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本日2話目!そして今回は長いです。

 クラス全員が圧倒されている。

 静かに、金剛の台詞を全員が待っている状態だった。


 「なん……」


 「桜宮さん!!」


 突然の声に金剛の台詞は遮られた。金剛の顔は笑顔で固まっている。怖いです。

 そして私を呼んだのは峰川。いかにも心配してます、って顔してるけど、本音は私と金剛の会話を邪魔したかっただけだろう。実際、私と金剛の間に壁のように立っている。


 「大丈夫?いや、やっぱり怖いよね。女子からは私が守るからね!」


 いや、あなたが怖いよ。私にとっては峰川がラスボス。一番関わりたくない相手だ。今の台詞だって、金剛に聞かせるために言ったのだろう。

 だからこそ、私はそれを断る。


 「いや、別に大丈夫だよ。今日は偶然関わっちゃったけど、これ以降はそんなことないと思うから」


 周囲の一部女子の当然という顔、峰川の後ろにいる金剛のほっとした顔、峰川の悔しそうな顔。今の私にとってはどれもストレスでしかなくて、教室から逃げてしまいたくなった。


 「花愛?」


 急に後ろから聞こえた低音の聞きやすい声。

 私が振り返ると、昨日貸したノートを持った是澤が立っていた。


 「何かあったのか?」


 心配されているのが分かる。この感じだと、私と琳音のことは聞いていないのだろう。

 心配そうにこちらを見る是澤は、初日のようなきつさはなく、感情がちゃんと伝わってくる。


 「な、何でもないよ!是澤はノート返しに来たんだよね?今日も借りてく?」


 何だか心配をかけちゃいけない気がして、つい嘘をついた。本心ではこの場から逃げて、全て吐き出してしまいたいのに。この三日間起こったイベントは、想像以上に私のストレスになっていたらしい。


 「……僕にはそうは見えない。話しならいつでも聞く。花愛が落ち着く頃にまた来る」


 そう言ってノートを渡して教室に戻って行く。言葉は少ないけれど、私にとっては何よりも嬉しい言葉だった。

 つい俯いてしまったけれど、気分は少し上昇した。でも、一度溜まってしまったストレスはなかなか解消されることはない。


 「あっれ〜?花ちゃんセンパイどうしたの?」


 クラス全員が是澤の登場にどうしたらいいか分からず固まっている中、明るい声が響いた。私をそう呼ぶのはただ一人、誠だ。


 「あっ、ここ先輩のクラスだったんですね!誠が急に行きたいって言うから何かと思った……って、先輩?何かありました?」


 尾崎君も一緒に来ていた。私の様子を見た途端、表情を変えて私のことをのぞき込む。

 私は今、そんなに心配されるような顔をしているだろうか。


 「……何かされたの?」


 私の背後を見た誠が小さい声で言った。その声は低くて、いつもの可愛らしい誠からは考えられない、言ってしまえば誠の年齢からは考えられない声をしていた。もしかしたら、こちらが本当の誠なのかもしれない。


 「センパイ?」


 「先輩?」


 誠と尾崎君の声が重なった。

 その声は私の中に優しく響いて、心が落ち着いていくのが分かった。


 「桜宮……さん」


 続いて金剛の声。

 顔を上げて目が合うのは尾崎君、そして誠。振り返れば金剛が峰川の後ろから不安そうな顔で私を見ていた。

 そのさらに後ろ、教室の端の方では、彩が私のことを見ている。どうしたらいいか分からず、必死に悩んでいてくれることが分かる。

 それを見た私は、また俯いてしまった。でもさっきとは違う。不安は薄れ、嬉しい気持ちでいっぱいだった。


 今まではイベントや峰川のことばかり考えていたけれど、私の周りにこんな短い間、出会って間もない私のことを心配してくれる人がい

た。金剛、是澤、尾崎君はゲームとしての感情かもしれないけれど、今の私にはその気持ちがすごく嬉しい。

 それに同じ転生者である誠がいる。他の人には話せない悩みも、誠にだったら話すことができる。

 私は少し、ゲームに囚われていたのかもしれない。私はこの世界で意志を持って生きているのだから、もしゲームの通りになってしまったとしても、それは私が望んだ結果なはず。

 峰川のことが不安であることは変わらないけれど、2度目の人生、楽しまなきゃ意味がない。

 私の中で何かが吹っ切れて、俯いていた顔を上げることができた。

 私のその様子に、誠は安堵した顔で返してくれた。


 「良かった!……何かよく分からないけど、大丈夫みたいだね。何かあったら相談して?」


 誠が嬉しそうに、でも最後は私にだけ聞こえるように、少し不安そうに言った。私ばかりが頼るんじゃなくて、誠からも頼られる存在になりたい。


 「良かった、大丈夫みたいですね!」


 尾崎君は顔を赤くしている。後輩とは思えないぐらいしっかりしている尾崎君には、これからも頼るかもしれない。でも、その倍にして尾崎君には返したいと思う。


 「桜宮さん」


 名前を呼ばれて振り返る。


 金剛はいつも通り笑っていた。もしかしたら、金剛のせいで落ち込んだのかと思わせてしまったのかもしれない。


 「もう……大丈夫?」


 私はその質問に、今なら笑顔で答えられる。


「うん!もう大丈夫!」


話を進めたくて急いでしまいましたが、分かりにくかったらすみません。


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