことがありまして……」
「ん?」
私はそこから必死だった。今まで溜め込んでいたことを吐き出したくて、どうしたらいいのか分からなくて。
「私が誰かを好きなように見える!?そんなのありえないよ!ここはゲームの世界でしょう!?攻略キャラの意志なんて関係なく私のことを好きになる可能性だってある!そんなこと考えてたら誰かを好きになることなんてできるわけない!」
誠は静かに聞いてくれた。この世界で何もかも話せる相手は本当に彼しかいない。まだゲームが始まって間もないけど、私のストレスはマックスだった。朝は皆のおかげで落ち着いたけど、昼の峰川との会話でストレスは私の中に戻ってしまった。それを吐き出すには、彼に話を聞いてもらうしかない。だから私は誠を呼び出した。
「そっか〜、センパイはそう思ってたんだ」
誠は少し悲しそうに言った。なんでそんな声なのか気になったけれど、私は自分のことでいっぱいで、そこまで気を使うことができなかった。
「でもね、この世界を楽しもうって思えるようになったんだよ。友達もいるし、こうやって話を聞いてくれる転生者仲間もいる」
私は今日気付けたことを伝えたかった。最初は怖くて、逃げることしか考えられなかったけど、今は少し違う。その想いを、同じ転生者である誠に知って欲しかった。
「それがすごく嬉しいくて、大切で、私も日常を楽しみたい、って思えた」
「そっか。それでいいんじゃない?」
「……え?」
意外とあっさりした返答に驚いた。私が驚いた表情をしていると、誠はにっこり笑って言った。
「だって、ボクもセンパイもキャラであり、一人の意志を持った人間だもん。そしてこの世界も、ゲームであり現実。楽しまなきゃ。それに、そのことに花ちゃんセンパイが気付いてくれてボク嬉しい!実はかなり心配だったんだ」
「えっと……?」
どう返したらいいのか分からなくて、誠の目を見つめる。
「ボクは特にゲーム、っていうのに気にしてなかったけど、センパイはすっごい気にしてて、しかもあの女のことばっかりで学校にいても全然楽しそうじゃなかった。今年の入学式、ヒロインが気になってセンパイのこと見てたんだけど、センパイ本当に思いつめた顔してて……。それが心配だったから、イベント無視して話しかけたんだよ?」
「そうなの!?」
確かに怯えていたし、実際怖かったけれど、そこまでだとは思わなかった。誠と初めてあった時は驚いたけど、理由を聞かされると全力でお礼を言いたくなる。
「そこに驚くの?ボクが伝えたいのはそこじゃないのに〜!」
少し頬を膨らませ、拗ねた雰囲気を出す誠は可愛い。
「ご、ごめんね?」
「ううん、いいよ別に」
誠はにっこり笑った。
「センパイに気付いてほしかったのは、イベントは絶対じゃない、ってこと」
「……へ?」
私は今度こそ本当に固まった。
「だって、ボクはイベント無視したんだよ?」
「……あっ!」
それもそうだ。イベントが絶対なら、誠と今こうして話すことなんてできない。
「ほら、それが分かったなら元気出して?」
私はじわじわと嬉しさが込み上げてきた。これで今度こそ、本当に何も気にせず日常を楽しめる。
「ありがとう、誠!!」
「へへっ、どういたしまして〜」
イベントは起こってしまうかもしれない。でも、絶対でないなら私の意思で変えられる。それが分かっただけでも、私にとっては何十倍も嬉しいことだった。
楽しんでもらえましたか?
突然ですがらちょこちょこ過去のお話を編集したいと思います。気分で書いてるので、あの時思ってたことと違う展開になってたりするので……。話の大筋は変える気ないので、気にならない方はスルーしてください!
編集はパパーっと終わらせるつもりです。なので、もし今回のお話を読んで「あれ?」っと思われた方は、編集が終わってることを確認して読み返していただけるとありがたいです。
ご迷惑をおかけします。本当にすみません。
そしてそして、「フラグ回収より悪役が怖すぎる!」、ここで一区切りな感じです!次からは糖度高めますよ!頑張ります!
これからもお付き合いいただけると嬉しいです。
感想、意見はいつでも受け付けてます!




